ODDLORE、6人が対峙したコンプレックス 1stアルバム『ONE BY ONE』で描かれたそれぞれの“本当の私小説”と現在を語る

ODDLORE、コンプレックスと向き合う強さ

それぞれが考える“ありのままの自分”であるということ

ODDLORE(写真:池村隆司)

――5thシングル「BRIGHT SIDE」はRYUICHIROさんフォーカスの楽曲です。

RYUICHIRO:僕は身長が158㎝で、低身長であるということがコンプレックス。だけど、この曲ではそのコンプレックス自体を歌っているわけではなくて、低身長で生きてきたからこそ虚勢を張ってしまっていたという内面についての想いが強く出ている曲になっています。たとえば、サビでは〈全部不安なんだってそうさ/どん詰まり 曇り空〉〈そんな俺がやだ〉と歌っているのですが、普段だったら虚勢を張っているから不安を口にしない僕が心の声を叫んでいます。ちなみに、歌詞では低身長ということについては触れていませんが、MVでは低身長が原因で虐げられている様子が描かれているので、曲とMVであわせて僕のコンプレックスが表されている作品だなと感じます。

――普段は虚勢を張っているぶん不安を口にしないとおっしゃっていましたが、曲を通して弱音を歌うことで、感じることはありましたか?

RYUICHIRO:かっこつけて強い自分を見せようと意識して生きてきたぶん、楽になりましたね。もちろん、この曲はいろんな人に届いてほしいとか、共感してほしいという想いもありますが、僕自身がいちばん助けられています。

ODDLORE | 「BRIGHT SIDE」Music Video

――6thシングル「where I belong」はRIKITOさんです。

RIKITO:僕の曲は、タイトル通り「自分の居場所はどこなんだ?」という心境を歌った曲です。僕は肌の色が違うので、小さい頃から嫌われないようにということを意識しすぎていて。母親も気にしてくれて、私立の小学校に通わせてくれたり、いろいろな習い事をさせてくれたりしていたのですが、忙しく過ごしているぶん、余計に“ずっといる居場所”がなくなってしまっていました。だからこそ、ありのままの自分をあまりさらけ出せていなかったということに、このグループに所属して、自分のことを深掘りしているうちに気づいて。だから、この曲の冒頭〈どこにも見つからないmy place〉というフレーズから「そのままだな」と思いました。自分のこれまでと、これから、ありのままの自分が詰まっている曲だなと思います。

――この曲で歌われている“居場所がない”という気持ちは、今も抱えていますか? それとも少しずつ薄れている?

RIKITO:薄れてきたと思います。メンバーもそうだし、安心できる場所が自分のなかにもいくつかできてきて。そこでは割と素でいられて、わがまましちゃっています(笑)。

ODDLORE | 「where I belong」Music Video

――7thシングルはJOSHさんフィーチャーの「HOLLOW」です。

JOSH:僕のコンプレックスは集団が怖いこと。集団や群集心理って、謎の生命体というか。インタビュー中にも、さっきRIKITOが首を傾げてKOYAとアイコンタクトをしていましたけど、そこで何が生まれているのかがわからなくて怖いんですよ。

RIKITO:「群衆心理」って言葉を聞いたことなかったから、何だろうと思って。

JOSH:そうそう、こうやって言ってもらえれば「そう思ってたんだ」と安心できるんですけど、それがわからないと怖いんですよね。小学生の時にイジメられた経験があるから、どんどん怖くなっていって。そこから「自分には何かしら価値がある人間だということを証明して自分の居場所を作ろう」と思ってきた人生でした。その感情が、「HOLLOW」には描かれているなと思います。序盤の〈虚々実々 化かし合う異形〉というのは、僕の解釈では他人を見下している自分。でも、後半では〈触れてみたい その「愛」〉と歌っている。他人を見下しながらも、やっぱり人と関わりたいし、人の輪のなかに入ってみたい、恐怖心と愛がほしいという、実際に僕も抱いている拮抗した気持ちが表現されています。作詞家さんにはここまで話していなかったので、見抜かれているなと思いました。

――「集団の目が怖い」と思っているJOSHさんが、グループで活動することを選んだのはどうしてだったのでしょうか?

JOSH:ひとことで言えば縁ですね。芸能界に興味があって、スカウトされたからではありますけど、実際にメンバーに会った時に「悪い人はいないな」と思って。
初対面から全然恐怖心は感じなかったし、そのあとはもちろん喧嘩することもありますけど、いい感じに溶け込めたかなと思います。

ODDLORE | 「HOLLOW」Music Video

――最後、8thシングルはYUIさんにフォーカスを当てた「ORTUS」でしたね。

YUI:僕の曲は、抽象的で何も断言していない曲で、そこがすごく気に入っています。というのも、僕自身には“他者相互不干渉”みたいなものがテーマとしてあって。「僕はあなたに何も言わないし何も提示しないので、あなたも僕に何も提示しなくださいね」というスタンス。曲で断言しないというのは、他者に何も言わないということなので、すごく自分に合っているなと感じます。具体的なメッセージを持った曲だと、たとえそれが空に放たれたものであっても、聴いた人は自分の何かが侵されたような気になってしまうかもしれないので、「ORTUS」は誰の領域も侵さないところが、自分のスタンスとマッチしているなと思います。

――歌う時はどういう気持ちで歌われているでしょうか? 無機質な作りの楽曲ではありつつ、「届いてほしい」という気持ちなどは込めているのでしょうか?

YUI:小さい頃に戻るような気持ちで歌っていましたね。小さな頃って、相手にどう思われたいかをあまり考えずに話していたと思うんです。そういう感じで「誰に聴いてほしい」とか「どういう声が合っているかな?」とか何も考えず、本当に子供みたいに歌っていました。MVの撮影もそうで。子供が公園で遊んでいる時みたいに、夢中ではあるけど何も考えていないような感じで、すごく楽しかったです。

ODDLORE | 「ORTUS」Music Video

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