SUPER EIGHT最新作にも キスマイ、CUBERS、MeseMoa. ……男性アイドルから考察する“つんく♂提供曲”の面白さ
SUPER EIGHTのニューアルバム『SUPER EIGHT』が7月31日にリリースされる。グループ名をSUPER EIGHTに改名後、初のアルバムであり、キャリア史上初のセルフタイトルアルバムでもある。本作には蔦谷好位置、岡村靖幸、THEイナズマ戦隊、山内総一郎(フジファブリック)ら多数のミュージシャンが楽曲提供しており、その中のひとりとして、つんく♂も名を連ねている。
モーニング娘。'24らハロー!プロジェクト(以下、ハロプロ)の女性アイドルグループのプロデュースなどで有名なつんく♂だが、それだけにとどまらず、多種多様なアーティストへの楽曲提供も行っている。それは男性アイドルグループも例外ではない。今回のSUPER EIGHTへの初楽曲提供というこのタイミングで、つんく♂がこれまで制作してきたいくつかの男性アイドル楽曲を振り返ってみたい。
つんく♂がモーニング娘。の「LOVEマシーン」を世に放って大ブレイクを実現させたのと同時期の2000年、TOKIOの両A面シングル『みんなでワーッハッハ! / 愛はヌード』、次作シングル『恋に気づいた夜』の作詞作曲を行っている(当時はつんく名義)。特に「みんなでワーッハッハ!」はカントリー風のサウンドにナンセンスな歌詞(〈音楽家はバッハッハ〉というフレーズがフック)だが、不思議とハートフルな印象を与える一曲で、この年の『第51回NHK紅白歌合戦』でも披露されるヒットソングとなった。
この「みんなでワーッハッハ!」の編曲を担当していたのは松原憲で、その楽曲制作布陣のタッグは、前年リリースでミリオンヒットとなったプッチモニ「ちょこっとLOVE」と同一である。ぶっ飛んだ歌詞ではありながらも最後には普遍性のあるテーマに着地するという点においては似たタイプの楽曲で、当時のつんく♂の時代の波に乗った感じがよく現れている。
翌2001年、TOKIOのメンバーである長瀬智也が主演を務めたドラマ『ムコ殿』(フジテレビ系)の主人公・桜庭裕一郎名義でリリースした「ひとりぼっちのハブラシ」もつんく♂作詞作曲およびプロデュース。この曲はTOKIOの「メッセージ」との両A面という形式でシングルリリースされた。
桜庭裕一郎とは、シンガーソングライター兼俳優という設定の役柄。劇中では“チャート初登場1位獲得”という設定だったが、現実でもこのシングルはオリコン週間ランキング1位に輝いた。また、この曲はつんく♂のセルフカバーアルバム『TAKE1』(2004年)でも取り上げられている。さらに最近では、Travis Japanの松田元太が『千鳥の鬼レンチャン』(フジテレビ系)2024年5月26日放送分にて同曲を歌ったことでも話題に。長い年月を経ても歌い継がれる名曲となっているようだ。
2010年代以降では、Kis-My-Ft2の「最後もやっぱり君」(2015年)がつんく♂曲。メンバーの玉森裕太主演映画『レインツリーの国』主題歌で、優しげなR&Bバラードに仕上がっている。ここでも歌詞のテーマは普遍的だ。
昔からのハロプロファンで、“アイドルオタクアイドル”を自認する末吉9太郎が在籍していたグループ、CUBERS。そのメジャーデビューシングル表題曲「メジャーボーイ」(2019年)がつんく♂曲だ。編曲はハロプロ楽曲でもおなじみの鈴木俊介で、曲調もハロプロサウンドのメインストリームであるディスコファンク。振り付けが、「LOVEマシーン」をはじめ多くのハロプロ楽曲を手がけていた夏まゆみによるものだというのもトピックのひとつだった。
直近では、もともとはハロプロ楽曲のダンスカバーを行っていたグループ むすめん。がMeseMoa.へ改名し、今年8月6日に初の全国流通盤シングル『愛してる体感BABY』をリリース予定。この曲もつんく♂作詞作曲、さらに振り付けは多数のハロプロ楽曲でもおなじみのYOSHIKOが担当。こうしたハロプロカルチャーから芽吹いたファンが演者側へ回り、そこへ本尊のつんく♂が楽曲提供を行うという幸福な交歓がたびたび見られるのも近年の特徴だ。