MAZZEL「Parade」、チャートに対応したリリースでバイラル首位独走 期待に応えるメンバーの実力

MAZZEL / Parade -Music Video-

 2023年、シングル『Vivid』でデビューしたMAZZELの活動展開の中で興味深いのは、デビュー以降の楽曲リリースのパターンである。デビュー年は目立った配信先行リリースをしていない。「Vivid」のフィジカル(CD盤)リリースは5月17日。デジタル配信は前々日の5月15日からだ。同年10月に発売されたセカンドシングル『Carnival』も同様のパターンである。対照的に、MVは、プレデビュー曲「MISSION」を含めた、2023年に発表した9曲中8曲を公式YouTubeで公開している(一部はライブ映像)。これは、MAZZELの真骨頂がパフォーマンスにあることを浸透させるための戦略だったのではないかと考察する。2024年1月、今年初のオリジナルデジタルシングル「Waterfall」をリリース。3月4日には、同月20日発売の1stフルアルバム『Parade』の先行デジタルシングルとして「Parade」と同曲のMVの配信をスタートさせている。「Parade」のMVは公開から約4週間で218万回再生を突破。さらにアルバム『Parade』は、3月27日付のBillboard JAPANのダウンロードアルバムチャート「Download Albums」で1位を獲得。そしてバイラルチャートの首位独走。需要が多様化した音楽シーンの中、チャートがすべてではないことを前提として考えても、1stアルバム発売タイミングでのこの結果は、これからのMAZZELの活躍が約束されたひとつの要素に間違いない。

 現在バイラルチャートで首位の「Parade」は、Lauren Kaori、SKY-HI、ALYSA、スウェーデンのソングライターであるウィリアム・シーゲルダールがコラボレーションして制作された1曲。チャールストンを彷彿させるリズム、コケティッシュでメロウなメロディ、BMSGらしいドープなリズムのアプローチのHIPHOPと、要素だけ並べるとかなりカオスな1曲だが、それぞれの要素をリズムとBPMでつなぎ、楽曲のジャンルをシームレスにしないことで、曲全体に起承転結を生み出し、この起承転結がメンバーの歌声の個性を際立たせている。低音のラップ、滑らかなフロウ、クリアなファルセット、ストレートなロングトーンなど、目まぐるしく変わる個性のカラフルさを強く印象づけているのだ。ユニゾンや掛け合い、コーラスなどがほとんど見られない歌割りに、まずは8人の声と顔を一致させて覚えてもらおうという狙いも感じられる。

 「Parade」は、迫力あるダンサブルなナンバーだ。そこにダイナミックさを加えるならば、ユニゾンで歌うのが手っ取り早いと思うのだが、そこをあえて封印し、ソロパートで押し切ることができたのは、MAZZELのメンバーがこの歌割りに応えることのできる実力者揃いだったという証明でもある。そして重力をまったく感じさせない、ちょっと次元が違う8人のダンススキルにも注目してほしい。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2024-03-27

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