ORANGE RANGE、ライブを先導していくダンスチューンの新定番 夏への本気がみなぎる「解放カーニバル」に至るまで
長きにわたるコロナ禍を経て、ついにライブシーンが完全復活を果たした2023年。数々の制限が撤廃された環境で自由に音楽を楽しむことができる夏が来るのは4年ぶりで、それ故に、今年の夏はいつにも増して熱い季節になる予感がする。そして先日、そうした季節にこそ本領を発揮するバンドが、最高のサマーチューンをリリースした。それが、ORANGE RANGEの新曲「解放カーニバル」だ。
新曲について紹介する前に、この楽曲をリリースするに至るまでのORANGE RANGEの歩みについて振り返りたい。遡ること2020年2月、彼らは「原点回帰」「初期衝動」をテーマとして掲げたライブ会場限定アルバム『NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-』を携えて、全国50公演に及ぶ『ORANGE RANGE LIVE TOUR 020 ~NAKED×REFINISHED -3 mics and back sounds-~』をスタート。しかし、猛威を振るい始めたコロナの影響で、東京の2公演を終えたタイミングで同ツアーは中止となってしまった。
その後、彼らはコロナ禍という大きな逆境の中を、創意工夫をもって懸命に前進し続けてきた。最も象徴的だったのは、2022年の夏以降のアクションである。数々の夏フェス出演を経て、2022年9月、彼らは4年ぶりのオリジナルフルアルバム『Double Circle』をリリース。それと同時に、コロナ禍の長い沈黙を破る形で、待望の、そして半年以上にわたる長期の全国ツアー『ORANGE RANGE LIVE TOUR 022-023 ~Double Circle~』をスタートさせた。筆者はまず、ツアー2日目、2022年9月15日に行われたZepp DiverCity(TOKYO)公演を観た。当時、まだ観客は声を出すことができなかったが、ツアー序盤とは思えないほどの一体感と高揚感が会場全体を満たしており、「+αでみんなの声が足された時、きっとものすごいことになりますよ。その日までもう少し、ORANGE RANGEらしく走っていきたいと思います」というHIROKIのMCも、今後への期待を高めた。そして2023年4月23日、観客の声出しが全面解禁された中での開催となった、東京・LINE CUBE SHIBUYAで迎えたツアーファイナル公演では、彼らの楽曲の輝きと爆発力が何倍にも増したステージとなった。鳴り止まぬ歓声、息ぴったりのコール&レスポンス、壮絶な大合唱。やはりORANGE RANGEは観客との熱烈なコミュニケーションを通して、真価を発揮する生粋のライブバンドであると改めて強く感じた。
こうした経緯を経て、今年の夏、約10カ月ぶりにリリースされた新曲が、バーボンウイスキー・ジムビームとのコラボソング「解放カーニバル」である。振り返れば、ORANGE RANGEが夏にリリースする楽曲は、どれも最高のパーティチューンばかりであったが、その系譜に連なる渾身の1曲がドロップされた形となる。
楽曲タイトルが表しているように、同曲は爽やかな解放感をもたらすクールなダンスチューン。「イケナイ太陽」をはじめ、彼らのサマーチューンといえば、ギラギラとした輝きを放つディストーションギターをフィーチャーしたものが多かったが、今回はグッと音数を絞った洗練されたトラックが基軸となっていて、20年以上にわたり着実にキャリアを重ねてきた彼らの確かな成熟が浮き彫りになっている。もちろん、単にクールなだけの楽曲ではない。高揚感がピークを迎えるタイミングで鮮やかなドロップパートへと突入する展開が用意されていて、そうした楽曲の展開は、上述したツアーにおいてハイライトを担った「Pantyna feat.ソイソース」と通じる部分が大きい。「解放カーニバル」が新たなライブアンセムとしてフロアを熱狂させる光景がはっきりとイメージできるし、〈太陽と遊べ 本能のままに〉〈この空と乾杯 ブチ上がるだけ〉といったホットなパンチラインが、この夏以降の数々のステージを熱く彩ってくれるのは間違いないだろう。