≒JOY、『きっと、絶対、絶対』で首位獲得 指原莉乃が打ち出す“アオハル”感がグループのイメージに

 全楽曲の作詞を務める指原莉乃の手腕にも注目したい。彼女の歌詞のスタイルと言えば、ハロー!プロジェクトを手掛けるつんく♂からの影響や、秋元康イズムを取り入れたもの、あるいは昨今のK-POPを中心としたガールズポップのトレンドを汲んだものなど、様々なタイプの歌詞を自在に使い分ける柔軟さが特徴だ。なかには=LOVE「ナツマトペ」のように、彼女独自のセンスが発揮された造語表現も登場する。

 だが近年、彼女の作品で頻出しているのが“青春感”を打ち出したものである。=LOVEと≠ME、≒JOYの3グループ合同の楽曲・イコノイジョイ「トリプルデート」や、『ラブライブ!』シリーズの蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブに提供した「夏めきペイン」など、最近の彼女の注目作はいずれも夏を舞台とした爽やかな空気感を感じさせるもので共通している。

 とりわけ≒JOYの楽曲は、そうした“アオハル”的な世界観が強く打ち出されたものが多く、本作のラストを飾る「きっと、青い」はその象徴とも言える楽曲だ。虹の架かる長い道が舞台のこの曲は、晴れわたる景色を背景に夢を追いかける主人公のポシティブな姿を描いた一曲。主人公は恋愛よりも友情や仲間を大切にし、がむしゃらに夢を追いかける姿が鮮やかに浮かび上がるような歌詞に仕上がっている。現時点での≒JOYのイメージを決定づけるような作品だ。

 このように今作は、王道のバンドサウンドの作品を中心として、振れ幅の大きさを見せる特徴的な楽曲もありつつ、グループカラーになりつつある青春感もしっかりと備えた曲が並ぶ。そしてグループ名を冠した楽曲を収録している点からも、本作の持つ意味は大きいだろう。

 ただやはり、パッケージとしては既発曲の多さがどうしても気になるところ。ミニアルバムと銘打っていながら10曲収録しているのはお得感があるが、=LOVEや≠MEのシングルに収録されていた楽曲6曲など、すでに発表した作品が大半を占めるラインナップではどうしても新鮮味に欠けてしまう。だからこそ、たとえばメンバー個々の特徴をもっと押し出した新曲を録ってみたり、姉妹グループにはない自由な取り組みをもっと期待したかった(ただし既存曲の中でも「超孤独ライオン」は秀逸だ)。

 いずれにせよ、ある種スタートラインに立ったと言える本作には、グループの今後への大きな可能性が感じられる。

=LOVEや≠MEら楽曲で光る、指原莉乃の柔軟な作詞力 アイドル愛に満ちた“発想力”も武器に

指原莉乃がプロデュースするアイドルグループ=LOVEと≠MEが、新曲「次に会えた時 何を話そうかな」のMVを4月15日に公開した…

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