岩田剛典、アルバム『ARTLESS』は“ありのまま”が映し出された作品に アリーナツアーの裏側も語る

岩田剛典、“ありのまま”を映し出す

 2021年にセルフプロデュースプロジェクト Be My guestを立ち上げた岩田剛典(EXILE/ 三代目 J SOUL BROTHERS)が、自身の誕生日である3月6日に2ndアルバム『ARTLESS』をリリースした。初の単独アリーナツアー『Takanori Iwata LIVE TOUR 2024 “ARTLESS”』を前提にして制作したという収録曲全10曲のうち、9曲の作詞に岩田が参加している他、自作のジャケットイラストからMVに至るまで、彼のクリエイティブと遊び心が詰まったアルバムとなっている。

 リアルサウンドでは、リード曲「Paradise」の制作エピソードを中心に、いくつか楽曲をピックアップしながらインタビュー。アルバム『ARTLESS』とアリーナツアーの裏側、急遽配信された新曲「MVP」の話など、幅広く語ってもらった。(斉藤碧)

ツアーを第一に考えて作られた新アルバム『ARTLESS』

――アルバム『ARTLESS』はいつ頃から作り始めたんですか?

岩田剛典(以下、岩田):昨年11月に配信した「モノクロの世界」(アルバム収録曲)も、2022年から制作していたんですけど、アルバムの制作も初の単独ツアー(『Takanori Iwata LIVE TOUR 2022 “THE CHOCOLATE BOX”』)が終わってすぐ、2022年12月頃から取り掛かりました。なので、制作期間でいうと約1年、ようやくみなさんにお届けできて嬉しいです。

――「モノクロの世界」の取材時(※1)は、「この配信は次回作に向けてのジャブでは?」という質問を笑顔ではぐらかされましたけど、やっぱり秘かに準備されてたんですね(笑)。

岩田:あの時はまだアルバムの情報解禁前だったので、言えなかったんです(笑)。でも、「モノクロの世界」が出た頃には、全曲マスタリングまで終わっていましたし、正直、僕の中ではアルバムの先行配信シングルという立ち位置でしたね。

――タイトルの『ARTLESS』は、アルバム制作に入る際に見据えていたコンセプトでしょうか。

岩田:いえ、タイトルは曲が全て揃ってからつけました。『ARTLESS』には“ありのまま”や“着飾らない”といった意味があるのですが、それは僕がソロプロジェクト Be My guestをやるにあたって大事にしていることですし、今、自分が作りたいと思う曲を好きなように作ったので、一番しっくりくる言葉だなと。

岩田剛典 - Just You and Me (Official Music Video)

――1月に先行配信されたダンスチューン「Just You and Me」(Lyrics: Takanori Iwata, Toru Ishikawa/Music: Toru Ishikawa, SILLY TEMBA)に〈ありのままの君でいい〉という歌詞があったので、てっきりアルバムタイトルを先に決めて、それを踏まえて新曲を制作したのかと思っていたのですが、順番が違ったんですね。

岩田:確かに「Just You and Me」は、生きづらい世の中でも自分らしく生きることの美しさを歌いたいと思い、光や希望をイメージしながら作詞したので、伝えたいメッセージはリンクしているんですけど。実際のところは、普段から僕が考えていることが歌詞になり、アルバムタイトルになっているから、結果的に「Just You and Me」の歌詞と被ったっていう流れです(笑)。

――では、アルバムを作り始める際に、一番大事にしていたことは何ですか?

岩田:ツアーのことを第一に考えていましたね。次のツアーの会場がアリーナだから、もうちょっとアップテンポの楽曲がないとライブ空間が物寂しいんじゃないかな? と思って、ライブ映えしそうなデモを集めたんです。で、新曲たちはちゃんとビデオも撮ってプロモーションしていこうと。そうすることで、アリーナツアーに向けて、ファンのみなさんと一緒に気持ちを高めていけたらいいなと思っていました。

岩田剛典 - Just You and Me (Official Performance Video)

――それこそ「Just You and Me」は、MVの他にワンカットで撮影されたパフォーマンス動画も公開されて、話題を呼びました。ダンスの難易度もさることながら、カメラワークも複雑ですが、何テイク撮ったのでしょうか。

岩田:(自信満々の表情で)妥協なき2テイクです! 細かく説明すると、カメラを天井に向けてパッと振るシーンを境に、前と後に分けて1回ずつ踊っていて。その映像をそのまま繋げたので、実質1発撮りですね。しかもアレ、本編のMVを撮り終わった後に撮ったんですよ。

――ハードな1日!

岩田:だから時間もカツカツだし、みんな疲れ切ってて(笑)。逆に1発で決めないと、それ以上に良いテイクは撮れないだろうなと思って、パフォーマンスしている側もカメラマンさんも、みんな緊張しながら撮影していました。その分、本編のMVともひと味違う、気迫が伝わる映像になったんじゃないかなと思います。

「Paradise」で感じられるボーカリストとしての進化

――そして、アルバムのリード曲は、2月12日に先行配信された「Paradise」(Lyrics: Takanori Iwata, SUNNY BOY, SIRIUS, MOONCHILD/Music: Seiji Omote, Fuminori Kagajo, SIRIUS, MOONCHILD)。この曲はどんな構想を持って作っていきましたか?

