LEEVELLES、メジャーデビューから1年で得た学びと夢 新たなアプローチで奏でる「花占い」
すべての録音工程をメンバーで完結するだけでなく、ほぼすべてのMVをメンバーで制作したり、ジャケットのイラストをボーカルの小川紘輔が描いたりしている、クリエイティブな4人組ロックバンド・LEEVELLES。インディーズ時代の楽曲「ユレユレル」がテレビCMソングに、メジャーデビュー後の2ndデジタルシングル「地獄の沙汰も愛次第」がドラマ『トクメイ!警視庁特別会計係』(カンテレ・フジテレビ系)のオープニングテーマに起用された彼らは、勢いを持って急成長を遂げている真っ最中だ。そして、8月21日には新曲「花占い」をリリース。同曲はコーセーコスメポート『ビオリス ピュアレタッチシリーズ』「写真みたいに」篇のCMソングに決定しており、さらに“LEEVELLES”の知名度を広げていく一曲となりそうだ。そんな彼らは、今どんな思いでバンド活動に向き合っているのだろうか。「花占い」についてとともに、じっくり話を聞いた。(高橋梓)
メジャーデビューからの一年で知った“見たことのなかった世界”
ーーメジャーデビューから約一年、日々変化を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
川﨑純(以下、川﨑):ものすごく! 変化しかないです。
小川紘輔(以下、小川):考え方からすごく変わったと思います。すべてのことにおいて、全部自分のせいにするようになりました。もちろん、それはいい意味で。今まではどこか保険をかけていたり、余計なプライドが邪魔をしたりしていたのですが、メジャーデビュー後はそれがなくなったというか。音楽制作はもちろん、MV撮影やラジオ、こうした取材など、いろんなことを経験させていただくなかで「自分がどうするか」「自分がどうしたいか」「自分がどう見られたいか」と考えるようになりました。かつ、事務所やレーベルに入ったからどうなるというわけではなく、結局自分たちがやっていることをチームの方々が手伝ってくれているという認識を持って、推進力を大切にするようにもなりましたね。「すべての原因は自分にある」「どんな状況に陥ったとしても打開できるのは自分しかいない」という考えに変わってから、すごく充実した音楽ライフを送れるようになっています。
宮地正明(以下、宮地):紘輔のその考え方を教えてもらったことがあったのですが、本当にその通りだなって。結局は自分の言動がすべての結果を生んでいるんだと納得しました。それに、紘輔は考え方が変わってから人としてより魅力的になっているんですよね。その影響もあって、最近は僕もそのマインドになりつつあります。
川﨑:僕は見えるものが増えた感覚があって。ありがたいことにメジャーデビュー後は今まで知らなかった世界、見たことのなかった世界を経験することが増えていって、新しくわかったことも多いんですね。それによって、よりよい自分になるための課題も見えてきました。少し前までは自分視点の世界だったのが、もっと視野が広がった感覚です。音楽に向き合う時間が増えて、「音楽ってやっぱり楽しいな」とあらためて実感しましたし、リスナーの反応などから徐々に僕らの音楽が広まっているという嬉しさも感じています。あと、音楽に向き合う時間が増えたからこそ、プライベートの時間を大切にするようになりました。アウトプット、インプットのバランスが以前よりもよくなっている気がしています。
ーー先日も、バンドのnoteに海の家で楽しんでいる投稿をされていましたもんね。
川﨑:見られてた(笑)! そうなんです。少し前まで、海に行くなら家で練習していようと思うタイプだったんですけどね。
小川:ちょっと億劫だったもんね、海とか行くの。
川﨑:そう。でも、せっかく海に行くならできるだけ音楽のことを考えないようにして楽しもうと思っていたのですが、地平線を見ていると「曲にしたくなるなあ〜」と考えちゃったり(笑)。ただ、海の家は素敵でした!
髙木皓平(以下、髙木):(笑)。僕も川﨑が言った通り視野が広がりましたし、「こういう視点もあるんだ」という気づきが多い一年だったと思います。それに伴って成長もしたし、成長したからこそ見えた課題もあるし。だからこそ、新しく挑戦しようと思ったことがたくさん増えました。
ーーたとえばどんなことですか?
