DOPING PANDA×the band apart、21年ぶり対バン企画を前に特別対談 ソロ活動を経て強固になったバンドとしての自覚
「一度解散したからこそ、バンドマンでいたいと強く思う」(Furukawa)
木暮:Yutakaはドーパンとソロで曲作りのやり方が違うの?
Furukawa:基本的にデモからっていう作り方は一緒なんだけど、出てくるアイデアが違うなって最近気づいた。ソロの時は案外リミッターをかけているというか……もちろん、一生懸命作ってるんだけど。
木暮:バンドだと、下手なものは出せないみたいな気合いが入る?
Furukawa:まあそうだね。あとはメジャーのリリースだと予算や制作環境、リリースした後の広がりまで顕著に違うから、できることが広がるのはモチベーションになるんだよね。ソロだと、ものすごく短い時間で10曲くらい録らないといけないから。
木暮:なるほどね。新作(『High Hopes』)1曲目「THE PROMISE」のホイッスルっぽい音とかって、比較的最近の洋楽で流行ってる感じがあるじゃん? 2曲目「Carnival」のリズムもそうだけど、そういう音楽もYutakaは聴いてるんだろうなって。
Furukawa:うん、聴いてるよ。例えば、ウォーキングしながら必ず新譜を聴くようにしようとか意識してる。
荒井:すご!
Furukawa:そうしないといつまでもFoalsとかFriendly Firesばっかり聴いちゃうから(笑)。科学的に証明されてるらしいんだけど、27〜28歳で知的好奇心が更新されなくなって、それまで好きだったものをなぞるだけになるんだって。それで、40代になると完全になくなるらしい。だから、俺は知的好奇心が死んでるってことをちゃんと自覚して、懐かしい言い回しが自分から出てきても恥ずかしがらないようにしていて。その分、抗って毎日インプットするようにしているんだけど。
――そういう意味では「I am a revolution」も今のDOPING PANDAならではだと思いました。
Furukawa:四つ打ちなんだけど、ここまでテンポの速い四つ打ちはやっていなかったんですよ。僕らが解散した後、KEYTALKみたいなBPM160以上の速い四つ打ちが流行ったけど、僕らはもともと145くらいなので。そこから10年空いて、彼らがやってきたような四つ打ちのテンポを僕らなりにやってみたいなと思って。加えて、ルイス・コールとかをイメージしながら洋楽っぽくアレンジもしているので、下の世代の四つ打ちに対するドーパンなりのアンサーですね。
――〈世界はこんな英雄を待ってる〉や〈世界はこんな物語を待ってた〉という歌詞を聴いても、再結成までの25年間をちゃんとストーリーにできているんだと思いましたし、昨年が意義ある1年だったからこそ生まれたフレーズだと思うんですよね。
Furukawa:それは思いますね。ソロミュージシャンとバンドの違いは、やっぱりストーリーの強さの違いだと思っていて。4人なら4人、3人なら3人分のストーリーがバンドにはあって、もはや大河ドラマなんですよね。ドーパンを再結成したことで、俺がソロで紆余曲折あったこととか、ベボベや市川さんのサポートをやってきたことも含めて、バンドのストーリーが強くなっている気がしていて。一度解散したからこそ、バンドマンでいたいなと強く思います。ベボベとかを近くで見ていても「バンドっていいな」とずっと思ってたし、今はDOPING PANDAのFurukawa Yutakaでい続けたい思いが強くなっていく一方ですね。
――the band apartも「ピルグリム」とか「ZION TOWN」とか「The Ninja」とか、近年のアルバムの顔になるような曲で、4人で歩いてきた道が自然と歌詞に昇華されていることが多い気がしていて。バンドであるという自覚が音楽に反映されている感覚って、どのくらいお持ちですか?
