JIJIM、6人で鳴らすバンドの矜持を語る 3カ月連続リリースで届けるメッセージとライブへ懸ける思い

JIJIM、6人で鳴らすバンドの矜持

6人で一緒に夢や目標を叶えたいという強い思い

JIJIM

――今って、本当にいろんな音楽の発表の仕方がありますよね。それこそコロナ禍ではSNSを利用してひとりで活動するアーティストも急増した中、6人編成でやるって効率的にはあまりよくないのかなと思うんですが、それでもバンドでやりたいと思うのはなぜですか?

シンジュ:もちろん、僕ひとりじゃできないというのもありますが、夢や目標を叶えたいという強い思いと、彼らと一緒に続けていきたいという気持ちがあるからこそ、6人でやっていきたい。6人で夢を叶えたいし、ひとりでも欠けたらダメだし、欠けてほしくないという強い思いがあるんですよね。

――シンジュさんの視点で見たメンバーの印象はいかがですか?

シンジュ:ドラムのカガミは、僕とずっと一緒にいるから彼の音楽の好みが時期や季節によって変わるのをずっと見てきました。ロックからジャズ、最近はおしゃれな音楽も好きで、幅広く聴いています。彼が面倒なところを全部引き受けてくれているので、本当に助かっています。自由奔放な僕をしっかりまとめてくれる、頼れる存在ですね。オクムは、初めて会った時から「ベース上手いな」って思っていました。でも、実はものすごく負けず嫌いで、めちゃくちゃ練習熱心なんですよ。頼れる姉さんっていう感じです(笑)。バンド内では、ジンペイとホリがふわふわしているぶん、オクムとカガミがしっかりと支えてくれています。

 ヒトカはみんなの妹みたいな存在で、ちょっとふわふわしているところもあるんですけど、絶対音感を持っていて耳がめちゃくちゃいいんです。セッション中に誰も気づかないようなところを指摘してくれるので、彼女のおかげで演奏がよくなることが多い。優しくて周りをよく見ていて、みんなを気にかけてくれるから、本当に助かっています。ジンペイは力持ちで、重い機材を運んだり、ツアーの移動中でも車の運転を引き受けてくれたりする男気のある人です。彼がいるとバンドの雰囲気がすごくよくなるんですよね。ただ、ちょっとシャイなところがあって、バンド以外のところでも等身大でいてくれたらいいなと思っています(笑)。

 ホリは、さっきも言ったようにバンド内で緩衝材の役割をしてくれる存在です。ユーモアがあって、優しくて、喧嘩になりそうな時にもさりげなくあいだに入って場を和ませてくれる。音楽を始めたのは少し遅かったけど、今ではバンドに欠かせない存在です。彼の成長は他のメンバーにもいい刺激になっていますね。

――6人バンドをまとめていくのは正直大変ですよね?

シンジュ:実は僕がいちばんわがままで、みんなに迷惑をかけているんです。でも、それがバンドをまとめる理由にもなっているんじゃないかと思っていて(笑)。たとえば、次の現場への到着時間が迫っているのにサービスエリアに寄りたくなったり、打ち上げでもう帰らなきゃいけない時間なのに「まだいたい!」と思ったり、わがままなことを言い出したらきりがないです。しかも、僕がわがままであればあるほど、ほかの5人が「またやってるよ」と自然にまとまってくれる。だから、僕自身はあまり大変だとは思っていなくて……きっとカガミがいちばん大変なんだと思います(笑)。

――(笑)。コロナ禍で始めたバンド活動には制限もいろいろあったと思うのですが、そのなかでも「波に乗った」と感じた瞬間や、うまく滑り出したタイミングはありましたか?

シンジュ:昨年の6月から9月にかけて、自分たちで『ラッキー・ランデヴー・ポイントツアー』を企画したのですが、昨今のライブハウス事情もよく知らないまま、あちこちに電話して「ツアーやりたいんです」と持ちかけて。半分くらいは断られてしまい、最終的に10本にも満たないツアーになりました。でも、ポスターやチケット、グッズなどを全部自分たちで作ったことでみんなの意識が変わった気がします。ツアーでたくさんの人と知り合えたし、今のマネージャーさんと出会ったのも、最終公演を観にきてくださったのがきっかけでした。

JIJIM - ランデヴー【LIVE「ラッキー ・ランデヴー ・ポイントツアー」 ファイナル!!! in大塚Deepa】
2023年9月23日

――今年に入って3カ月連続リリースがスタートしましたが、最初の「ヘルシーラヴ」はどんな形で作られたんですか?

シンジュ:この曲は、ヒトカの音大の先生が「健康的なラブソングを歌うバンドだね」と言ってくれたのがきっかけに進んだ楽曲です。「じゃあ、それをそのまま曲にしよう」と思って、これまでの「健康的な恋」を振り返っていって。そのなかで、学生時代のちょっとした恋愛を思い出して、恥ずかしくなりながらもニヤニヤしてしまうような夜があったんです。その思い出をそのまま曲にしたのが「ヘルシーラヴ」。すでに別れた相手を思い出してドキドキしたり、ちょっと笑っちゃうような瞬間を楽しんだりしている夜のことを歌っています。

JIJIM - ヘルシーラヴ(Official Audio)

――関口シンゴさんをアレンジャーに迎えて、いかがでしたか?

