『プロセカ』ワンダーランズ×ショウタイムが持つ二面性 空想とリアルから紡がれるユニットの魅力

 この他にも明るさと元気さが大きな取り柄のえむ、そして冷静さと大胆さを兼ね備えた研究者気質の類といった、非常に個性的なメンバーが揃うワンダショ。そんな彼らを他ユニットと比較した際の特異点は、個々で掲げる夢が違う点にある。

 パフォーマー、演出家、テーマパーク経営……あくまでそれぞれの目標に向かう中で、たまたま同じ道を歩むこととなった。それが当初のワンダショというユニットが抱える性質でもあった。しかし徐々に、仲間と共にいる楽しさと各々の最終地点を天秤にかけることになった彼ら。その悩みを乗り越え、テーマパークを飛び出したショーユニットとして、彼らは新たなフェーズへと歩みを進めることになる。

にっこり^^調査隊のテーマ / ワンダーランズ×ショウタイム × 初音ミク【3DMV】

 そんなユニットの物語は、従来よりボカロシーンでもファンタジー色の強い楽曲に定評のあるボカロPたちによって彩られている。OSTER project(「ニジイロストーリーズ」)やsasakure.UK(「トンデモワンダーズ」)、キノシタ(「Glory Steady Go!」)、ワンダフル☆オポチュニティ!(「にっこり^^調査隊のテーマ」)など。一聴するだけで心がうきうきと楽しくなるサウンドを得意とする彼らの楽曲は、まさに“すべての人を笑顔にする”目標を掲げるワンダショとの相性も抜群だ。

どんな結末がお望みだい? / ワンダーランズ×ショウタイム × 初音ミク

 一方で、各々が明確な夢を掲げる彼らならではの内面を切り取ることに長けた面々も提供陣には見受けられる。ユニットの顔となる曲「セカイはまだ始まってすらいない」を手掛けるピノキオピー、「どんな結末がお望みだい?」を提供したぷす(fromツユ)などは、その典型的なクリエイター陣だろう。

 そんな二つの面をあわせ持つ部分こそ、ワンダショというユニットらしさを形作る大きな一要素でもあるに違いない。楽しいひと時はあくまで一過性で、それが過ぎ去れば待ち受けるのは現実。だからこその一瞬を、大いに楽しいものにする。その価値観は、しばらくは共に歩む選択をしたものの、未だ高校生として将来に数多の選択肢を持ち、ゆくゆくは道を違える可能性も在り続けるユニットの現状をも内包していると言っていい。

 だが楽しいひと時が刹那に過ぎ去った後も、それがなくなるわけではない。むしろ彼らの場合は明確に、共にワンダショとして過ごした時間があってこそ各々の夢や目標に辿り着く未来がある。そう思えば今自分たちにできる最善を、迷いながらも仲間と掴み取る彼らの決断や選択、その一つひとつがどれもひどく愛おしく思えてくるのではないだろうか。

 一人ひとりの夢、そしてユニットでの夢。今後もきっと様々な経験をしながら、文字通り自分たちも含めて“すべての人を笑顔にする”道をワンダショは模索し続ける。今後も彼らが紡ぐハッピーエンドの物語を、幕が下りるその瞬間まで見届けていきたい。

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7th Single『Mr. Showtime/箱庭のコラル』(Art by メレ/ mele)

■リリース情報
ワンダーランズ×ショウタイム 7th Single『Mr. Showtime/箱庭のコラル』
2023年12月20日(水)発売
価格:¥1,540 (税込)

<収録内容>
1.Mr. Showtime
2.箱庭のコラル
3.Mr. Showtime -instrumental-
4.箱庭のコラル -instrumental-

詳細はこちら
https://bushiroad-music.com/musics/brmm-10698

『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』公式サイト
https://pjsekai.sega.jp/

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