ELLEGARDEN、Dragon Ash、氣志團……トリビュートアルバムに見るアーティストからの愛
少し遡ると、2017年には結成20周年を記念してASIAN KUNG-FU GENERATIONのトリビュートアルバム『AKG TRIBUTE』がリリースされた。ここまでの例を踏まえると、トリビュートに参加するのはそのアーティストに“影響を受けた”とする若手か、“親交の深い”人たちの2パターンである。『AKG TRIBUTE』の場合は前者。「高校時代にカバーしていた」とライブやインタビューで語っているKANA-BOONをはじめ、メンバーよりも下の世代のアーティストが多数参加している。選曲についても、彼らの世代を考慮すると、おそらくそれぞれ何らかの思い入れがあるのだろうと想像できるラインナップだ。
トリビュートアルバムでは、原曲とは異なるアレンジが楽しめるのも魅力である。『AKG TRIBUTE』はとくに、アーティスト独自のアレンジが光る作品だろう。例えば、never young beachの「君の街まで」は彼ららしいトロピカルなサウンドの曲に生まれ変わっているし、Creepy Nutsの「リライト」にいたっては、原曲をサンプリングしつつオリジナルのリリックを乗せるアプローチに、この手があったかと唸ってしまう。トリビュートでは、アーティストと原曲にリスペクトを込めつつ、自分たちの持ち味をどう上手く反映できるかが、カバーする側の腕の見せどころとも言える。
当たり前だが、誰もがトリビュートアルバムを作れるわけではない。だからこそ、カバーされる側のアーティストとしては大切なものになるだろうし、カバーする側としてもリスペクトの気持ちを表現できる貴重な場になるだろう。今後はどんなトリビュートアルバムが誕生するのか、そこにどんなアーティストが参加して、独自のアプローチで楽しませてくれるのか、注目したい。