乃木坂46、オーディション春夏開催の背景に“危機感”あり 6期生に求められる誰もが認める逸材

 乃木坂46の6期生オーディションが2月2日にスタートした。メンバー募集は2021年7月以来となる。

乃木坂46 6期生オーディション告知ムービー 井上和篇

 ちなみに前回の応募総数は8万7852人で、競争倍率が約7987倍。この超難関を突破して2022年2月にグループへ加入した5期生だが、そのなかでも大きな飛躍を遂げたのが井上和だろう。井上は2023年8月リリースの33枚目シングル表題曲「おひとりさま天国」でセンターに抜てきされ、2023年大晦日の『第74回NHK紅白歌合戦』で同曲が披露された際にもその大役を担った。

 果たして6期生オーディションではそんな逸材が現れるだろうか。

新興勢力の台頭を前に、乃木坂46はどんな手が打てるか

 今回の6期生オーディションで注目するべきは、春、夏の2回にわたって開催されること。これはグループ史上初の試みである。それにしてもなぜ、一度ではなく二度もおこなうのか。

 一つは、乃木坂46として「危機感」を抱いているからではないだろうか。乃木坂46が現在のアイドルシーンでも変わらずトップランクに位置していることに疑いの余地はない。「おひとりさま天国」はYouTubeでも再生回数が850万回以上、「Monopoly」(2023年)も450万回以上という数字を記録している(2024年2月時点)。一方で「インフルエンサー」(2017年)、「シンクロニシティ」(2018年)のような、ファンの域を超えて一般層まで広がる“社会現象的”な楽曲が久しく登場していないのも事実。誤解を恐れずに言えば、再生回数に見合った世間の反響が感じられないのだ。

乃木坂46『おひとりさま天国』
乃木坂46『Monopoly』

 また、現在の音楽シーンのヒットを生むツールの一つであるTikTokでも、乃木坂46が目立った影響力を放っているとは言い難い。音楽やアイドルに関するさまざまな情報を受動的に仕入れられるツールにおいて、ファン以外が乃木坂46の楽曲を何気なくキャッチできる機会が少ない現状は、かつてほどの爆発力が失われつつあると言える。

 反対に「アイドルライフスターターパック」(2022年)が根強い人気を誇るiLiFE!、「わたしの一番かわいいところ」(2023年)がSNS総再生回数9億回を超えて「日本レコード大賞」最優秀新人賞にまで上り詰めたFRUITS ZIPPERといった新興勢力が台頭。両グループの存在や楽曲は、アイドルに興味がない人でも見聞きすることが多かったはず。そういったニューフェイスが、2020年代のアイドルシーンに新たな1ページを加えようとしている(もちろんそれが長続きするかどうかは別だが)。

【MV】アイドルライフスターターパック/iLiFE! 【コール動画】
【MV】FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」

 そういったトレンドがなかなか作り出せないもどかしさが、乃木坂46の危機感につながっていると推察できる。

 もちろん、メンバーに厚みをもたせることがすなわち爆発的なトレンドにつながるわけではない。ただ、可能性を広げることはできる。なにより今のモヤモヤとした停滞感を打破するためには、グループを常に動いている状態に持っていくことが重要ではないだろうか。そのためにも今回のように二度のオーディション開催でトピックスを作るなど、活発さを可視化させるべきだろう。そうすることでファン以外も「目が離せない」と思えるグループになるかもしれない。

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