KREVA、観客と一体になって作り上げた武道館単独公演 全身全霊でぶつかり合い、何度でも目指す“頂上”

 「頂上、何度もあると思います。ライブをコントロールするのがMCの仕事。MCはダサいことしない、常に最高を目指す。だから昨日の俺より今日の俺がカッコいいと思います」

 9月15日、日本武道館。この日最初のKREVAの言葉であった。

 9月14日・15日、KREVAが2日間にわたり日本武道館でライブを開催した。1日目は、KREVA主催の”音楽の祭り”『908 FESTIVAL 2023』で、石川さゆりや三浦大知などをゲストに招き、ステージを展開。KICK THE CAN CREWとしてもステージに立ち、ソロKREVAのステージでも各アーティストとコラボするなど『908 FESTIVAL』らしいショーを展開した。2日目は、『KREVA CONCERT TOUR 2023「NO REASON」』の追加公演。この2日目の模様をレポートする。

 暗転する客席。大歓声。観衆が立ち上がる。オープニングSEのリズムに合わせクラップが起こる。薄闇に沈んだステージの中、その中央にスッとポップアップ(ステージ下から出てくる演出)で姿を現したKREVA。シルエットのままの彼の姿に客席から大きな声援が飛ぶ。クールな演出で登場した次の瞬間、KREBand(ドラム、ベース、ギター、キーボード、DJ+MPC、コーラス)から放たれたのは「Na Na Na ~2019 Ver.~」だった。ど頭からキラーチューンだ。観客とのシンガロングが肝になるキャッチーなメロディのポップチューンである。曲中に日本武道館の客電が点灯し、“観客一人ひとりがもう1人の主役”と思わせるクライマックスのような演出に、客席のテンションもいきなり全開に。まさに“頂上”から始まった。

 中盤では、ステージ背面一面に設置されたスクリーンを使い、イメージ映像とサウンドで楽曲を観客に伝えていく。雨から水、波のような青いモチーフ、水面に円を描く水滴、丸いしゃぼん玉……と、映像もDJのように滑らかにミックスされていく。ライブのために作られたストーリー映像とは異なり、モチーフをつなげて1つのストーリーを聴き手にイメージさせるこの手法は、DJの感覚を知らないと成立しない演出だろう。

「Have a nice day!」でサンプリングされている「MELLOW BLUE.」を歌ったICEの国岡真由美(Vo)

 このブロックの最後を飾ったのは「変えられるのは未来だけ」。KREVAの楽曲には“未来”という言葉がたびたび出てくるが、この曲は、これまでの“未来”とは捉え方が違っているように思う。曲の頭の部分も含め、メロディにきっちりとはまったパンチラインになる場所に〈変えられるのは未来だけ〉というフレーズを配置し、2回繰り返している。ここに、もっとわかりやすく、これまで以上に多くの人にメッセージをストレートに届けようというKREVAの意志が見えてくる。メッセージ性ある楽曲は、多彩なKREVA楽曲の1つの軸になってきたし、そこをソロデビュー当時からしっかりと押し出すことで、彼の楽曲がJ-ROCKシーンやJ-POPシーンに深く刺さる一因になったことは確かだ。冒頭に紹介したこの日のMCにもあるように“昨日の俺より今日の俺の方がカッコいい”、“自分をアップデートし続けよう”という一貫したメッセージは、ジャンルや年代を超え、多くの人の心を動かし続けてきた。老若男女と幅広い客層が揃ったこの日の日本武道館公演が、それを証明している。

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