トンボコープ、悔しさをバネに辿り着いた“最高の夜” 満員の渋谷WWW公演を観て

 「最高の夜を続けていこうと思います!」と始まったのは「ストーリーモンスター」。勢いそのままに、疾走感あふれる「むかしむかし」へとなだれ込む。しかし、1曲終えた後に「なんか大阪の方が盛り上がってんじゃね?」とフロアを煽った4人は、先ほどよりも力強い手拍子とハンズアップが繰り広げられる中で「むかしむかし」を再度披露。クライマックスに向けて、会場の熱気がどんどん高まっていく。

 「バンドを始める前は弾き語りをやっていました」と語った雪村。トンボコープの結成が決まり、弾き語りで出演したライブの主催者に「大きなバンドになりたい」と夢を伝えたら、そんなにすぐに上手くはいかないと言われたという。「悔しくて今も覚えている」と告げてから目の前の光景を見つめ、「でも今日、渋谷WWW埋まりました!」と嬉しそうに笑った。「何が言いたいかって、誰に何言われても、自分を信じて生きていけってこと。そうやって生きてきて、今が最高だ!」と叫び、本編ラストの「Now is the best!!!」に突入。周りから何を言われても、同年代のバンドたちが成長していくのを見て悔しさを感じながらも、トンボコープは自分たちを信じて前に進んできた。そうして辿り着いたのが、満員の会場で迎えた今日この“最高の夜”だったのだと思う。4人が生き生きと楽しそうに演奏する姿は、〈今が最高じゃん〉の歌詞をそのまま表すようだった。

 観客の「Now is the best!!!」の歌声が響く中、ステージに戻った4人は「新曲を持ってきました!」と報告。「皆の力を貸してほしいんですけどいいですか?俺のあとに続いて歌って!」と、雪村はフロアを上手・下手に分け、曲中のシンガロングパートをレクチャーしていく。新曲「喜怒哀楽」は温かみのあるミドルナンバー。サビではメンバー全員でクラップを煽り、間奏では観客のシンガロングが響きわたる。会場を再びひとつにしてライブを締めくくった。

 自身最大キャパとなった渋谷WWW公演を大盛況に終え、最高の夜をつくりあげたトンボコープ。アンコールでは、来年2月に行われるバンド初の東名阪ツアー『トンボコープ 2nd TOUR 2024「METAMORPHOSE」』も発表された。彼らの“最高”を更新する旅は、これからも続いていく。

1. 風の噂
2. 過呼吸愛
3. 独裁者
4. 信号花火
5. サンポリズム
6. 鼾
7. 夢の10年後
8. ストーリーモンスター
9. むかしむかし
10. Now is the best!!!
En.喜怒哀楽 (新曲)

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