2PM、テギョン含む“完全体”復帰は新たなパターンに？ 東方神起、SUPER JUNIOR、SHINeeら兵役を経て活動するグループ
“野獣アイドル”2PMが、6月28日に韓国でアルバム『MUST』をリリース。実に5年ぶりの新作だが、こんなにも空白期間が生じたのは、メンバーたちの兵役のためだ。2017年9月入隊のテギョン（TAECYEON）から、2021年3月除隊のジュノ（JUNHO）まで、外国籍のニックン（NICHKHUN）を除くメンバー5人が揃うまでに、3年半の年月がかかった。
2PMは2008年デビュー。着ている服を破り筋肉を見せつける荒々しいパフォーマンスとアクロバットから“野獣アイドル”と呼ばれているが、全員が30歳を過ぎた今、2PMが再注目を集めている理由は野獣とは真逆の、“大人の男の魅力”だ。
新たな魅力がバズったのは、入隊中の昨年。しかも2015年の曲「My House（우리집＝ウリチブ）」が引き金だった。なぜ5年も前の曲がチャートを逆走しはじめ、若手アイドルたちがこぞってそのダンスをカバーするようになったのか。それは、YouTubeのおすすめ欄に「우리집 준호（ウリチブジュノ）」というタイトルの動画が表示されるようになったからだと言われている。EXIDの「UP＆DOWN」も、ファンが撮影したいわゆる“ファンカム”が「セクシーすぎる！」と話題となり、活動終了後にチャート急浮上。崖っぷちからの奇跡の大逆転ヒットを放つこととなったが、2PMの「My House」もファンが作ったメンバー ジュノをフォーカスしたステージミックス動画で“10分後にあそこで待ってる 僕の家に行こう”とスマートに誘う大人の魅力が20代、30代の女性を中心に刺さり、再生回数を伸ばしていった。
ひと昔前は、長期間メンバーが欠けることになる入隊を機に“解散”したり、入隊前後に待ち構える契約更新を全員で乗り切れずに“自然消滅”するグループも多かった。何より彼らを応援するファンも、20代になると“ペン卒（ファン卒業）”が常。アイドルはティーンのものという世間の雰囲気も大きかった。
多くの韓国事務所が「日本のアイドルのように長く活躍できるグループを育てる」ことを目標に掲げるが、世界に活躍の幅を広げたグループは、長く応援してくれる海外ファンを得て、除隊してからもグループ活動が続けられる素地ができた。それに伴い韓国内でもファンの年齢層が上がり、10代ファンには気付けなかった大人の魅力がクローズアップされたのかもしれない。また、入隊リミットが30歳から28歳に引き下げられた（※2020年12月には大衆芸術の優秀者に限り兵役延期を認める兵役法の改正案が可決）ことで、活動期間を伸ばすために男性アイドルグループの低年齢化が進んでいるのも、大人ファンが2PMに惹かれた要因のひとつだろう。『MUST』でカムバックした30代のジェントルマンたちが、大人のアイドルとしてどのような活躍を見せるのか楽しみだ。
男性K-POPアイドルとそのファンが避けて通れない兵役だが、近年は、そのイメージもだいぶ変わってきた。ここで、兵役を経ても活動を続けるグループのパターンをおさらいしてみよう。
まずは空白時期を最短に留めるために、同時期入隊をするパターン。最年長メンバーの入隊リミットに合わせて、まだ入隊時期を伸ばせる年下メンバーが時期を合わせる方法だ。東方神起がこれにあたり、2歳違いのユンホとチャンミンの場合、通常なら約4年かかるところ、チャンミンが時期を早め、約2年で再始動した。CNBLUEやFTISLANDもこれにあたるが、人数が少ないグループに有効な手法だ。
次に、メンバーが欠けても活動を続けるパターン。こちらは逆に、人数が多いグループに有効で、代表的な例がSUPER JUNIORとなる。10人を超える人数と、最年長から最年少まで4歳差のSUPER JUNIORは、今年16周年を迎えたが、全員が除隊するまでに約9年もの歳月がかかった。しかし彼らは、最大6名の兵役期間が重なる2015年秋から2017年冬までの約2年を除き、メンバーが欠けた状態でもワールドツアー『SUPER SHOW』を行い、5枚ものアルバムをリリースしていた。EXOやBTOBもこのパターンだ。
珍しいのがSHINeeのパターン。こちらもSUPER JUNIOR同様、最年長オンユと最年少テミンは4歳差。まず、オンユに合わせるようにミンホとキーが入隊。テミンの入隊前に3人が除隊して、わずかな期間であるが完全体でSHINeeとしての活動を行った。3人が欠けていた約2年半にテミンはソロ活動を行っていたが、必ず「SHINeeのテミンです」と言い、SHINeeの名前を絶やすことはなかった。現在はその末っ子テミンが入隊中。7月28日にはテミンも参加した日本ミニアルバム『SUPERSTAR』をリリースするが、除隊した3人のメンバーたちはそれぞれの分野で活動しながら、来年末になるテミンの帰りを待つのだろう。