シンジュ:関口さんはとても優しい方で、アレンジする時も「こうしたほうがいいよ」という指示ではなく、「みんなはどうしたい?」「君はどんな演奏がしたいの?」「どうやって歌いたい?」といった質問をしてくれて、演奏を自由に伸び伸びとできるようにしてくださいましたね。アレンジャーさんと一緒に楽曲アレンジを進めるのが初めてだった中、緊張せずにレコーディングができたのは、関口さんが優しくお話ししてくれたおかげだと思います。難しいところやわからないところは相談に乗ってくれて。特にギタリストでもある関口さんは、ジンペイに対してだけは少し厳しく、「こうしたほうがいいよ」とアドバイスしてくれました。ジンペイの大学の先輩でもある関口さんのおかげで、「ヘルシーラヴ」はさらに質のいい作品に仕上がったと思っています。(笑)。

――ジャケットはホリ!!!さんが描いているんですよね?

シンジュ:そうです。ホリはもともと絵描きでダンサーでもあり、僕の父の店で個展を開いたことがきっかけで仲良くなったんです。1stアルバムの『ルートビア』も彼にジャケットをお願いして、その雰囲気を引き継いで今回の「ヘルシーラヴ」のジャケットも描いてもらいました。ハンバーガーから花が咲いているイラストは、「ヘルシーじゃないものからヘルシーなものが生まれ、そこにラヴが宿る」という思いを込めて描いてもらったものです。

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

JIJIM(@jijim_official)がシェアした投稿

――8月リリースの「ナガグツボーイ」は、どのように生まれた曲なんですか?

シンジュ:ある時、父親に「僕ってどんな子だった?」と聞いたら、「いつも長靴ばっかり履いてたよ」と教えてもらったんです(笑)。雨の日だけじゃなくて、晴れの日でもどんな時でも長靴を履いていたそうで、その理由を当時の僕は「どこでも行けるから」と話していたらしくて。その話を聞いて気持ちが高まりました。“長靴を履いた当時の少年ミニ・シンジュ”の魔法で、今の僕が悩んでいることや些細なトラブルでも避けてしまう性格を乗り越えられたらいいな、という気持ちでこの曲を書きました。

 アレンジャーはShingo Suzukiさんですが、子どもっぽいかわいらしさではなく、大人っぽいリズムやサウンドに仕上げたかったんです。大人のファンタジーというか、おしゃれで都会的で、少し明るすぎない、曇天の空をイメージしたような楽曲にしたいという思いがありました。もちろん、メンバーから出てきたアレンジもそうでしたし、そこからSuzukiさんがブラッシュアップしてくれたアレンジも、思い描いていた通りの雰囲気に仕上がっていて、とても満足しています。

JIJIM - ナガグツボーイ(Lyric Video)

――さらに、9月には「メーデー」もリリース予定ですね。こちらも編曲はShingo Suzukiさんが担当されています。

シンジュ:この曲は、僕の性格をそのまま楽曲にしたようなものです。僕は緊急事態やちょっとしたハプニングが大好きで。忙しくて寝られない時とか、少しだけ予定が伸びてしまうような状況が好きなんです。たとえば、学園祭の前の1週間、放課後に帰るのが少し遅くなることがありますよね。いつもは真面目な子が廊下をバタバタ走っていたり、普段は言葉遣いの悪いヤンキーが一生懸命に絵を描いていたり……そういう忙しさや緊急事態、ちょっとしたハプニングは、普段は見せてくれない人の一面や時間、出来事を見せてくれるんです。

 自分さえそういった緊急事態に慣れてしまえば、それってとても愛おしいものになると思うんです。緊急事態は突然やってくるし、急に現れるもの。それを愛せるようになれば、すごく面白い出来事や瞬間がたくさんあると思うんですよね。だから、「メーデー」は“緊急事態”を愛したい、「メーデー! メーデー!」という緊急事態の合図を愛したいという気持ちを込めた楽曲です。

――今後、JIJIMはどんなバンドになっていきたいですか?

シンジュ:9月には自主企画のイベントを代官山SPACE ODDで開催します。現在、いろいろなバンドとの最終調整を進めていて、たくさんの人にきてもらえたらなと思っています。その人たちの前で緊張せずに、楽しい時間をみんなで過ごしたいという気持ちを伝えられたらな、と。対バンをするたびに、新しいライブハウスで本当に素晴らしい時間を過ごせることが楽しみですし、きてくれる人はみんな友達だと思って、友達と一緒に素敵な時間を作りたいという気持ちでいっぱいです。ぜひいい日にできたらなと思っています。

 バンドとしては、やっぱりいつか幕張メッセで自分たちのワンマンライブをいつか実現したいという夢があります。僕個人としては、いつか坂本九さんの「上を向いて歩こう」のように、子どもから大人、おじいさん、おばあさんまで、どんな人でも口ずさみたくなるような、歌えば少し幸せになれるような普遍的な楽曲を作りたいと思っています。どんな人がどんな時に歌っても、誰も傷つけず、ちょっとだけ気分がよくなるような、そんな一曲を作れるようになりたいですね。

■リリース情報

『メーデー』
『メーデー』

デジタルシングル『メーデー』
2024年9月20日(金)配信

Apple Music 配信URL:https://music.apple.com/jp/artist/jijim/1624846855

Spotify 配信URL:https://open.spotify.com/intl-ja/artist/19bbi8caiWMuBlqhv6ZOgA

■イベント情報

『Bon Voyage!!! trip 1』
『Bon Voyage!!! trip 1』

『Bon Voyage!!! trip 1』
2024年9月20日 (金)OPEN 17:30/START 18:00
Space Odd

前売り ¥3,000/当日 ¥3,500(ドリンク代別途要)
出演アーティスト:きのぽっぽ、Johnson KOGA (五十音順)

X(旧Twitter):https://twitter.com/jijim_official
Instagram:https://www.instagram.com/jijim_official/
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCxJVKW470ZflaYOp12i66qQ

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる