SIX LOUNGE「リカ」、aikoのレコメンドでバイラルヒット 歪な感情と向き合う衝撃的な展開の歌詞

「リカ」SIX LOUNGE Music Video/Illustration by ますだみく

 このように「ラブソング」とひとくちに言ってもその形は多種多様。そんななかでも、衝撃的なラブソングが今週9位にランクインしたSIX LOUNGE「リカ」である。いまTikTokを中心にSNSで話題を呼んでいるこの楽曲を詳しくチェックしていこう。SIX LOUNGEは、2012年に大分で結成されたロックバンド。ヤマグチユウモリ(Vo/Gt)、イワオリク(Ba)、ナガマツシンタロウ(Dr)からなる3ピースバンドだ。現在バイラルチャートインしている「リカ」は意外にも2016年にリリースした1stアルバム『東雲』に収録されていた楽曲。最近になるまであまり広く知られているわけではなかったこの楽曲は、音楽番組『Love music』(フジテレビ系)でaikoによって紹介されたことをきっかけにSNSでの拡散が広がり、リリースから約7年の時を経て多くのリスナーを獲得することになった。

 3ピースバンドのシンプルなアンサンブルを生かしたロックナンバーの「リカ」。女性の名前をタイトルに掲げた楽曲には名曲が多い。たとえばエリック・クラプトン(Derek and the Dominos)の「Layla」(邦題は「いとしのレイラ」)だったり、長渕剛の「順子」だったり。このようにいなたい雰囲気を感じさせるタイトルが、むしろ泥臭くて素朴な「リカ」のサウンドにぴったりかもしれない。そして、この楽曲を特別なものにしているポイントは歌詞にある。〈100円のホットコーヒー 一息ついた君 世界の終わりを待ってる 僕と君はリカ〉という歌いだし。〈100円のホットコーヒー〉から始まるラブソングがこれまであっただろうか。一声目からそのインパクトに心を掴まれる。そして、全編を通して呼びかけられる「リカ」の名前。この呼びかけが積み重なるにつれて徐々に狂気が見え隠れし始める。その違和感は〈リカ、君だけは幸せにさせないよ 一緒に地獄をみよう 2人だけ〉というサビの衝撃的なフレーズで確信に変わり、見てはいけない歪な感情と対面することになる。最後の1フレーズまで狂気を帯びた深い愛情が臆面もなく展開されるのだ。

 愛のかたちの数だけラブソングが生まれることを実感させられた今回のSpotifyバイラルチャート。「リカ」で歌われている愛憎入り交じる感情さえも歌に変えることができる、それこそが音楽の力なのかもしれない。

※1:https://charts.spotify.com/charts/view/viral-jp-daily/2023-09-20

関連記事