Vaundy、JO1、BE:FIRST、凛として時雨、羊文学、DURDN……注目新譜6作をレビュー

New Releases In Focus

 毎週発表される新譜の中から注目作品をレビューしていく連載「New Releases In Focus」。今回はVaundy「呼吸のように」、JO1「HIDEOUT」、BE:FIRST「Glorious」、羊文学「GO!!!」、DURDN「はなにあらし ft.yama」、凛として時雨「狐独の才望」の6作品をピックアップした。(編集部)

Vaundy「呼吸のように」

 最初に聴こえてくるのは、まるで雨粒のように響くピアノの単音。〈落ちてくる雨のように時間は過ぎ去ってく〉という歌い出しによって、出口のない感情を綴った歌へと引き込まれる。平歌はピアノと歌だけで構成され、〈これが愛であって欲しい〉というサビのフレーズからは強靭なバンドサウンドへと移行。“僕と君との関係、愛とは何か?”という問いを含んだリリックを高らかに響かせ、リスナー自身の思考や記憶を刺激する。緻密にして大胆な楽曲の構造、愛や性を巡る普遍的なテーマともつながる歌詞、そして、声そのもので聴く者にカタルシスを与えるボーカルが一つになったバラードナンバーだ。映画『正欲』主題歌に起用された「呼吸のように」によって、ニューアルバム『replica』への期待はさらに高まるはず。(森)

JO1「HIDEOUT」

JO1による主題歌「HIDEOUT」も初解禁!映画『OUT』本予告【2023年11月17日公開】

 累計発行部数650万部超えの大ヒット漫画『OUT』(秋田書店)を品川ヒロシの監督・脚本で実写映画化した『OUT』。JO1のメンバー大平祥生、金城碧海、與那城奨が暴走族「斬人(キリヒト)」の一員として出演している本作の主題歌として制作されたのが、新曲「HIDEOUT」だ。楽曲の基調は、ネオソウルの潮流を感じさせる心地よいグルーヴ。軽快なギターカッティング、洗練されたファンクネスをたたえたビートとともに、スムーズにしてエモーショナルな旋律が広がっていく。歌詞のテーマはずばり“友情”。〈泥だらけで流す涙は 輝いて〉に象徴される仲間とのつながりを想起させるフレーズは、映画のストーリーはもちろん、JO1のキャリア、メンバー同士の絆とも重なって聴こえる。(森)

BE:FIRST「Glorious」

BE:FIRST / Glorious -Live from 2nd Anniversary YouTube Live-

 『第102回全国高校サッカー選手権大会』の応援歌に決定した最新曲。作詞にLEO、作曲にはMANATOとJUNONがそれぞれ参加。デビュー以降経験を重ねるたびに、メンバーが制作に深く関わるようになっている現在地がわかる。ドラマチックな旋律と熱いメッセージで耳を惹きつけていく王道のバラードで、歌声の違いが心地よく、強さ、儚さ、透明感、あえて飛び出す棘など、それぞれがさりげなく違いを補完する。バラードのセオリーを飛び越える後半のラップ風パートは、王道であっても古典とは違うBE:FIRSTらしさだろう。来年の東京ドームと京セラドーム公演が決定した彼らの、まばゆいセレモニーソングにもなりそうだ。(石井)

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