山下智久がtimeleszに託したもの 改名後・新体制初楽曲「Anthem」を“意欲作”とするポイント
今作への意欲をさらに体感するうえでさらに注目すべきポイントは、プロデュースを務めたことでも話題を集めた山下智久が手がけた歌詞をはじめとした、言葉のチョイスだ。山下曰く、「龍のように力強く舞い上がってほしい」という想いを込めて、timeleszの楽曲に携わったとのことで、歌詞の節々からもそれを感じることができる。「たちまちに世界を変えよう」や「そうさ獲物は逃がさん」など、闘志みなぎるフレーズを並べているのが、その証左。かつ、そういったエネルギーに満ちたフレーズを、メンバーが板について歌いこなしているのが良い。意図的にクールに歌ってみせたり、スタイリッシュに声の表情を調整している印象を受けるが、それこそが「Anthem」の歌詞をリアルなものにしている。
山下がtimeleszに託したいこと、それをtimeleszが受け止め、ここからシーンに投じたい想いが綺麗に交わった結果、「Anthem」の美しくて凛とした世界観が構築されているのだろう。さらに言えば、音においても、ダンスにおいても、歌詞・ボーカルにおいてもグループとしての新境地を提示しつつ、timeleszとしての今後のアンセムになりそうな存在感が出ている。今作を丁寧に聴いたうえで改めて思うのは、これまでの3人が描いてこなかった世界観を音楽の中で作り上げつつ、他のグループでは辿りつくことのなかった地平へ誘ってくれるのではないか? という予感をひしひし感じるということ。振り返れば、確かにtimeleszとしての活動を発表した時は、これまでのキャリアからの変化を想像するといろいろな感情が渦巻いた。しかし、「Anthem」をしっかりと聴いた今、“あの頃”も大事にしながら、きっと“ここから”もすごいことになるという予感が胸に溢れる。「Anthem」は、そういう感情を沸き立たせる楽曲であるように感じる。timeleszがどう飛躍していくのかが、楽しみで仕方がない。
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