flumpool「15周年に向けてまだまだ走り続けます」 『Real』ツアーのリベンジ果たした3年ぶり声出し解禁ワンマン

flumpool、3年ぶりの声出し解禁ライブ

 6月16日、中野サンプラザの50年の歴史の集大成となる音楽祭『さよなら中野サンプラザ音楽祭』の一環として、flumpoolのワンマンライブが開催された。2020年にリリースしたアルバム『Real』の楽曲を軸に据えた今回の公演は、彼らにとって約3年ぶりとなる声出し解禁のワンマンライブとなった。『Real』は、山村隆太(Vo/Gt)曰く、一人ひとりの観客の声が重なることを想定して作られた作品であったが、コロナ禍で開催したツアー『flumpool 10th Tour 2020「Real」』では観客の声出しがNGとされていたため、残念ながらその光景が実現することはなかった。それ故に今回の公演には、当時のツアーのリベンジという意味合いが込められていた。

 開演時間を少し過ぎた頃、阪井一生(Gt)による影アナウンスによって会場の空気が一気に温まったところで、いよいよライブがスタート。1曲目は、『Real』の実質的なオープニングナンバーである「NEW DAY DREAMER」だ。さっそくフロアから壮大なシンガロングが巻き起こり、Aメロではメンバーに合わせて観客が手拍子を重ね、そしてサビでは、山村の「カモン!」という呼びかけを受けて熾烈なコール&レスポンスが起こる。ライブ冒頭とは思えないほどの熱烈なコミュニケーションがステージとフロアの間で成り立っていて、そうした並々ならぬ一体感に満ちた会場の空気から、今回のリベンジに懸けるメンバーと観客の熱い想いがひしひしと伝わってきた。

 続けて、山村の「いける?」という呼びかけを合図にして代表曲「星に願いを」へ。そして「その声、最後までもたせてよ!」という言葉と共に「Calling」が披露される。2009年の1stアルバム『What's flumpool!?』に収録されている初期のナンバーであるが、サビにおける〈声聴かせてよ〉→〈calling, calling〉というコール&レスポンスのパートは、今回のリベンジ公演において全く新しい輝きを放っているように思えた。一人ひとりの観客の〈声〉を受けて、曲中、山村が「最高だ」と呟いた一幕も忘れられない。

 この日初めてのMCパートで、山村は、「この声が聴きたくて、僕たちはライブをやっています、音楽をやっています。皆さんの声が聴けて本当に嬉しい。ありがとう」とメンバー全員を代表して感謝の想いを伝えた。その言葉を受けて、フロアから温かな拍手と歓声が飛び交う。声を重ね合わせられる喜びをお互いに噛み締め合いながら、ライブは次々と進んでいく。『Real』の収録曲である「ディスカス」「素晴らしき嘘」に続いて披露されたのは、この日ライブ初披露となった「ビギナーズノート」だ。ワウの効いたギターサウンドをフィーチャーしたファンキーなアッパーチューンで、カラフルな照明演出と相まって会場全体に鮮やかな高揚感が満たされていく。今回のセットリストの軸になっているのは『Real』の収録曲ではあるが、そこにコロナ禍で生まれた新曲が加わることで、この日の公演には単なる過去のツアーの再現を超えた新たな意味合いが宿っていたように感じる。長きにわたるコロナ禍の日々を超えて、ついに迎えることができたライブシーン完全復活の時を祝福し合うような、とても感動的な名演であった。

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