DUSTCELL、飛躍的に向上するパフォーマンスのクオリティ バンド編成&ファンの歓声によって生み出された新たな音像

 DUSTCELLが5月25日、ワンマンツアー『ROUND TRIP』の最終公演をZepp Hanedaにて開催した。声出し解禁後としては初のツアーということもあって、会場全体が湧き上がる大盛り上がりの一夜となった。

 開演すると、まず舞台上のスクリーンに大きな眼のアニメーションが映し出された。DUSTCELLのライブでは定番となっているこのスクリーンは奥が透けて見える作りになっていて、ステージ上のセットは確認できるがボーカルのEMAの表情まではわからない。すぐにボーカルのEMAが「行くぞ!」と叫んで、いよいよライブが幕開け。バンド編成でスタートし、ギターや生ドラムなどによる臨場感のあるサウンドが繰り広げられた。

 序盤は勢いよく畳み掛ける構成だった。1曲目は「ANTIHERO」。密閉空間を震わせるずしんとした低音と、EMAによる高く伸びる歌声が会場に響き渡る。次の「オルターエゴ」ではイントロから大歓声が起きた。コンポーザーのMisumiが曲中で煽れば、観客も負けじとそれに全力で応える。オーディエンスには最初から一体感があった。ペンライトを持っている人がほとんどのため、客席側はライトによる美しい景色が広がる。バンド演奏とのコンビネーションも抜群で、昨年より取り組みはじめた生演奏によるライブ作りの成果が出ていると言える。そこから「蜜蜂」「足りない」「TULPA」「アネモネ」と間髪入れずに展開。色とりどりの光と爆音による百花繚乱のステージで会場を魅了した。

 ここで一旦、バンドメンバーが捌けてステージはEMAとMisumiの2人だけに。EMAが「DUSTCELLです、よろしくお願いします!」と叫べば、観客も「イエーイ!」と熱狂で応える。会場はすでに興奮の渦。ファンとコミュニケーションをし、場を温めたところで披露したのは「DERO」。DUSTCELLらしい攻撃的なフレーズが特徴的なこの曲では、歌詞の一部を観客が一緒に叫ぶ一幕もあり、声出しを解禁した今だからこその盛り上がりも確認できた。中盤はそこから「SOIREE」「堕落生活」と披露し、これぞDUSTCELLと言うべき世界観で観客を魅了した。

 今回は、3月にリリースしたミニアルバム『ROUND TRIP』を携えてのツアーで、それゆえライブのコンセプトも同アルバムに準じていると言える。同作は、過去へ戻って帰ってくるというコンセプトのもと、自身の過去曲をオマージュした作品が多数収録されている。次に披露した「Kick It Down」もその一つ。この曲は「DERO」の続編的楽曲で、歌詞やサウンドが密接に絡み合っている。こうした過去の楽曲と現在の収録曲を行き来するようなセットリストによって、昔と今のDUSTCELLが、ステージで同居するようなライブが繰り広げられた。またその後の「FAKE」の際には「懐かしい曲をやります」と前置きし、観客はその言葉に大歓声で答えるやりとりもあった。

 歌い終えるとMCコーナーへ。普段から外出するのが苦手だというEMAはツアーの移動中もずっと寝ていたが、逆にMisumiは常にカメラを回して周りをキョロキョロしていたという。DUSTCELLはこうした2人のキャラクターの違いも面白い。気付けばステージ上にはバンドメンバーが戻っていた。ツアーの期間中でかなり仲が深まったというメンバーたち。チームDUSTCELLの絆は確実に強くなっている。

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