Like~an~Angel、コピーバンド史上初の日比谷野音レポ tetsuyaから滲み出た楽曲への自信と愛情

 L'Arc~en~Cielのtetsuya(Ba)率いるL'Arc~en~Cielのコピーバンド、Like~an~Angel(ライク アン エンジェル)が、10月7日に日比谷野外大音楽堂(日比谷野音)でワンマンライヴ『PARALLEL WORLD 2023』を開催した。コピーバンドが日比谷野外大音楽堂でライヴを行うのは史上初。3000人の観衆が開演を待っていた。

 Like~an~Angelの存在がtetsuyaのSNSで明かされたのは2023年4月1日。エイプリルフールということもあり、様々な憶測をよんだが、翌日、L'Arc~en~Cielのコピーバンドであること、5月30日というL'Arc~en~Cielが初めてライヴをした日に、Like~an~Angelとして初ライヴを開催することが発表された。代官山UNITで行われたこの初ライヴで、tetsuyaはLike〜an〜Angel がただのコピーバンドではないことを証明してみせた。日比谷野外大音楽堂を埋めた3000人が、その結果を物語っている。

tetsuya

 ステージに、Like~an~Angelのメンバーが姿を現す。客席から歓声と拍手。メンバーはhibiki(Dr/摩天楼オペラ)、hiro(Gt/La'cryma Christi)、saki(Gt/NEMOPHILA)、そして初ライヴ後、その歌声がhydeとそっくりだと話題となったjekyll。観客の拍手と歓声が一段と大きくなる。“彼”の名前を叫ぶ声があちこちから聞こえてくる。tetsuyaの登場だ。スタンバイするメンバー。tetsuyaがベースでイントロを奏で始める。最初のフレーズで観客から歓喜の声が上がった。スケール感あるミディアムチューン「In the Air」でライヴは幕を上げた。jekyllの伸びやかで力強いロングトーンが、帳が落ちて来た空に舞い上がっていく。赤い照明の中でフラッシュライトが明滅し「THE BLACK ROSE」へ。この曲は、ロカビリーやジャズのテイスト、ホーンセクションを取り入れつつも、タイトなリズムで疾走感あるロックに昇華したアグレッシブな1曲だが、原曲よりもラウドなサウンドになっている印象を受けた。これはtetsuyaのベースが、バンドアンサンブルの中心を担っていたこと、さらに独特のダイナミズムを持ち味とするhibikiとのコンビネーションが生み出した同曲の新たな表情と言ってもいいだろう。

jekyll

 「The Rain Leaves a Scar」まで3曲披露し、jekyllが英語で挨拶をした。この冒頭の3曲で、tetsuyaがLike~an~Angelでやろうとしていることがわかる。それは、L'Arc~en~Cielの長い歴史の中での初期の曲や、ドームやアリーナクラスのライヴではセットリストに入ってこない曲をファンに届けること、そして一緒にL'Arc~en~Cielの多くの楽曲を共有することだ。

 6曲目「CHASE -English version-」では、途中で演奏が一時中断。バンドメンバーが心配そうにtetsuyaに視線を向ける中、本人は即座に機転を効かせ、「トラブル、トラブル。ベースの音が(途中から)出なくなった」と観客に説明し「どれくらいかかるかなぁ……」と笑顔を見せている。トラブルはすぐに解決。スタッフがその旨をtetsuyaに伝えると「10分くらいしゃべろうと思ってたのに、残念!」と観客を笑わせた。

hibiki

 中盤。ツインギターのそれぞれのソロの流れから「MY HEART DRAWS A DREAM」のイントロから本編へ。tetsuyaがベースを弾きながらターンを決める。3000人が繰り返し歌う〈夢を描くよ〉というフレーズが日比谷野外大音楽堂を包んでいく。Like~an~Angelのライヴには、ベースのtetsuyaはもちろん、ドラム、ギターともにソロのコーナーがあるが、ここにtetsuyaのLike~an~Angelに対する思いと、バンドというものに対する美学を感じた。tetsuyaの中ではメンバー全員が際立ってこそ“バンド”なのだ。例えばMCも、すべてtetsuyaがマイクをとるという方法もあっただろう。しかし彼はそうせず、最初の挨拶をjekyllに任せた。元々、海外でバンド活動をしているjekyllは、日本語が話せない。しかしながら、Like~an~Angelのヴォーカリストとして歌う時の日本語の発音は、イントネーションやニュアンスまで完璧である。本人の努力もあると思うが、音を聴き取り再現する才能に非常に長けているのだろう。ゆえに、MCも日本語で話すこともできたと思うが、そうしなかったのは、tetsuyaがjekyllに自分の言葉でMCをしてほしかったからではなかろうか。各メンバーの個性を尊重し、魅力を最大限に引き出す。tetsuyaはLike~an~Angelのベーシストであると同時にプロデューサーでもある。

hiro

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