小山田壮平が作り出す、スリリングでハッピーな空気 バンドツアーセミファイナル公演



サイレンのような高速のギターから始まる「光」(andymori)。生まれたてのような瑞々しさと、何十年も昔から知っているような安心感が混在していく。小山田にスポットライトが当たる中、「革命」(andymori)が歌われ、フロアからは一斉に拳が上がった。ぎゅんぎゅんドライブしていくアンサンブル。オーディエンスは思わず「かっこいい!」という声を上げる。「グロリアス軽トラ」(andymori)を〈東京の空の下〉と替えて歌うとたくさんの歓声が上がった。

小山田が「駆け抜けてきてしまいました。最後の曲です。ありがとう! 東京」と言って、Oasisを思わせるUKロックな「夕暮れのハイ」で本編を締め括った。
アンコールはまず小山田が一人で現れ、「高校生の姪っ子の“ちいちゃん”が初めて僕のライブに来てくれてます」と明かしてから、「すごい速さで夏は過ぎてくベイビー、という曲をやります」と口にした。フロアから拳が上がる中、リリースから15年が経ってTikTokでバズりまくっている「すごい速さ」(andymori)を弾き語りで披露した。

続く「時をかけるメロディー」はアルバム『時をかけるメロディー』ができるきっかけとなった曲であり、メロディがどんな時でも遥か彼方からやってきて力になってくれるヒーローのように描かれている。小山田はこの曲のことを「いつでも自分を元気づけてくれるようなどこからともなく降ってくるメロディについての曲であり、自分の音楽愛をしっかり形にできた曲」だと表しているが、ライブで聴いて改めて〈ららら〉と〈ふふふ〉だけでも成立するメロディの強さに引き込まれた。

小山田がバンドメンバーを呼び込んだ後、東京公演のスペシャルゲストであるテルミン奏者の街角マチコを招いた。波の音が聞こえ、青い照明が場内を照らした。2018年に小山田がネパールを訪れた際の出会いへの感謝を込めた「マジカルダンサー」だ。5人によるカラフルで賑やかなアンサンブルがまさにマジカルな空気を醸成していった。

久富のパワフルなドラムからテルミンも加わったバンドアンサンブルに突入。ラストはイタリア語で「ほろ酔い」という言葉を冠した「アルティッチョの夜」だ。時折ジャンプをしながら、マイクにかぶりつかんばかりの勢いで力強く歌う小山田。ロックバンドが生むスリリングでハッピーな空気がどこまでも高まり、大団円を迎えた。
