岩田:「Paradise」もダンスチューンなんですけど、こちらは曲調も2ステップでご機嫌な雰囲気ですし、歌詞もアリーナツアーの会場を“楽園”に見立てて、そこに僕がMATE(三代目JSBのファンネーム)のみんなを連れていくイメージで書きましたね。そしたら、アリーナツアーを回る春から初夏にピッタリの1曲に仕上がって。もともとリード曲を目指して作っていたわけではないんですが、出揃った楽曲を改めて聴いた時に、「Paradise」が一番リードにふさわしいなと感じました。

――作詞のクレジットに名前が挙がっているSUNNY BOYさんは、三代目JSBやEXILEの楽曲も手掛けている方ですが、ソロとしては初の共作ですよね?

岩田:そうですね。でも、SUNNYは昔からプライベートでも親しい友人なので、すごくやりやすかったです。最初の打ち合わせで、SUNNYには「『Paradise』というテーマで作りたい」とか「ドライブシーンをイメージできるようなワードを入れたい」という話をしましたね。MATEのみなさんにアリーナツアーをイメージしてもらう一方で、普通のドライブソングとしても楽しんでもらえる、ダブルミーニングの歌にしたくて。僕のほうからもいくつかワードを投げて、上手く繋げてもらいました。

――〈人生は一瞬さ〉という歌詞は、岩田さんが常々おっしゃっている「人生は一度きり」という言葉と重なって聴こえました。

岩田:これは僕が日頃から大事にしているテーマなので、自ら提案して歌詞に入れてもらったんです。2番の〈生きる意味を探す旅は始まっている〉も入れたかった言葉ですね。あと英詞の部分は、英語が堪能なSUNNYが絶妙な言い回しで表現してくれて。レコーディングにも立ち会ってくれたんですが、その時も英語の発音に関しては細かくディレクションがありました。

――「Paradise」のレコーディング中、ご自身で「これは良いテイクが録れた!」と思ったフレーズは?

岩田:2番の〈オレンジ空の下で We ride〉ですね。〈We ride〉のところは、完パケしたバージョンでは結構しゃくった歌い方をしていて、デモに入っていた仮歌とはニュアンスが違うんですよ。感情を強めに出した歌い方というか。

――そういう意味でも、“ありのまま”の岩田さんを感じられる楽曲になっているんですね。

岩田:そうなんです。正確なピッチで、忠実にガイドラインをなぞっていく歌い方ではなく、その日のバイブスで、良いテイクが録れたら「それでいこう!」っていうレコーディングでした。これはあっという間に録り終わりましたね。なんと、2時間(笑)!

――おお~! 基本的にレコーディングは粘るタイプだとおっしゃっていた(※2)岩田さんにしては、相当早いのでは?

岩田:新曲のレコーディングの中で一番早かったです。たぶん、歌詞ができ上がる前からライブの光景が見えていたから、感情を乗せて歌いやすかったんじゃないかな。

――ただ、“ありのまま”と言いつつ、今までの楽曲よりもキーが高めな印象があったんですが、その点はいかがですか?

岩田:ファンの方からもそう言っていただくことが多いんですけど、自分自身は違和感なく歌っていました。これだけ早く録り終えたっていうことは、今まで挑戦しなかっただけで、意外と自分に合ってたっていうことでしょうね。または、いろんな楽曲を歌っていく中で、徐々に音域が広がってきたのか。「Paradise」は、そんなボーカリストとしての進化も感じてもらえる1曲です。

――ダンスパフォーマンスのポイントについても教えてください。

岩田:「Paradise」のコレオはs**t kingzのNOPPOさんにお願いしたんですけど、この曲のことをものすごく理解してくださっているなと、いただいたコレオを見て感じましたね。いつもそうなんですが、NOPPOさんはなんでもかんでも詰め込むんじゃなくて、歌を聴かせるところは歌が映えるように、ダンスを印象づけるところはしっかり踊る……といった感じで、メリハリを考えた上でストーリー性のあるコレオを作ってくれるんです。そういう彼の良さが、今回の振りにも活かされていると思います。自分からリクエストしたのは、繰り返し出てくる〈Ooh ooh〉くらいですね。そこは印象づけたかったので、マネしやすいキャッチーな振りにしてほしいってお願いしたんですが、あとはお任せしました。

岩田剛典 - Paradise (Official Music Video)

――「Paradise」のMVに対しては、どんな反響が届いていますか?

岩田:「Paradise」はMVに先駆けて音源も先行配信したんですけど、みなさん、映像を観ると印象が全然違うとおっしゃっていましたね。今までに発表してきたMVと比べると表情豊かで、クールなだけじゃない仕上がりになっているので、そういう部分を楽しんでいただけているのかなと思います。

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