東方神起、30回目の東京ドームで示した“一流”の存在感 4万5000人のファンとの3年ぶりの再会を徹底レポート

 ユンホは王宮を彷彿とさせる背景に、玉座に腰を下ろした状態で登場。披露するのは指先まで神経が行き届いた緩急の効いた美しい振りが印象的な「Thank U -Japanese Ver.-」。赤いステージに白いジャケット、黒いパンツを身にまとったユンホのダンスが映え、力強い歌声がまたキングの風格を漂わせる。

 一方、チャンミンはシャンデリアが掲げられた西洋の城を思わせるダンスフロアを背景に、白いナポレオンジャケット姿で登場。王子様が肖像画から抜け出したかのような華やかさ。しかし、その胸元ははだけていてワイルドさも健在。「Fever -Japanese Ver.-」で美しくも妖しい雰囲気を醸し出すチャンミンに目を奪われていると、〈Oh! Keep work keep work〉のハイトーンボイスに度肝を抜かれる。

 フィジカルな魅せる力に、安定感が増す歌唱力。年齢を重ねるごとにそのスキルを維持するだけでも相当な努力を必要とするはずなのに、このふたりはどこまで進化を続けるのだろうかと問いたくなるほど。東方神起のパフォーマンスが多くの人の心を掴むのは、そんなアスリートのような“感動を呼ぶ強さ”があるからだろう。

 かと思えば、アイドルマインド全開なチャーミングさも。青いジャケットスーツに着替えるとトロッコに乗り込み「High time」「Rat Tat Tat」「Hot Hot Hot」を披露。ピョンピョンと飛び跳ね、客席に向かってブンブン手を振ったり、マッスルポーズをしてみたり……。思わずはしゃぎまくるユンホを、チャンミンがちょっぴり呆れ顔で眺めて小さく拍手をするなんてことも。そのリアクションを見たユンホが顔をクシャクシャにして“やっちゃった!”という表情をして笑いを誘った。

 そんな剛柔併せ持つ東方神起が、次に披露した新曲は「Lime & Lemon」。スタイリッシュかつエネルギッシュ。ちょっぴり苦味も人生の味わいとして感じられる今だからこそ説得力を持つ曲に仕上がっている。

 今回のツアーには、不安要素があった。それは、ユンホが右足首を負傷したこと。とはいえ、MCではチャンミンが「医者さんたちも驚くほどの回復速度」だと話したように、一見するとどこを怪我したのかわからないくらいに体が動いていた。だが、いつも全速力で花道を走り抜けるユンホを知っているだけに、まだケアしながらのパフォーマンスであることを察する。

 そんなユンホをMCで「(ファンに)かっこいい姿をお見せしたくて頑張っていたんですよね」「かっこいいですよね、みなさん?」とフォローしていたチャンミン。「全力でサポートしますよ」の言葉通り、いつも以上に体を大きく動かして踊っていることが伝わってきた。そんなチャンミンにユンホは「大人になったよー」と泣きつくような素振りで感激を表現していた姿には、笑いながらもグッとくるものがあった。

 理想を掲げて熱くみんなを引っ張っていくユンホ。現実を見つめて冷静に対処していくチャンミン。真逆のように見えるふたりだからこそ、乗り越えられてきた困難がいくつもあった。そんな日々を思い浮かべながら聴く「Good Days」「STILL」がじんわり温かい。これからも東方神起らしさを貫く、そんな勢いを見せてくれたのが「Epitaph ~for the future~」「PARALLEL PARALLEL」「No Sympathy」「Bolero」の流れだった。

 赤いスパンコールジャケット×黒いパンツ姿でダンサーたちを引き連れて練り歩く雄々しい姿はどこまでも頼もしく、ふたりで向き合って歌う繊細なハモリパートにゾクゾクとさせられた。この日のクライマックスとも言える「Rising Sun」。ドームならではのド派手な花火の特効に、魂の叫びとも言えるシャウト。ユンホの激しいヘッドバンギングと、チャンミンのねじ伏せるような高音に、東方神起のプライドを感じ「これぞ一流」と胸を打たれた。

 アンコールで再登場すると「CLAP!」「OCEAN〜ウィーアー!〜Summer Dream〜Somebody To Love 」のメドレーと、お祭り騒ぎがまだまだ続く。ふたりが即興で考えた振り付けをみんなで踊ったり、「Ooga Jaka Ola東京ドーム」と一緒に叫んだり。ダンサーと共にトロッコに乗り込んだと思いきや、1人乗りの小型トロッコに乗り換えて、さらに客席近くまで向かうふたり。そこに銀テープまで噴射するものだから会場は大興奮に包まれた。腕が取れてしまいそうなほどグルグルと回す自称「野生の男」ユンホ。それに続いて両手を広げてクルクルと回転するチャンミン。彼らがこれほど楽しそうに動いている姿を見られるのは、やはりライブならではだ。

 そして、ハアハアと息が弾んだまま「最後の曲です」と歌われたのは「With Love」。スクリーンにはかつてのライブ映像。そこには涙を流したふたりの姿も。これまで積み重ねてきたものの大きさを痛感する瞬間だった。そして〈La la la la la……〉のパートではファンにも一緒に歌おうと促し、イヤモニを外してその声に耳を傾けるふたり。レッドオーシャンをじっと見つめるチャンミンと、うんうんと頷いてサムズアップするユンホの姿に胸が熱くなった。

 ラストソングを歌い終えて張り詰めていたものが緩んだのかユンホが「無事に終えたー! 本当に心配したよー!」と安堵したのも印象的だった。ライブができなかった時期のこと、そして足の負傷と、私たちが知らない部分できっと深く思い悩んだのだろう。それでも「みなさんの笑顔が見たくて見たくてね」「ステージに立つと、みなさんの笑顔が僕にはすごく大きな力になってます」と、ファンの笑顔が見られればこそ頑張れたのだという。そして、「これからも東方神起と一緒に長く長く付き合ってくれませんか?」とプロポーズのような言葉を届けてファンを喜ばせた。

 するとチャンミンが「今日で東京ドーム30公演目と聞いて嬉しかったんです」「もちろんこれからもずっと東京ドームみたいに広い会場でライブがしたい、でもできるとは正直にそう思ってないかもしれない」と現実的な話をしてみせる。会場からツッコミのような笑いが入るも「現実的にね、僕そういうタイプじゃないですか」と返すところもまたチャンミンの魅力だ。

 寂しいけれど時の流れは止められない。ならば、それを受け入れながら「ふたりの歌やパフォーマンスが必要であればできるかぎり最大限、みなさんのために思い切り歌わせてもらいたい、踊らせてもらいたい、ステージの上に立たせてもらいたい、そういう気持ちを伝えたかったです」とその真意を伝えた。そして「みなさんがいるからこそ、ふたりの居場所ができる」とし、「ファンのみなさんに本当に本当に心から感謝しておりますし、これからも引き続き応援よろしくお願いします」と締めたのだった。

 「また会えるからね」と言葉を残して幕を閉じた今回のツアー。ふたりが、そして彼らと共にステージを作り上げるスタッフも、それを心待ちにしているファンも望むように、この幸せな時間がずっとずっと続いてほしい。まもなくデビュー20周年を迎える東方神起。このふたりがどんなステージで私たちを笑顔にしてくれるのか、今から楽しみで仕方ない。

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