ONCE、たった1人で完遂した多彩なサウンドのステージ 視覚的にも興味の尽きないライブに
間髪入れずに始まったのは、記念すべき配信限定シングル第1作目「Amazing Grace」。水面を思わせる陰影に富んだ映像がスクリーンに映し出され、ONCEが奏で始めたピアノの音色は艶やかで、水面で反射する光のように煌めいていた。歌声は次第にエモーションを増していき、躍動的なピアノ演奏と共に昂っていく。曲を終えて立ち上がったONCEは、「どうもありがとう!」と晴れやかな笑顔を見せた。
照明が赤に切り替わると、ディストーションを効かせたエレキギターのカッティングリフを録音。「ここからもっと盛り上がっていきましょう!」と煽って「Dusk」へ。序盤は少ない音数の中、微かにビブラートする繊細な歌声が際立って聴こえる。やがてシンセ、ドラムのトラックも再生し重厚なアンサンブルを織り成していき、掻き毟るようなギターソロで感情を弾けさせた。直後に鳴り始めたのは、アルバムリード曲「愛とか恋とか」のイントロ。スクリーンにはMVを投影。ONCEはピアノ、シェイカー、アコースティックギターと楽器を次々と奏で、社会と向き合う中で生じる違和感や信条を綴った赤裸々な歌詞を力強く歌い届けた。
「この数年の中で、僕自身も失うものもたくさんあったし、手に入った喜びもたくさんあるし。そうした全てをここから先自分が肯定してあげられるような、そんな人生を皆と一緒に歩んでいきたい」と力強くコメント。ピンスポットに照らされ、滑らかなタッチでピアノを奏で始めると、アルバムの最後に収められたR&Bバラード「記憶」を弾き語りで歌い届けた。密やかな暗闇で始まった序盤から、やがて強い照明がステージを照らしていくようになる光の変化は、ONCEの心情の変化に寄り添っているように見えた。
「ONCE!」コールと共に手拍子が起き、ONCEはスマートフォンを手にInstagram Liveをしながら登場。公式発表に数時間だけ先駆けて、2024年2月3日の大阪公演を皮切りとした『ONLY LIVE ONCE in Billboard Live』の開催を発表した。「今回のツアーは“一人でどこまでできるか?”をやっていたんですけど、ここからは、いろいろなミュージシャンや作家さんとのコラボの中で生まれてくる可能性も見つけていけたらなと思っています」と、次のライブでは新たな編成になることを予告し、意気込みを宣言した。アンコールでは「愛とか恋とか」を再度披露。今回のツアーは本数が限られていたため、Instagram LIVEを通して足を運べなかったファンにも最新曲を届けた。
鳴り止まないアンコールを呼ぶ拍手に、もう一度ONCEは登場し、感謝を述べてステージを去った。たった一人きりのステージだったが、サウンドは驚くほど多彩で豊かだったし、両手両足を駆使して楽器やマシンを操る姿には華があり、視覚的にも興味が尽きないライブだった。2024年に始まるツアーでは、ピアノ奏者としての強みを最大限に発揮できる会場で、また新しい姿を見せてくれることだろう。
※1:https://realsound.jp/2023/09/post-1431530.html
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