サザンオールスターズ、NewJeans、Cornelius、ちゃんみな、INI、MAISONdes……注目新譜5作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はサザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」、NewJeans「Supernatural」、Cornelius「Xanadu」、ちゃんみな & ASH ISLAND「20」、INI「Walkie Talkie」、MAISONdes「アリバイゲーム feat. 乃紫, かやゆー(ヤングスキニー)」の6作品をピックアップした。(編集部)

サザンオールスターズ「恋のブギウギナイト」

 70年代のディスコを現代的なポップミュージックに昇華させたサウンド、最高だった“あの時代(とき)”をプレイバックするような歌詞、そして、猥雑さと軽快さ、切なさと享楽性を同時に感じさせるボーカル。新曲「恋のブギウギナイト」は“夏のサザン”を丸ごとアップデートしたダンサブルな楽曲だ。温故知新&換骨奪胎を繰り返しながら進化してきたのがサザンオールスターズの歴史とも言えるだろうが、この曲はその最新バージョン。スネアやシンセのきらびやかな音色、間奏に挿入された“いよー!”という純邦楽的な掛け声などを取り入れつつ、聴き終わったときには“めちゃくちゃサザンじゃん!”とガッツポーズしたくなるバランスも絶妙。個人的には「恋のブギ・ウギ・トレイン」(アン・ルイス)、「Get Lucky」(Daft Punk)とつなげて踊るのがおすすめ。(森)

NewJeans「Supernatural」

NewJeans (뉴진스) ‘Supernatural’ Official MV (Part.1)

 勢いが止まらないNewJeansの日本デビューシングル表題曲。英語、韓国語、日本語をミックスした歌詞を柔らかなメロディに乗せた楽曲は、日本人シンガーMinamiにファレル・ウィリアムスが書き下ろした楽曲「Back of My Mind」のサンプリングだ(サブスクにないこの曲をよく掘り返したなと感服)。原曲はバウンシーなビートを組み合わせたものだったが、音楽プロデューサーの250が再解釈したこのバージョンではノスタルジックなシンセをプラス。明るさよりも少しの気怠さが勝る歌唱スタイルが曲調によく似合っている。90年代のHIPHOPカルチャーを大胆に取り込んだ真っ白の衣装とダンスはここから大流行になっていく予感。(石井)

Cornelius「Xanadu」

Cornelius「Xanadu」

 アンビエント色の強い楽曲を再構成した最新アルバム『Ethereal Essence』収録曲。作品には展示会やドラマのために作られた曲や歌入りの曲も入っているが、「Xanadu」は初配信・初音源化となるまっさらな新曲。小山田圭吾が自分のために作った音のスケッチに近いものだろう。シンプルな和音をアルペジオにして、一定のアルゴリズムで動かす。たまに予測する音が抜けたり別の音が入ってきたりする。言ってみれば本当にそれだけの4分間なのだが、響きの美しさに引き込まれ、ミクロの世界に入り込むような、もしくはマクロ視点で宇宙を見つめているような気分になってくるのは、Corneliusでしか味わえない神秘体験。究極的な引き算の美学がある。(石井)

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