『アイドリッシュセブン』、怒涛の7周年イヤーを振り返る あらゆる方法で16人の存在を感じられる1年に
2023年8月20日に8周年を迎えた『アイドリッシュセブン』(以下、『アイナナ』)。数字へのこだわりとアニバーサリーへの情熱があるコンテンツが、名に冠している“7”の周年に何かしらの展開をすることは、誰もが予想し得たことだ。だが、ここまで多種多様な展開が行われるとは、ファン・マネージャー(ゲームユーザー)の誰もが考えていなかったのではないだろうか。今回はそんな怒涛の7周年イヤーを振り返ってみたい。
何よりも大きかったのは、原作ゲームアプリ本編の第6部が終了し、物語にひとつの区切りがついたことだ。物語に沿って新曲も多く発表された。驚きの楽曲や、新機軸とも言えるサウンドへのアプローチ、彼らの心情を投影した世界観の歌詞など、名曲揃いの楽曲群であった。
第6部のラストを飾ったのは、昨年大晦日に行われた『2022 BLACK or WHITE LIVE SHOWDOWN』。IDOLiSH7、TRIGGER、Re:vale、ŹOOĻという4つのグループがライブ形式でパフォーマンスし戦うという形にリニューアルされた、賞レース“ブラホワ”。そのライブの一部はリアルタイムでYouTubeに動画が公開され、大きな盛り上がりを見せた。興奮を分かち合いつつも、様々な感情が入り乱れる中、単純な勝敗以上の価値を残したことは後に巻き起こった“ムビナナ旋風”へと続く。
『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(以下、『ムビナナ』)は、本編第6部終了後の彼らが作り上げたライブとして5月に公開された。8月15日には興行収入23億円に到達し、入場者特典が切り替わる週末のチケット争奪戦は激化。公開から2カ月以上もの間、その熱狂は続いた。
映画館で毎日行われている“ライブ”としての『ムビナナ』は、質の高い3DCGライブ、美麗なグラフィックや演出で、それまで彼らを追い続けてきたマネージャーのみならず、新規ファンやしばらくコンテンツから離れていた人々の心をも掴んだ。楽曲・キャラクター・4グループの魅力を凝縮し、ある種の金字塔的な作品になったことは、『アイナナ』にとって大きな出来事だろう。何よりもここで披露された新曲すべてが、アイドルたちやファンにとって大切な一曲になったことは間違いない。特に16人全員による「Pieces of The World」は、音楽の喜びと愛に満ち、アイドルたちの輝きを描くことで、この世界を生きるものすべてがその尊さを持ち得ることを示す名曲だ。
2022年10月からはTVアニメ『アイドリッシュセブン Third BEAT!』(TOKYO MX)の第2クールが放送。物語がよりドラマチックに、ハードに動いたことに伴い、新規楽曲も数々リリースされた。
OP主題歌であるIDOLiSH7「WONDER LIGHT」は、YOASOBIのメンバーでもあるAyaseによる楽曲提供ということで話題になった。ED主題歌には満を持してŹOOĻの楽曲が起用された。「IMPERIAL CHAIN」 は、『Third BEAT!』で描かれる彼らのスタイルを激しく投影した一曲だ。第23話のED主題歌であるMEZZO"の「カラフル」もまた、MEZZO"らしさと新しい表情が窺えるサウンドを提示した。どの楽曲も“らしさ”と“新たな側面”を内包したチャレンジングな楽曲だったことは間違いないだろう。