サザンオールスターズ、45周年の夏を彩る贅沢づくしの祭り NHKでは新旧多彩な楽曲で熱狂を届けたスタジオライブも

サザン、45周年の夏を彩る祭り

 夏といえば海、花火、そしてサザン。久々にそんな気分になっている音楽ファンは多いのではないだろうか。サザンオールスターズがこの6月25日にデビュー45周年を迎え、ざわざわとその周辺が騒がしくなっている。

 まず、デビュー記念日の前日である6月24日放送のラジオ番組『桑田佳祐のやさしい夜遊び』(TOKYO FM)で、久々に大きく活動することが発表され大いに話題になった。最初の目玉は、3カ月連続で新曲を配信するというものだ。すでに7月17日に「盆ギリ恋歌」、8月2日には「歌えニッポンの空」が配信されており、どちらもタイプは違うがサザンらしいナンバーでファンを喜ばせてくれている。また、テレビでの露出も増えており、8月2日には『news zero』(日本テレビ系)に桑田佳祐が登場。8月4日には『「ミュージックステーション」夏の3時間半スペシャル』(テレビ朝日系)で、新曲2曲と「LOVE AFFAIR 〜秘密のデート〜」を生演奏で披露した。

 こういった動きの中で、NHKでのスペシャルプログラムも組まれた。『サザンオールスターズ45周年特別企画「シン・日本の夏ライブSP!!」』と題され、8月17日に放映されたこの番組は、1時間丸ごとサザンオールスターズのライブ演奏が観られるという贅沢なもの。しかも、NHKのスタジオに特別なセットを組み、700人ものファンを集めたスタジオライブ。厳選された13曲のライブパフォーマンスがノンストップでオンエアされ、これまでのキャリアと現在進行形のサザンを堪能できる内容になっていた。

 ヤシの木をモチーフにしたセットに立つ彼らが、番組で最初に披露したのは「チャコの海岸物語」。言わずと知れた「夏のサザン」の代表的な一曲であり、彼らが愛する茅ヶ崎のご当地ソングでもある。「今夜のテレビは最高なのさ」というフレーズを歌詞に織り込むなど、桑田佳祐のサービス精神がこの一曲に表れていた。続いてすっかりライブの定番曲となった「東京VICTORY」を披露し、スタジオをさらに盛り上げていく。

 いわゆるスタジオライブとはいっても、まったく手を抜くことなく実際のツアーと同等のクオリティであることからも、45周年を迎えた彼らの意気込みがわかる。桑田佳祐、関口和之、松田 弘、原 由子、野沢秀行という5人のメンバーに加え、ギターの斎藤 誠、キーボードの片山敦夫、コーラスのTIGER、そしてホーンセクションの山本拓夫、吉田 治、菅坡雅彦といったおなじみのサポートメンバーが参加。全員が夏を感じる爽やかな装いで演奏し、ライブにおける爽やかなサウンドをそのままお茶の間に届けるというだけでも非常に贅沢だ。しかも、新旧入り混じったレパートリーは、いずれも「夏のサザン」を意識しており、いやがうえにも盛り上がってしまう。

 このスタジオライブであらためて感じられたのが、彼らの多様性だ。初期の色っぽいナンバーの代表といってもいい「My Foreplay Music」、切ないラブソングの定番「涙のキッス」、あらゆる世代へ向けた応援歌「栄光の男」、色っぽさをさらに発展させた「OH!! SUMMER QUEEN 〜夏の女王様〜」と立て続けに歌われるレパートリーのメッセージ性はバラエティに富んでいるが、いずれもサザンらしさに満ちている。雑多な印象になってもおかしくないが、まったく違和感なく、これらすべてにおいて一貫性すら感じさせてしまうのがサザンの底力なのだと今一度実感させられる。

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