アンジュルムを彩る佐々木莉佳子の言葉たち 満員の“ひまわり畑”が送り出した横浜アリーナ公演
メンバーが一旦退場し、会場に流れるのは今回のツアーの気仙沼市民会館公演での様子。気仙沼は佐々木にとっての故郷であり、東日本大震災での被災をきっかけに多くの人を笑顔にしたいとアイドルを目指したこと、そして、卒業が決まったコンサートで13年ぶりにこの場所に帰って来られたことが嬉しいと涙ながらに話す。日本各地で公演を行うアンジュルムはこれまで日本中のファンを笑顔にしてきたが、その中でも地元の人の笑顔を見ることができたのは佐々木にとってアイドルとして自分に課していた重大な使命を13年ぶりに果たすような出来事だったのだろう。佐々木が根底に持ち続けていたアイドルとしてのスタンスを改めて感じることができる瞬間だった。
そこから勢いよくメンバーが登場し歌うのは「魔法使いサリー」。これも佐々木が加入してすぐリリースされた楽曲だが、当時のまだあどけない表情の佐々木が満面の笑みを浮かべていた頃の面影をまだ感じるようなパフォーマンスとなっていた。そこから続くのはメドレーのコーナー。佐々木に橋迫・平山遊季という髪が短めな2人を連れて歌うのは「ショートカット」。下井谷・後藤とは「天真爛漫」、川名・為永・松本とは「パン屋さんのアルバイト」、上國料とは「自転車チリリン」、伊勢・川村とは「有頂天LOVE」とスマイレージの曲をメドレー形式で披露。佐々木が加入するタイミングでスマイレージはアンジュルムに改名したが、それでもスマイレージとしての時代を大切にする佐々木の想いか感じられる。
MCでは今回アンジュルムとして初めて横浜アリーナのステージに立つ下井谷・後藤が初々しく会場を盛り上げる。上國料が提案する恒例の三三七拍子も今回は「あいらぶゆー!あいらぶゆー!りかこがだいすきだ!」と佐々木のため特別なものに。
ここまでアンジュルムのさまざまな魅力を見せてきた今回のセットリストだが、「赤いイヤホン」「アイノケダモノ」という近年の“アンジュルムらしさ”がぎっしり詰まった楽曲が続く。最後は「46億年LOVE」、「夏将軍」の楽しい雰囲気で会場を包み込みどこまでもアンジュルムらしい、そして佐々木らしいコンサートで本編は終了。
アンコールでは真っ白のドレスをまとって登場した佐々木。歌うのは「君だけじゃないさ...friends ひまわり ver」。「君だけじゃないさ...friends」といえば佐々木の同期でもある室田が卒業公演でソロ曲として歌われた楽曲。相川の卒業を発表した時に室田のブログでも触れていたこの曲はグループにとっても、そして“アンジュルム三期”にとっても大切な楽曲だ。相川も室田もステージ上にはもういないが、佐々木にとってこの2人がどれだけ大きな存在だったのかが感じられるような歌唱となっていた。
その後「9枚あるんですけど……」と言いながら読まれた手紙にはメンバー、そしてファンへの愛が込められている。その後のメンバーからのメッセージにも佐々木の言葉についての言及が多かったことが印象的だった。佐々木といえばガールズクラッシュな雰囲気とパフォーマンスでグループを牽引するようなイメージを持たれがちだが、実際は言葉の力が強いメンバーである。自分が持っている愛情を言葉に落とし込み、それをストレートにぶつけるピュアさを感じられる手紙になっていた。
「友よ」でアンコールを終え、公演は全て終了。〈Yes, Yes, We are friends!/Yes, Yes, We are friends forever!〉とメンバーもファンも一体となって歌うシーンでは、お互いの環境が変わっても変わらないファンと佐々木のこれからの関係性を感じることができる。寂しさを隠さずに、これから新しい道を進む佐々木の新しい門出を祝福する公演となっていた。
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