ammo、“ライブハウスで熱いバンド”であり続けるために ブレずに突き進む先に目指す景色
1月17日にトイズファクトリーよりEP『re:想-EP』とストリーミング/DL限定EP『re:奏-EP』の2作同時リリースでメジャーデビューを果たしたammo。岡本優星(Vo/Gt)、川原創馬(Ba/Cho)、北出大洋(Dr)からなる3ピースロックバンドだ。2018年大阪・東大阪にて結成、My Hair is Badやハルカミライ、SIX LOUNGE、FOMAREなどストーリー性の高い歌詞を武器にライブハウスシーンで支持を集めるバンド/レーベルを擁するTHE NINTH APOLLOに憧れ、2020年傘下のOrange Owl Recordsに所属。“ライブハウスでカッコいいバンド”であることを追求しながら存在感を高めてきた。
今回のインタビューでは、メジャーデビュー作にまつわる話はもちろん、ammoがどんなバンドなのかをより深く知るべく、音楽のルーツや結成当時の話題、3人が活動する上で大切にしていることなど幅広い話を聞いた。(編集部)
結成当初から変わらない“ライブハウスでカッコいいバンド”への憧れ
──1月17日にメジャー第一弾EPとしてCD『re:想-EP』と配信作品『re:奏-EP』をリリースしました。メジャーデビューしたことで、何か変化はありますか?
岡本:まだあんまり実感がないですね。ツアーで何か感じるものがあったらいいなと思っています。
──では、メジャーデビューが決まったときはどう感じましたか?
岡本:うれしかったです。「本当にammoですか?」って。
──「ほかのバンドと間違えてないですか?」って(笑)?
岡本:はい、「間違えてないですか? 本当に俺らですか?」って(笑)。でも本当にありがたかったですね。
──バンドとして、メジャーデビューは視野に入っていたのでしょうか?
岡本:はい。ずっと憧れていました。
──ライブバンドだと特に、メジャー/インディーズということを気にしていないバンドも多いと思いますが、ammoは違った?
岡本:そうですね。いいライブをしているとか、いい曲を作っている自信はあったので。ライブハウスに普段来てくれている人も大事ですが、それ以外にも届けるためにはメジャーデビューは大事かなと思っていました。
川原:自分たちがライブハウスに来るきっかけになれたらいいなと、ずっと思っていたので。
──リアルサウンド初登場ということで、幼少期に聴いていた音楽やバンドを組むきっかけになったアーティストなど、皆さんの音楽遍歴を教えてください。
岡本:ファンモン(FUNKY MONKEY BΛBY'S)やGReeeeN、嵐などが世代なので、小さい頃はそういったものを聴いていました。お母さんが車の中で流していたのは阿部真央さんや3B LAB.☆S。中でも阿部真央さんは今でも好きですね。バンドを聴くようになったのは中3のとき。Green DayをYouTubeで見つけて、そこからバンドが好きになりました。
──Green Dayが刺さったのはどうしてだと思いますか?
岡本:何でかはわからないけど……めっちゃ衝撃的だったのを覚えています。「なんだこれ!」って。歌詞は英語なので意味はわからないんですけど、メロディを聴いて「カッコいい! バンドっていいなぁ!」って。
──ギターを始めたのはGreen Dayと出会ったから?
岡本:いや、ギターはおじいちゃんがやっていて、教えてもらいました。最初はアコギで、OasisやTHE BLUE HEARTSの弾き語りをコピーしていて、Green Dayを好きになってからエレキに持ち替えました。
──ではおじいさんは岡本さんがバンドを組んでいることを喜んでいるのでは?
岡本:はい、今でもライブによく来てくれます。
北出:僕は、オトンがハードロックが好きだったので、家や車の中で海外のハードロックやグランジがかかっていました。
──ハードロックを小さい頃から聴いていたのは、ある種の英才教育だったのかもしれないですね。
岡本:うらやましい。
川原:うん、すげーうらやましい!
北出:だからといってハードロックのバンドはやったことないですけどね(笑)。僕がバンドを好きになったきっかけはONE OK ROCK。ワンオクと出会ってから、自分でも掘って音楽を聴くようになりました。ワンオクを聴いたきっかけもオトンで。当時のワンオクはエモパンクっぽくてオトンが好きだったから「お前も聴けよ」って勧められて。MVを見たらめっちゃハマりました。今でも好きで、チケットを取ってライブに行っています。
──ドラムを始めたのはONE OK ROCKを好きになってからですか?
北出:そうですね。そこからワンオクやRADWIMPSを聴くようになって。中学のときに音楽好きの友達3人で「コピーバンドをやってみよう」とバンドを組んだのが最初です。でも初め、僕はベースやったんですよ。でもドラムをやっていたやつが「ベースをやりたい」って言い出して。僕は「絶対にベースがいい」というこだわりも特になかったので、気付いたらドラムを叩くようになってた。なので、知らん間にドラムを始めてたっていう感じです(笑)。
川原:僕はテレビばかり見ていて、車の中で音楽を聴いていた思い出もない。特に好きなアーティストとかもいないし、ドラマの主題歌とかそういうものを聴いていました。バンドに触れたのは、高校1年生で軽音学部に入ったことがきっかけ。軽音楽部に入るつもりはなかったんですけど、友達に「頼むからついてきて」と言われてついていったんです。で、友達がベースをやるって言うから「じゃあ僕も」とベースを始めました。バンドというものを知らなかったから、僕もベースをやれば一緒にできると思っていたんですよね。
── 一緒に練習もできるし。
川原:そう。一緒のバンドでできると思っていたんですけど、ベースはバンドに1人しかいらなかった(笑)。でも始めたらハマっちゃって、結局高校のときはずっとベースを弾いていました。
──ammoは岡本さんと川原さんが、当時のドラムの方と一緒に結成したことが始まりですが、お二人はどこで出会ったのでしょうか?