髙木:僕、かなり人見知りなんですよ。でも、知らない人と会話する場もほしくて。なので、最近は近所のバーに行くようになりました。そうしたら、知り合いがめちゃめちゃ増えて。もともと友だちを作るタイプの人間ではなかったので、「こういう楽しさってあるんだ」と思って、人生の見方が変わってきています。
ーーそれぞれ変化を感じてらっしゃるのですね。LEEVELLESといえば、クリエイティブ面をご自身たちで行っているバンドですが、メジャーデビュー後もそのスタンスは変わらずですか?
小川:根本は変わっていないですね。ただ、自分たちで積み上げたものに対して、チームの皆さんがアドバイスしてくださったり、意見を出してくださったり。よりいいものをチーム一丸で作っていく形にはなっていると思います。
ーーチームになったことでアウトプットの質が上がったりも?
川﨑:はい。僕たちは「ここが限界だ」というところまで詰めて楽曲を出しているのですが、その限界を優に超えてきます。超えたものを知っちゃったがゆえに、ハードルがどんどん上がっている印象です(笑)。
小川:楽しいけど、毎回悔しいんですよ。「これは思いつかんかった!」みたいなものをぽんぽん出していただけるので。でも、すごくいい刺激になっています。
ーーそんななか、8月21日に新曲「花占い」がリリースされました。
小川:この曲は1番のサビの〈さらり さらり〉でバンドがフッといなくなって、ピアノだけになってさらさらした感じを表現していて。そういった部分が全体を通して散りばめられていて、楽曲のうねり、引き算足し算が聴きどころです。メジャーデビュー後、アレンジャーさんと一緒に制作をしているのですが、出来上がった楽曲のステムデータをライブ用にいただくんです。それからメンバー全員がいろいろなことを吸収して噛み砕いて自分のなかに落とし込んでいて。そういった経験をもとにして、このうねりが生まれました。
ーーなるほど。そもそもなのですが、どういった経緯で制作を進められたのでしょうか。
小川:コーセーコスメポートさんからタイアップのお話をいただいた時に、「BPMを110くらいにしてほしい」「盛り上がりすぎないようにしてほしい」「でも聴いていると勝手に体が動くダンサブルな感じにしてほしい」「清涼感、爽やかさがほしい」……というようなオーダーをいただきました。そこから4人が各々デモを作って、ブラッシュアップして。さらにチームでブラッシュアップして制作を進めました。
ーー4人のデモはまったく違うものでした?
一同:まったく違いますね。
川﨑:曲調はもちろん、清涼感というテーマの解釈も根本的に違いました。でも、それぞれの頭のなかを見ているようで面白かったです。「そのアプローチ!?」みたいな(笑)。
宮地:「これが答えだ!」と思って提出したら、他のメンバーからはそうじゃない答えが出てきて。
川﨑:「そっちも答えかも……」って(笑)。僕の場合、露骨に「髪」をテーマに書いたんですね。直喩的な歌詞とメロディでストレートにしすぎていたので、奥行きが欲しいなと思っていたのですが、他のメンバーのデモはみんな奥行きがあって。結局、僕のデモは直接的すぎてボツになりました。
宮地:僕は、髪の毛が風になびいて後ろにフワーッとしている感じを翼に喩えて。そこから飛び立つ、みたいな楽曲を書いたのですが、今回のテーマとは合いませんでした(笑)。
髙木:それで言うと、もしかすると僕がいちばんテーマからズレていたのかも。いただいた資料のなかに「レタッチ」というワードがあったんですね。それを中心に組んでいって、自分の人生観やレタッチというワードが指すものを組み合わせて作っていきました。結果、CMのための曲ではなく、僕のための曲になってしまいました(笑)。
ーーそのアプローチで作った楽曲も面白そうです!
髙木:「いろんな要素が重なる場所ってどこやろ?」と意識して書いたので、そういうデモが出来上がりました。ただ、紘輔くんの「花占い」を聴いた時に「めちゃめちゃ清涼感がある、これが正解じゃん」って(笑)。
小川:それぞれ捉え方がありますからね。同じことを言うにしても、ワードが違いますし。