木暮:4人とも好きなことを外部でやってるけど、バンドといったらthe band apartしかないし、誰か1人でも欠けたらもう終わりだと思っているので。そういう意味ではthe band apartが人生のど真ん中にあって、それをどこまで続けられるかのトライアルなんだっていう気持ちは、ここ何年かで完璧に固まった感じがするかな。個人的にだけど。
荒井:ソロも並行して10年くらいやってきているから、空白期間のあったドーパンとは逆だけど、俺の場合、ソロはいい意味で無責任にやっていて、バンアパの方があらゆる点で難しい。バンドで下手を打ちたくないから、制作の時にめっちゃ考えて、考えすぎちゃって、逆に変な曲になるっていうのはよくあるんだけど(笑)、自分にとってバンドが何かって聞かれたら、その責任感を伴うことかな。だから「最高に楽しい!」と思って曲を作ることがないんですけど、そうじゃないと作れないんだろうなとも思いますね。バンドを始めたての頃、俺は曲が作れなくてすごく嫌だったんですよ。今はそれができるようになって、自分で選んだ役回りだから何の文句もないんだけど、それだけの責任があることに対して緊張しているというか。「俺が作った曲は最高さ」みたいな瞬間は今まで一度もなかったし、このバンドにいる以上、これからもその感覚は訪れないだろうなと。決してストイックぶってるわけじゃないんだけど(笑)。
Furukawa:全てバンドあってのことだもんね。市川さんもすごくバンドであることにこだわるし、いっても俺たちはサポートなのに「メンバーだ」って言ってくれるから。ハイスタ(Hi-STANDARD)とかもそうだけど、やっぱり再始動してからの方がバンドにこだわってる感じがする。
木暮:俺たちはずっとバンドの渦中にいるから、わからない部分もあるけどね。
Furukawa:そうだよね。でも、どんなに仲が悪くて、揉めまくって苦労したとしても、一度やめると「やっぱりバンドがいいな」ってわかるよ(笑)。
――荒井さんと木暮さんは再結成後のDOPING PANDAのライブはまだ観ていないということですが、対バンで楽しみにしていることは?
荒井:やっぱりドーパンが観られることが一番楽しみですよね。『mellow fellow』は我々の青春の1ページなので、当時のことを覚えている人が観に来てくれたら、それを共有できるだろうけど、『mellow fellow』という言葉に対してはそれ以上の想いはないんですよ。だから、純粋に今のドーパンとバンアパを観て楽しんでもらいたいなっていう気持ちですね。
木暮:『PINK PaNK』(2002年)の曲とか、当時『mellow fellow』でやっていたような懐かしい曲もやってくれるのかなって楽しみにしてます。
Furukawa:……カロリーが高いから、やるとしても本当にちょっとだけ(笑)。
木暮:俺も懐かしさ重視のイベントになっちゃうと嫌だから、そういうのもありつつ、お互い25年間ここまでやってきたっていう感慨に耽りながら、しみじみ観るんだろうなと思います(笑)。
――Furukawaさん、締めの意気込みをお願いします!
Furukawa:後輩のバンドからも「この対バンを観たい」ってよく言われるんですよね。2002年以来、この2組だけっていう対バンはさっき話に出た学園祭以外なかったので。ドーパンとバンアパが好きだっていうミュージシャンは結構いるし、「対バンやるんですね!」と言ってもらえることがまず嬉しいので、その期待にはちゃんと応えたいと思います。とはいえ、バンアパはずっと続けてきてるけど、ドーパンはブランクがある分、「あれ、そうでもないな」みたいに思われたくないので。そういう意味では、2002年がどうこうみたいなノスタルジーは俺も一切ないです。『mellow fellow』というタイトルを持ってきているけど、今の2組をしっかり見せたいし、バンアパとやるからには下手なライブはできないなっていう気合いの表れでもあるので。頑張ります!
※1:https://realsound.jp/2022/07/post-1086235.html
■リリース情報
DOPING PANDA
New EP『High Hopes』
2023年4月12日(水)リリース
完全生産限定盤(Blu-ray付):2,699円(税込)
<収録楽曲>
1.THE PROMISE
2.Carnival
3.Know more
4.199X
5.I am a revolution
<Blu-ray収録内容>
『∞ THE REUNION TOUR 2022.05.22 at Zepp Haneda』
1.YA YA
2.The Fire
3.I'll be there
4.Hi-Fi
5.Imagine
6.beautiful survivor
7.Transient Happiness
8.beat addiction
9.MIRACLE
10.Silhouette
■ツアー情報
『mugendai THE CARNIVAL 2023』
6月4日 福岡・福岡DRUM Be-1 16時00分OPEN/16時30分START ※ワンマン公演
副題:Hakata de one man show
6月11日 北海道・札幌cube garden 16時30分OPEN/17時00分START ※ワンマン公演
副題:Sapporo de one man show
6月17日 愛知・NAGOYA CLUB QUATTRO 17時15分OPEN/18時00分START
対バン:the band apart/副題:mellow fellow
6月18日 大阪・心斎橋BIG CAT 15時45分OPEN/16時30分START
対バン:夜の本気ダンス/副題:本気ダンスタイム VS 無限大ダンスタイム
6月25日 東京・EX THEATER ROPPONGI 17時15分OPEN/18時00分START
対バン:the band apart/副題:mellow fellow