「若者のすべて」、suis(ヨルシカ)カバー版がバイラル上昇 いつの時代も青春を彩る名曲

 Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの7月10日付のTOP10は以下の通り。(※1)

1位:こっちのけんと「はいよろこんで」 
2位:Lee Young Ji,「Small girl (feat. D.O.)」 
3位:INI「LOUD」 
4位:suis from ヨルシカ「若者のすべて」 
5位:JO1「Love seeker」 
6位:しぐれうい「うい麦畑でつかまえて」 
7位:=LOVE「絶対アイドル辞めないで」 
8位:Worldname「qr」 
9位:Travis Japan「Sweetest Tune」 
10位:HALVES「嫌々」

 7月第2週目のSpotifyバイラルチャート。いよいよ夏本番を迎えた今週のランキングでトップに立ったのは、こっちのけんとの「はいよろこんで」である。前週の2位から1位へと昇り詰め、その勢いを見せつけた。6月上旬の初エントリーから着実に歩みを進め、待望の首位獲得である。前週の首位であったINIの「LOUD」は3位に後退したものの、依然としてトップ5に留まっている。このような流動的なチャート順位の動きは、楽曲の人気が急速に変動するSpotifyのチャートならではの現象だ。

 韓国のラッパーLee Young Jiの楽曲に人気男性アイドルグループのEXOのD.O.が客演として参加している「Small girl (feat. D.O.)」は、前週の3位から2位にランクアップ。SNSでの盛り上がりも鑑みると、今後のチャート動向にも期待ができそうだ。また、あわせて注目したいのは、今週初登場で7位の=LOVE「絶対アイドル辞めないで」である。指原莉乃がプロデュースするアイドルグループ=LOVEの17作目のシングルにあたるこの楽曲では、“推し”の幸せを願いながらも永遠にアイドルでいてほしいというファンの二律背反な強い愛情が歌われており、生粋のアイドルファンでもある指原の溢れ出る愛も透けて見える。Spotifyのバイラルチャート以外での反響も大きく、YouTubeにアップされたMVは、瞬く間に600万再生を突破(7月15日現在)するなど、徐々にヒットの兆候が現れている。

 そして、夏本番を迎えたこの季節らしい楽曲として取り上げたいのは、4位にランクインしているsuis from ヨルシカの「若者のすべて」である。永瀬廉主演の映画『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』の主題歌としても話題のこの楽曲は、フジファブリックによる夏の名曲をヨルシカのボーカル suisがカバーした楽曲だ。2007年にリリースされたフジファブリックの「若者のすべて」は、当時から多くのファンに愛され続けており、桜井和寿が参加するBank Bandなど、これまでにも多くのアーティストにカバーされてきた。さまざまなアーティストの歌声と演奏によって「若者のすべて」の切ないメロディと心を締め付けるような甘酸っぱい歌詞が多くの人々の心に深く刻まれてきたのだ。そんな多くの想いを背負った「若者のすべて」。suisのカバーでは、原曲の素晴らしい魅力を存分に引き継ぎながら、新しい解釈と表現力で「若者のすべて」に新たな命を吹き込んでいるように感じる。サウンド面でも原曲より軽快な印象を受ける今回のカバーは、夏らしい爽やかな涼感あふれる仕上がりとなっている。そして、力強さと繊細さを兼ね備えたsuisのボーカルは、オリジナルの持つ情感をそのままに、新しい世代にも響くような“新しい「若者のすべて像」”を提示してくれているのだ。

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