櫻坂46、稲葉浩志、Ado、幾田りら、山下智久、水曜日のカンパネラ……注目新譜6作をレビュー
幾田りら「ハミング」
サビのメロディのハミングからはじまる幾田りらの新曲で『めざましどようび』(フジテレビ系)新テーマソング「ハミング」の大きなテーマは、自分で自分を大切にする“セルフケア”の大切さ。休日の朝、少しだけのんびりして、たまには何でもない時間も必要でしょ? と語り掛け、〈やってられないから歌うわ〉というラインによって、ハードモードな日々を送るリスナーの心と身体を心地よく解放してくれる。正確なピッチとリズムによって歌詞がすんなり入ってくる彼女のボーカリゼーションは、ここにきてさらなる向上を遂げているようだ。シンセベースのしなやかなグルーヴ、軽快に飛び跳ねるビート、生楽器の響きを活かしたアレンジもいい。(森)
山下智久「Perfect Storm (feat. TAEHYUN of TOMORROW X TOGETHER)」
アジアのエンタメを代表するスター同士の共演が実現。山下智久の新曲「Perfect Storm」(山下の主演ドラマ『ブルーモーメント』挿入歌)にフィーチャーされたのは、TOMORROW X TOGETHERのTAEHYUN(テヒョン)。TAEHYUNのキレのいい高音、山下の厚みのある中音域がバランスよく融合し、スリリングかつポップな楽曲に仕上がっている。透明感と鋭さを内包したシンセサウンド、強靭な四つ打ちビートを軸にしたトラックもきわめて高品質。〈Skies changing/but we can’t go back/追いかけて来る太陽〉など、英語と日本語を交えながら映像的なイメージをもたらすリリックの制作には、山下自身も参加している。(森)
水曜日のカンパネラ「赤猫」
最新EP『POP DELIVERY』のオープニングを飾る一曲。衒いのないポップスであることにびっくりした。歌詞を紐解いていけば「赤猫」とは猫が経営するラーメン屋らしく、その店の雰囲気のよさ、居心地のよさを歌っているのだが、ヘンテコな言葉遊びの曲、つい笑ってしまうナンセンスな曲という印象がまったくない。柔らかに伸びる詩羽の声、刺々しさがどこにもない、実際のテンポよりものんびりした人柄を感じさせる声が、するりと耳を包み、なんとなく頑張ろうかなと思える温もりすら残していくのだから恐れ入る。ケンモチの突飛なアイデアを具現化するのも彼女の役割だが、それだけではない、ひとりのシンガーとしての魅力を強く感じる曲である。(石井)


























