ゴホウビは、音楽で一人ひとりのリスナーに語りかける バンドのステイトメント示した渋谷WWWワンマン

 ゴホウビがワンマンライブ『Home Sweet Home!! Vol.1』を5月11日に開催。スージー (Vo/Key)曰く「やっぱり我が家が一番じゃ」という意味のタイトルを掲げながら、リスナーを「おかえり」と迎え入れ、「いってらっしゃい」と送り出すライブを届けた。

 公式ホームページにも書いてある通り、ゴホウビのメンバーは「みんなにとっての『ただいま』と呼べる場所になりたい」という想いがある(※1)。そして以前コラムにも書いたが(※2)、ゴホウビの楽曲には、その人固有の性質を愛おしいものとして歌っているものが多い。

 人は社会生活の中で、他者と気持ちよくコミュニケーションをとるため、物事を円滑に進めるためにその時々に適した振る舞いを選択する。そうして鎧をまとうことは必ずしも悪いことではない。しかしせめて私たちの音楽を聴いている間だけはそうじゃなくてもいいのだと、ゴホウビは音楽を通してあなたに語りかける。たまには心を裸にして、リラックスするのもいいんじゃないかと提案する。今回の『Home Sweet Home!! Vol.1』は、楽曲でも表現されているゴホウビのそういったステイトメントが、ライブとして体現された公演だったと言えるだろう。

 会場は、約8カ月前にメジャーデビュー発表を行ったメンバーにとってもファンにとっても思い出深いライブハウス、渋谷WWW。映画館だった頃の名残のある、段差のあるフロアが特徴的で、ステージから観客の表情がよく見えるハコだ。一人ひとりと顔を突き合わせて届けた1曲目は、未発表曲「おかえり」。スージーの鍵盤が紡ぐ穏やかなメロディに乗せて、cody(Vo/Gt)とスージーが順に歌うミディアムバラードだ。途中でバンドインするが、むんちゃ  (Dr/Cho)がスティックではなくブラシでスネアを叩いていたりと、全体的にやわらかいサウンドでまとめられている。そんなサウンドとともに、〈今日もずっとダメダメだった/そんなこともあるさ〉、〈正しさだとか前向きだとか 今は忘れてゆられてようよ〉といった言葉を観客一人ひとりに手渡した。

 一転、躍動感溢れるイントロ、codyの「こんばんは、ゴホウビです! どうぞよろしく!」という挨拶をきっかけに場が一気に華やぐ。405(Ba)のウォーキングベースをはじめ、リズム隊のジャジーな手捌きが光る「ゴキゲンなLOVER」、そして「次の恋が見つかるまで」、「友達だったよね」を続けることで、あなたの手を取りポップな音楽世界へと連れ出す流れ。さらに、曲が進むごとに一音一音が重く、情熱的になっていく様が聴きごたえ抜群だった「ターミナル」でディープな部分を見せたところで、スージーが「友達の家に来ている感覚でゆったり聴いてもらえたら嬉しい」と語ったMCを挟み、今度はアコースティックコーナーへ。

 405とむんちゃも前方に出てきて、むんちゃはカホンを演奏したアコースティックコーナーでは2曲を披露した。1曲目は、メジャー2ndシングル「kissしよ」。この日のライブから観客の声出しも解禁ということで、codyの歌う主旋律と掛け合いをする形で客席から〈アイラブユー〉と声が上がる。嬉しそうに顔を綻ばせるメンバー。曲が終わったあと、スージーから感想を聞かれたむんちゃは「すごいアイラブユーだったね!」と話していた。2曲目は、2019年リリースの「好きなんだろ」。離れていても心だけは寄り添っていたいと歌うバラードは、リスナーに対する想いを歌った曲としても解釈できる。

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