JUVENILE、ボーカルに初挑戦 アニメタイアップに導かれた新時代の音楽プロデューサー像
プロデューサー視点があるからこそのボーカル面でのこだわり
ーー楽曲の方向性はアニメ側からの要望はあったんですか?
JUVENILE:「この曲のこういうイメージで」という断片的な要望があって、なかでも覚えているのはNine Inch NailsやRage Against The Machineあたりのメタル〜ミクスチャーロックでした。僕はバンド経験がないので、正直通っていないところなんですけど、自分の音楽にギターのサウンドはずっと取り入れてきたので、そこは難しくないだろうと思ってました。やっぱり自分の音楽性はヒップホップとエレクトロの2枚看板なので、今作はそのうちエレクトロの要素をロックに織り交ぜています。
ーー制作は順調でしたか?
JUVENILE:自分のやりたいことと求められていることを掛け合わせるのが大変でした。エレクトロやロックって何年かでトレンドが変わっちゃうんです。アニメの曲って作り始めてから最終的にリリースされるまでそれなりの時間があって、長いと1年かかる。そうなると1年後を見越して曲を作りたい気持ちがあって。「今は全然来てないけど1年後にはこういうものが流行ってそうだからこういう要素を入れたい」みたいなことも多いんですよ。そういう先に行きたい気持ちと、鉄板な要素のマッチングが難しくて。
ーートレンドの先取り的なことですね。
JUVENILE:ただ早すぎても奇を衒いすぎていたり、1周遅れているみたいにもなっちゃう。そのちょうどいいタイミングに合わせるのが難しいんです。
ーーそんななかで今作は力強いエレクトロサウンドと疾走感のあるロックサウンドが印象的です。どんなことを意識しましたか?
JUVENILE:重い音にするためにドロップチューニングを採用しているんですけど、普通はやっても半音下げのところを、この曲は一音半下げて、今時のロックでもやらないくらいヘヴィなギターを弾いてもらってるんです。そういう本家でもやらないぐらいのフレーズを入れた方がそれっぽくなるし、これくらい重いほうが四つ打ちのリズムとも合ってちょうどいいと思いました。
ーートークボックスプレイヤーでもあるJUVENILEさんにとって、ボーカル面はこだわる部分かと思います。今作のボーカルではどんなことを意識しましたか?
JUVENILE:曲を作るのは長いことやらせてもらっていて、いろんなアーティストさんから俳優さんや声優さんまで曲を作らせていただくんですけど、そのなかで僕がボーカルディレクションをすることも多いんです。今回は僕一人で録ったので、僕がボーカルであり、僕がディレクターでもある。だから一度ボーカルを録ると、どうすべきか瞬時にわかるんですけど、それができないのも瞬時にわかるんです。脳みそと喉との戦いですよね(笑)。
ーーやりたいことに体が追いつかない。
JUVENILE:そうなんです。やりたいことが明確にあるんですけど、フィジカルが足りない。トークボックスはもう10年以上やってるので、ほぼワンテイク録ったら終わり。でも歌は何回録ったかわからないくらい録りました。1回録って、寝かせてからもう1回違う日に録ったりもしたくらいです。ボーカリストって大変だなと思ったので、今後ディレクターとしてレコーディングする時にもっと優しくなれると思います(笑)。
ーー曲中ではエモーショナルなボーカル表現も随所に見られますよね。
JUVENILE:一度全体をそれで録ったんですけど、トークボックスとのバランスが悪くて悩んだんです。どれくらい癖を強く歌うのか。ボーカルって、基本的に癖だと思うんですよ。でもその癖、つまり個性を出すと、トークボックスと凸凹になりすぎてしまう。なので全部録り終えてから「もうちょっと平坦な歌い方のほうがいいのかな」と思って、ど平坦バージョンを録り直しました。でも結局、その中間だなと。
ーー感情的すぎてもダメだし、ドライすぎてもダメ。
JUVENILE:そう、そのバランスをプロのボーカリストの方はすぐに調節できると思うんですけど、そこはやっぱり僕が正直まだまだ足りないところだと思います。歌専門の方ならぱっと一瞬で、それこそ僕がトークボックスを一発で録り終えるようにできると思うんです。そこは今後上達していきたいと思いますし、音楽にまだまだ堀り甲斐のある場所があるぞと思いました。
ーートークボックスと生歌を使い分けていると思いますが、そのバランスについてはいかがですか?
JUVENILE:最初に自分が歌う曲ということで生歌とトークボックスの割合が半々ではダメかなと思ったんです。どちらかと言えば歌が多い方がいいなと思ったので、最終的に7:3くらいに落ち着きました。
ーートークボックスって、もちろん音色選びやテクニックに個性は出ますけど、基本的に匿名性が強いと思うんです。これまでずっとトークボックスを使っていたJUVENILEさんにとって、今作は歌声という自分自身のパーソナルな一面を表出させる作品になったと思うのですが、その点についてはどう感じましたか?
JUVENILE:やってみてわかったんですけど、歌ってそれがめちゃくちゃ出るんだなと思いました。もちろん出るものだと思うんですけど、こんなに自分が晒け出されるんだという戸惑いがまずあって。そことの気持ち的な向き合いがありましたね。それを言い出したら曲なんて全部そうなんですけど、今まで自分が思っていた感じではなくて、その出し入れのコントロールも難しい。今までも自分を出すことは散々やってきたはずなんですけど、ちょっと出し方を変えただけでこんなに気持ちが違うんだと思いましたね。
ーーあらためてこの曲はJUVENILEさんにとってどんな意味を持つ曲になりましたか?
