ALAN SHIRAHAMA、ダンスミュージック愛で切り拓く新たな道 ソロ活動に懸ける本気度を語る

 EXILE/GENERATIONSのパフォーマーであり、クリエイティブユニット PKCZ®のフロントマンとしても活躍する白濱亜嵐が、12月8日にALAN SHIRAHAMA名義での1st EP『null』をリリースした。今作は、2022年4月に一足早く海外ソロデビューを実現した彼にとって待望となる日本ソロデビュー作であり、全世界でも同時配信中。DJ/音楽プロデューサーであるALAN SHIRAHAMAの名を世界に知らしめる作品となっている。2015年にDJ活動を始めてから、約8年。30歳で踏み出した大きな一歩と、高まり続ける音楽愛について、思う存分語ってもらった。(斉藤碧)【記事最後にプレゼント情報あり】

ALAN SHIRAHAMA - Solo début 1st Digital EP「null」Official Teaser

「世界と張り合える日本人DJになるための1発目」

――世間的には、亜嵐さんの名前を聞いた時にパフォーマーや俳優として活躍している姿を想像する方も多いと思いますが、これまでの活動を振り返ると、ご自身にとっては満を持してのソロデビューなんでしょうね。

白濱亜嵐(以下、白濱):そうですね。近年はGENERATIONSやPKCZ®の一員として楽曲を制作したり、マイクを握る機会が増えていますが、DJ活動をスタートした2015年頃から「ソロEPを作りたい」とか「1人の音楽プロデューサーとして海外進出したい」といった目標を掲げてやってきましたから。完成したEPを手にして、ようやくここまで来たなという気持ちでいっぱいです。

――今年はGENERATIONSにとってデビュー10周年のアニバーサリーイヤーでしたが、その節目に突き動かされたところもありますか?

白濱:いえ、ソロデビューは10周年とは別に考えていました。もちろん、GENERATIONSやEXILEとして経験してきたことの上に、今の僕がいるわけですけど。10周年の節目だからグループを背負って世界に飛び出していくのではなく、僕個人での挑戦という意味合いが強かったです。というのも、僕は今年8月に30歳になったんですけど、個人的に、世界に挑むなら30歳までが限界かなと思っていたんですよ。だから今年がラストチャンスだと思っていて。このタイミングでソロEPを完成させて、海外デビューを実現するために他の活動と並行して楽曲を準備してきました。

――1st EPのタイトル『null』は、数字の“0”でもなく、“存在しない”という意味を持つ言葉ですが、そこにはどんな想いが込められていますか?

白濱:自分は昔からダンスミュージックが好きで、いろんな楽曲を聴いて育ってきたんですが、今回、DJ/音楽プロデューサーとして本格的にダンスミュージックの世界に飛び込むにあたって、僕はその中にまだ存在していないなって思ったんですよね。スタートラインに立った瞬間だから、立ち位置すらないなって。それで、その心境に当てはまる言葉を探した結果、“何もない”や“存在しない”という意味を持つプログラミング用語「null」に辿り着きました。

――そして“まだ存在していない”というのは、亜嵐さん自身のことだけでなく、日本のダンスミュージックシーンを見ていて感じたことでもあると。

白濱:はい。日本でも『ULTRA JAPAN』のようなフェスは大々的にやっていますけど、幅広い層にダンスミュージックが普及しているかというと、そうではないじゃないですか。でもヨーロッパに行けば、街中で当たり前にダンスミュージックが流れているような国がたくさんあって。そういう国々のスターDJと比べると、自分も含めて、日本のDJはまだその域に達していないなと思うんです。だからこそ自分が世界と張り合える日本人になって、次の世代のDJのためにも新たな道を切り拓きたい。その1発目として『null』を作りました。

――収録曲の中で早い段階で着手した楽曲はどれですか?

