Eve、初のアジアツアー『Culture』で手にしたもの 再会の歓びを分かち合った横浜BUNTAI公演

Eve、初のアジアツアー横浜BUNTAI公演

 Eveにとって初のアジアツアー「Eve Asia Tour 2024『Culture』」。5月から約1カ月間にわたって、香港、ソウル、シンガポール、クアラルンプール、ジャカルタ、台北を周ってきたEveの旅は、6月9日、横浜でフィナーレを迎えた。今回は、同ツアーの最終公演にして凱旋公演となった横浜BUNTAIでのライブの模様をレポートする。

 ツアー期間中、EveのスタッフによるXでは、各国のライブなどの模様を収めたドキュメントムービーが公開されていた。それらのムービーは、Eveの音楽がいかに多くの海外のファンから愛されているかを如実に伝えるものだった。いくつもの国境を越え、たくさんの新たな出会いを重ねてきたEveは、今回のツアーファイナルで、いったいどのような変化・進化を見せてくれるのか。この日のライブに臨むにあたって、いつもとは似て非なる期待や高揚感を抱いていた人はきっと多かったと思う。はじめに結論から書いてしまえば、各国を周る中で深めた自信と確信、日本のリスナーへの厚い信頼、そして、再会の歓び、それら全てが滲む、あまりにも感動的な凱旋公演だった。順を追って振り返っていきたい。

 「帰ってきたぜ」という言葉と共に幕を開けた今回のライブ。オープニングナンバーは、3月にリリースされた「インソムニア」だ。Eveは、緩急の激しいスリリングなビートをしなやかに乗りこなしながら、瞬く間に会場全体を熱きロックバイブスで満たしていく。その後も、闘魂のロックアンセム「ファイトソング」をはじめとした新旧楽曲が次々と放たれる(いくつかの楽曲においては、曲の歌詞がアジア各国の言語で映し出される映像演出が施されていた)。約1カ月間にわたって数々のライブを積み重ねてきたこともあり、Eveとバンドメンバーの息はぴったり。まるで一つの巨大な生命体のようにうごめく重厚なバンドサウンドに重なって響くEveの鮮烈な歌声は、今まで以上に逞しい輝きを放っているように感じられた。

 また、「インソムニア」や「逃避行」など、今回のツアーで初披露された新曲たちが、ライブの随所で鮮やかなハイライトを担っていたのが印象的だった。特に驚かされたのが、深淵なバラード「pray」だ。音源を聴いた時は静謐な印象を受けたが、ライブでは、次第に壮大な広がりを見せていくバンドサウンドが際立つアレンジによって、非常にスペクタクルなロックアクトと化していた。そのスケールと深みに、思わず息を呑んだ。

Eveライブ写真(撮影=Takeshi Yao)

 「帰ってこれて嬉しいです」「いろんな『文化』に触れて、ここに戻ってきて、安心感がありますね」。胸の内の等身大な想いを告げたEveは、その後も多彩な楽曲をドロップしながら、観客と熱いライブコミュニケーションを重ねていく。「虎狼来」では、洗練されたビートによって会場全体をダンスフロアへと変え、「黄金の日々」では、観客のハンズクラップとコール&レスポンスによって温かな一体感が会場に広がっていく。特に大きな熱狂を巻き起こしたのが、バンドメンバーによる気迫に満ちたセッションを経て披露された「ナンセンス文学」だった。「アジアツアー、一番の声出してくれ!」と力強く呼びかけたEveは、ステージを降り、アリーナ前方の観客とかつてないほどの至近距離でコミュニケーションを重ねていく。Eveの想いに応えるように、歓声や手拍子、歌声を重ねていく観客の熱気も並々ならぬもので、曲を重ねていくたびに熱狂のピークを更新し続けていくような怒涛の展開に何度も胸が熱くなった。

 いよいよライブは終盤戦へ。『呪術廻戦』関連楽曲「アヴァン」→「廻廻奇譚」の熾烈なコンボを決めた後に届けられたのは、昨年以降、新たな代表曲の一つとなっている晴れやかなロックナンバー「ぼくらの」だった。Eveは、一人ひとりの観客の歌声を一身に受け止めながら、それを自身のエネルギーに替えるようにして会場全体をさらなる熱狂へと導いていく。その堂々たる佇まいは、まさにロックヒーロー。また、そうした頼もしい姿は、今回のツアーを通して彼がライブアーティストとしてさらに何段階もパワーアップしていることを伝えるもので、近年の彼の進化・成長のスピードに改めて驚かされる。

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