JUVENILE:大きなターニングポイントになったと思います。10代の頃は一人でステージにも出ずにただ自分のためだけに曲を作ってたんですけど、そこからユニットを組んだり、ソロになったりして、いろんな活動をしてきましたが、今までとまったく違います。メロディとトラックを作ってリリースするという意味では、やることは一緒なんです。でもこんなにも違うものなんだと感じました。
ーー歌い手としての第一歩ですね。
JUVENILE:そうですね。でもこれからは歌しか歌いませんということではなくて。トークボックスとゲストボーカルの他に、自分の言葉で自分の声で歌うというチャンネルが一つ増えたっていうのが大きいと思います。
トレンドをリードできるような存在に
ーーここから先に目指すJUVENILEさんならではの音楽家像はありますか?
JUVENILE:僕みたいにプロデューサーで自分でも歌う人がこれからもっと増えると思うんですよ。別に誰かが示し合わせてみんなで歌おうぜって旗を振ってるわけではないですけど、そういうトレンドをリードできるような存在になりたいですね。僕が思い浮かべるプロデューサーさんって、小室哲哉さんも中田ヤスタカさんも、m-floの☆Taku Takahashiさんも、みなさん歌わないですよね。それも単に時代的なもので、プロデューサーは歌うものじゃないと思われていたからだと思うんです。でも今を生きる僕は「別にプロデューサーが歌ったっていいじゃん」と思っていて。これからはそれが当たり前になっていくと思います。
ーー有名無名問わず、他のプロデューサーと比べてもJUVENILEさんの特徴はトークボックスだと思います。トークボックスを世に広めたいという思いはありますか?
JUVENILE:あります。つい最近もトークボックスによるカバーアルバム『INTERMISSION』をリリースしたんですけど、それはトークボックスを広めたい一心でやりましたね。あと何年か前に『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)に出演させていただいたことがあって、そこから「トークボックスめっちゃすごいじゃん!」ってよく言われるようになったんですけど、もう10年以上やってると、それがすごいことだという意識もなくなってくるんですよ。
ーーJUVENILEさんのそうした活動もあってか、最近トークボックスをいろいろな場所でよく耳にするようになりました。
JUVENILE:やる人も増えましたよね。それこそOfficial髭男dismもそうですし、バンドのキーボードの人とかがトークボックスをやってると嬉しくなりますね。間違いなく僕のことも見てるだろうなって(笑)。YouTubeで検索したら必ず僕がヒットするので。
ーーちなみに最近はどんな音楽に注目してますか?
JUVENILE:いまエレクトロとかヒップホップって、音楽シーンの真ん中に来たと思うんです。音楽と言えばヒップホップという時代ですよね。そういうなかで、ポップスにしっかりと昇華できているのはやっぱりK-POPだなと。バンドだと日本でもいますけど、僕が好きなエレクトロとかヒップホップをポップスにうまく昇華できているのは韓国のアーティストだと思います。なので、韓国のアーティストにはめちゃめちゃ刺激を常に受けてますし、アルバム『INTERWEAVE 03』でも2人ほど韓国のアーティストと一緒にやらせていただいています。韓国とは距離的にもそんなに遠くないので、交流して勉強させてもらいたいなぁと常々思っています。
ーー“トークボックス日本代表”として世界中で活躍することを期待してます。
JUVENILE:そうですね。それは自分の使命としてやっていきたいです。
■リリース情報
JUVENILE「IMMORTAL」
作詞・作曲・編曲:JUVENILE
配信:https://lnk.to/juvenile_immortal
■アニメ情報
TVアニメ『望まぬ不死の冒険者』
<TV放送情報>
AT-X:1月8日より毎週月曜21:00~
リピート放送:毎週水曜9:00~/毎週金曜15:00~
TOKYO MX:1月8日より毎週月曜24:30~
サンテレビ:1月8日より毎週月曜24:30~
BS日テレ:1月9日より毎週火曜23:30~
<配信情報>
dアニメストア・Netflix:1月5日より毎週金曜22:00~ 地上波先行・国内最速配信
※その他配信サービスは1月12日より順次配信予定。放送・配信日時は変更になる場合がある。
<スタッフ>
原作:丘野 優(オーバーラップノベルス刊)
キャラクター原案:じゃいあん
原作コミック:中曽根ハイジ(『コミックガルド』連載)
監督:秋田谷典昭
副監督:福島利規
シリーズ構成:菅原雪絵
キャラクターデザイン/総作画監督:佐野隆雄
サブキャラクターデザイン:原 友樹
キーアニメーター:渡部高志、古川英樹
プロップデザイン/世界観デザイン:バーンストーム・デザインラボ
色彩設計:但野ゆき子
美術監督:李 凡善
撮影監督:山本裕規
3D監督:濱村敏郎
編集:仙土真希
音楽:成田 旬
音響監督:亀山俊樹
音響制作:ビットグルーヴプロモーション
音楽制作:ポニーキャニオン
アニメーション制作:CONNECT
オープニングテーマ:JUVENILE「IMMORTAL」
エンディングテーマ:阿部真央「Keep Your Fire Burning」
■関連リンク
JUVENILE
HP:https://juvenile-tokyo.com/
X(旧Twitter):https://twitter.com/juveniletalkbox
TVアニメ『望まぬ不死の冒険者』
公式HP:https://nozomanufushi-anime.jp/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/nozomanufushiPR