白濱:「gnite」かな? この曲のデモは、僕がPKCZ®に加入することが決まったタイミング――つまり実際に加入する1年くらい前からPKCZ®にあてて作っていたので、4年ほど前にはすでにありました。でも、その時は結局別の曲が使われて。かといって、このままお蔵入りするのはもったいないなと思っていたので、ブラッシュアップして自分のソロEPに入れることにしました。「BLVCK LAZER」も2年前くらいに作った曲で、ボーナストラックの「Lovesickness」もずっとストックしていた楽曲ですね。

――1曲目の「start up-[null]」(Music: ALAN SHIRAHAMA)は、アルバムタイトルの『null』も添えられていますし、わりと最近できた曲でしょうか。

白濱:まさに「start up-[null]」は最後に僕1人で作った曲です。僕はもともとベースハウスやテックハウスといったジャンルが得意で、長年作り続けてきたんですが、ずっと温めていた楽曲と新たに作った楽曲を1枚にまとめる上で、明確なコンセプトが必要だと思ったんですよ。そのために近未来的なイメージのジャケット写真を制作して、それを見ながら、EPの導入にあたる楽曲として「start up-[null]」を作りました。先にでき上がっていた「gnite」「BLVCK LAZER」「Lovesickness」以外は、ここ3~4カ月で仕上がった曲ですね。

――ここ3~4カ月!? GENERATIONSのツアーを2本やりながら別の仕事もやって……っていう、めちゃくちゃハードな時期じゃないですか。

白濱:ハードでしたね……(笑)。ライブをやった後、ホテルに帰ってきてから曲を作って。ツアーの合間に帰宅した時に、家のスタジオでバーッと打ち込みました。あと、ほとんどの楽曲はSLAYと共同で作っていたので、彼に助けてもらいながら制作していました。

――ではまず、SLAYさんと2人で制作された3曲「BLVCK LAZER」「Brain jack!」「Azur」(Music: ALAN SHIRAHAMA, SLAY)のお話から。SLAYさんとの制作は、いつもどういう流れで進んでいくんですか?

白濱:大体は2人でスタジオに入って、リファレンスになる曲を探すところから始まりますね。でも、さっきも言ったように、どうしても余裕がない時はサウンドプロダクションだけして「後は任せた!」って投げて(笑)。その後、SLAYから上がってきた音源を2人で微調整していくっていう流れです。SLAYはGENERATIONSのメンバーとはまた違う、ニコイチな存在ですね。音楽の好みも近いですし、僕がやりたいこともよく理解してくれているから頼りになる。でもだからこそ、相方に頼りすぎないように「できるところは自分でやろう!」と気合いが入ります。

――ちなみに、ちょうど「BLVCK LAZER」ができ上がったであろう時期に、「もともと『RED PHOENIX』(EXILE)の仮題が『BLACK LAZER』だったので、それはSHOKICHIさんも含めた4人のLINEグループの名前になっています」(※1)とおっしゃっていたんですけど。

白濱:あはははは! よくご存じですね!?

――タイトルを見た瞬間、「例のLINEグループだ!」って思いましたもん(笑)。

白濱:でも、SHOKICHIさんにアドバイスをもらったとか、深いエピソードは一切なくて(笑)。この曲調に似合うタイトルを考えていた時に、ふと思い出したんですよ。「そういえば『RED PHOENIX』の仮題、カッコよかったなぁ……」って。その勢いで「よし、『BLVCK LAZER』にしよ」って決めました(笑)。

――タイトルの決め方が潔いですね。

白濱:ダンスミュージックには歌詞がないから、そういうことができるんですよね。カッコいいワードをタイトルに決められるんです。

――「Brain jack!」と「Azur」は、どういう経緯でこのタイトルに?

白濱:「Brain jack!」はジャジャッジャジャッジャジャッていう音が、脳みそをハッキングしている音みたいだったから。「うん、『Brain jack』だな。ビックリマークもつけちゃおう!」みたいなノリですね(笑)。「Azur」はフランス語で紺碧を意味する言葉なんですけど、この曲を作っている時に「深い青色っぽいなぁ……」と思って。SLAYの子どもの名前も青を意味する名前だったので、それと掛け合わせて「Azur」にしました。曲作りも楽しいですけど、でき上がった曲に対してタイトルを決めるのも楽しくて好きです。

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