柚希礼音、進化の最新形と宝塚歌劇団への想い詰め込んだ『REON JACK5』 ゲネプロの様子をレポート

 生バンドの演奏で彩られている各曲の見どころは尽きないが、柚希と川本によるダンスは、観客の記憶に深く刻まれる場面のひとつとなりそうだ。サルサの要素が取り入れられた情熱的なふたりのダンスが様々な間合いとコンビネーションで融合し、生命力に溢れながら躍動していた。彼女のダンスのスキルと豊かな表現力という点では、ソロでのダンスパフォーマンスだったマタ・ハリ「この命の最期に」にも触れておきたい。

 非情な運命に翻弄されながらも生命を美しく燃え上がらせたマタ・ハリの胸中で渦巻く無数の感情が、ダンスを通してまざまざと伝わってきた。宝塚退団後もさまざまな舞台作品への出演を重ねている彼女にとって、『マタ・ハリ』は、とても大切な作品のひとつなのだと思う。初日の日替わりゲスト・加藤和樹は『マタ・ハリ』でラドゥーとアルマン、2役を演じている。アルマンの心情を表現した「普通の人生」は、加藤のソロ歌唱。マタ・ハリとアルマンのデュエット曲「セラヴィ」は、ふたりの歌声が瑞々しく響き渡った。今後の公演の日替わりゲストとのコラボレーションでも、歌声の共鳴が観客を魅了するだろう。

 柚希が作詞した「希望の空」も披露されたが、25周年という節目を迎えた彼女にとって、一際深い意味を持っているのを感じた。宝塚退団後に抱いた想いを歌詞で描き、コンサートで歌い続けているこの曲は、ステージに懸ける想いをまっすぐに伝えてくれる。25年間の軌跡を刻んできたステージは、彼女にとってますますかけがえのない場所となっていくのだろう。周囲のキャストのコーラスに包まれながら歌い、幸せそうな表情を浮かべていた姿が思い出される。舞台人として今後も歩んでいく彼女への期待を高めてくれる曲だった。

 『REON JACK5』は東京公演を経て、大阪公演でも素敵な歌とダンスで会場を満たすだろう。劇場に足を運ぶ人は、大いに楽しみにしていてほしい。柚希礼音のファンであることが心底嬉しくなる公演だ。

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