INI「LOUD」、歌番組の反響でバイラル上昇? ファンを掴んで離さない“ともに進んでいく感覚”の徹底
オーディション番組出身のINIは、デビュー前から大きなファンダムを築いてきた。デビュー以降は、個人のSNSではなくグループのみに統一し頻繁に更新。さらに公式YouTubeでは「INIフォルダ」というバラエティーに特化した内容のコンテンツを始めるなど、ファンがいつでも彼らをリアルタイムで追いかけられるような仕組みを作り上げていった。この細かく丁寧なスタンスのファンサービスは、盤石なファンダムの礎になった。ファンの中に、毎日その日のINIをチェックできるという安心感は、そのまま日々彼らを追いかける習慣になっていったのだ。この習慣は、裏返せば、中毒性に等しい。飽きさせることなくファンの習慣であり続け、コツコツとファンダムを広げていったINIというグループの多角的な魅力、そしてファンを大切にする想いには本当に頭がさがる。
そういったINIの多角的な魅力は、これまで発表した楽曲にも表れている。改めて彼らのこれまでの楽曲を聴き返すと、曲調は非常に多彩でボーカルアプローチも豊富。だが、ひとつの共通点が見えてくる。ほとんどの曲で、しっかりユニゾンの見せ場があるところだ。加えて、ざっくりまとめてしまえば「ともに前進していこう」というメッセージ性のある歌詞も目立つ。INIの歌う楽曲の主語は、Iでもyouでもourでもなく、ファンやリスナーも含んだ“we”であることが基本だと思うが、ここにINIとファンとの関係性が見えてくる。
「Loud」はひとことでいえばドープなアップチューン。ダークなイントロから始まり、低音を活かしたAメロ、キレキレのラップ、低音をバーストさせながらサビでブレイクビーツに展開するリズムパターン、そのサビでクリアな高音と低音のラップでみせるコントラストと、このグループの個々のスキルが炸裂するほか、個々の声質をそのまま活かした迫力あるリズムが強烈に耳に残る1曲である。歌詞には“壁を打ち破れ”というメッセージが込められた強い言葉が並ぶが、そこを力強さを前面に押し出し、MVでは実際に壁を壊すシーンもありながら、そこにバイオレンスなイメージを一切感じさせず、最後には「一緒に自分の殻を打ち破ろう」(実際はそんな言葉はまったく出てないのだが)という解釈に至る。前述した“we”の徹底が、聴き手とのリンク度を高めているのは間違いない。
この夏は多数の夏フェス、イベントへの出演に加え、さらに9月21日からファンコンサート『2024 INI FAN-CON TOUR [FLIP THE CIRCLE]』を開催するINI。彼らの実力を目撃する機会が、これからもっと増えそうだ。
※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-07-03
※2:https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/139288/2
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