岡本:その軽音学部です。
川原:(岡本が)初めてバンドを組んだ人です。
岡本:そう、お互い。だからもう8~9年くらい一緒にバンドをやってるんですよ。
──結成時、ammoとして「こんなバンドをやりたい」とか「こういう音楽を鳴らしたい」といったものはあったのでしょうか?
岡本:THE NINTH APOLLOのバンドが好きだったので、スリーピースで、ライブハウスで熱いバンドになりたいと思っていました。
──ライブハウスで熱いバンドという理想像は今も変わらず?
岡本:はい。ライブハウスでカッコいいバンドでいたいっていうのは、ずっと変わらないですね。
言葉遊びからドラマを広げていく ammo流の歌詞の紡ぎ方
──そして『re:想-EP』と『re:奏-EP』でメジャーデビューを果たしました。今回は全曲新曲のCD『re:想-EP』と、「何℃でも」に再録曲4曲を加えたデジタルオンリーの『re:奏-EP』の2作品同時リリースという形です。そもそもこの2種類を同時リリースしたのはどうしてだったのでしょうか?
岡本:レーベルの方が提案してくださって。俺らから言ったわけじゃないですけど、しっくり来たので、こういう形で出してみようということになりました。
──ammoはこれまで配信やサブスクでのリリースはせず、CDのみのリリースでしたが、デジタルリリースやサブスクには抵抗があったのでしょうか?
岡本:最初はあったんですけど、去年くらいからなくなってきて。興味が出てきたから、1回やってみたいと思ってやってみました。
──実際にサブスクで解禁されましたが、周りからの反響はいかがですか?
岡本:周りからの反響はまだあまり感じていないですね。ただ、自分の携帯に「再生中」として自分のジャケットが出てくるのがすごく新鮮です。
北出:友達が喜んでくれました。応援はしているけどCDを買うまではいかないみたいな友達が。
岡本:それは友達って言わないよ(笑)。
北出:あはは(笑)。
川原:でも自分の周りの人でも「CDの音源の入れ方わからん」っていう人が多いんですよ。「CDの入れ方わからんし、聴く機械もない」って。だからサブスク解禁になって、「これでやっと聴けるわ」って言われます。
──『re:想-EP』と『re:奏-EP』共に収録されているのが新曲「何℃でも」。〈I seeってマスカラとセットでBye〉と〈愛知ってますから大丈夫〉での韻踏みや、〈第一毎日お利口におしゃぶり咥えた青二才 再三度目の正直なんか四度目の嘘つきの始まり〉という言葉遊びなど、いつもに増して歌詞の言葉選びが秀逸な1曲です。そもそもammoの楽曲は同音異義語や、韻踏みなど趣向を凝らした歌詞が魅力の一つですが、曲はどのように作っていくのでしょうか?
岡本:使いたい言葉やパワーワードを軸にして、そこから広げていく感じです。「この言葉遊びを入れたいから、それにドラマを付けていく」という。
──曲全体のストーリーや物語はどのように作っていくのでしょう? 実体験なのか、映画や小説など何かからインスピレーションを受けるのか、完全なる想像なのか。
岡本:映画からインスピレーションをもらったものもあります。「不気味ちゃん」(2nd EP『灰汁とAct EP』収録)は映画から。でも、この曲「何℃でも」に関してはリアルが少し入っていて。実体験をもとに、そこから広げていった感じです。物語の作り方は曲によって本当にバラバラですね。
──「何℃でも」で、軸になった言葉や使いたかったワードは何ですか?
岡本:サビ頭の〈派手になった髪と化粧〉と、2番の〈派手に散った愛の結晶〉。この2つを思いついて、これを軸に曲を作ってみようと思いました。
──川原さん、北出さんは「何℃でも」を演奏する上で意識したことはありますか?
川原:曲によって意識を変えるということはあまりしたことがなくて。弾き語りの音源からバンドサウンドをイメージして、ガーッと打ち込んでいくだけなんですよね。……面白くなくてすみません。
北出:俺はオールインするところの「ダーダダダダダダ」とか、シンプルなフレーズやけど、ニュアンスを出すことにこだわってレコーディングした記憶があります。創馬と相談しながら。ただ叩くだけじゃないというか。
川原:「ダーダダダダダダ」を100回以上叩かせました(笑)。
北出:シンプルなフレーズだからこそニュアンスを出すというのは、ammoの曲全部に言えるかもしれないですね。特別難しいことをやっているわけではないけど、ドラム始めたての人とかやったらカッコよくならへんやろうなって。……って、自分で言うのはあれですけど(笑)。
──岡本さんがボーカルのレコーディングの際に意識したことは何かありますか?
岡本:『re:想-EP』でも『re:奏-EP』でもリード曲になっていて、MVにもなるし、ラジオのパワープッシュとかにも選んでもらっていて、いろんな人に聴いてもらう曲になると思ったので、バンドサウンドに埋もれないように、声が先に入ってきて「ん?」とちょっと違和感を感じるような、鼻から抜けるような声をあえて作ろうというのは意識していました。
──ammoの楽曲は普段から歌声がバンドサウンドに埋もれないような作り方をされていると思うのですが、今回はいつも以上に意識したということですか?
岡本:はい。普段よりも聞こえやすく、どこか引っかかる声を作りました。これからさらに、そういう発声にしていきたいなと思っています。
──少し話が逸れますが、ammoはライブでも歌詞が聞き取りやすいですよね。
岡本:はい。そこはすごく意識しています。歌詞にこだわっているので、ちゃんと聞こえてほしいじゃないですか。だからもう、わざとらしいくらいハキハキ歌おうと昔から思っています。