矢野沙織、菊地成孔と語り合った最新アルバム『The Golden Dawn』 プレミアムイベントをレポート

 アルバムの制作過程に関するトークのあとは、映画館である会場の音響設備を使って楽曲を鑑賞。菊地がストリングスアレンジを手掛けた「Rocker」「Autumn Leaves」「I'm In The Mood For Love」を聴きつつ、印象についてふたりが語り合う。

 「Rocker」は、チャーリー・パーカーの楽曲のなかでも矢野が憧れを抱いているもののひとつ。今作に収録された同曲のアレンジが、チャーリー・パーカーならではの緊張感、不安定な雰囲気に通ずるニュアンスを醸し出しているのがお気に入りのポイントだと矢野は語っていた。続いて「Autumn Leaves」。アルバムに収録されたのは、本番前のテストテイクなのだという。修正を重ねることでは得られないニュアンスが、どこか野趣のある矢野のプレイを生む大切な要素だと再確認することができた。

 そして最後に聴いたのは、矢野の師匠であるジェームズ・ムーディが大好きだった「I'm In The Mood For Love」。「ストリングスを入れて温かくするのは簡単なんです。背筋に氷柱を刺したのは、さすが菊地さんです」と、彼女ならではの独特な表現で賛辞を贈っていた。

 年明けの1月31日には、矢野沙織20th『20th「The Golden Dawn」at Billboard Live YOKOHAMA with Strings(conducted by 菊地成孔)』が開催される。菊地が指揮を務め、ストリングスも加わった演奏も披露されるこの公演にファンが寄せている期待はとても大きい。『The Golden Dawn』に収録された楽曲の魅力を深く噛み締められる機会となるはずだ。

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