日本のボーイズグループは世界に通用するのか? 13カ国17都市のステージを経験したXY P→★に聞く
『YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X』から誕生したYOSHIKIプロデュースのボーイズグループ・XY。さまざまな経歴の13人が集まったXYには、きゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサー、そしてTEMPURA KIDZとしても世界のステージに立ってきたパフォーマー、P→★も参加している。多くのグループが世界での活動を目標に掲げる昨今だが、実際に各国のステージに立ってきたP→★は、日本のボーイズグループをどのように見ているのか。ボーイズグループの一員となった今、改めて世界のステージを目指す上で必要となる視点を聞いた。(編集部)
現地に行ってはじめてその国で受け入れられていることを実感する
――P→★さんは今回がリアルサウンド初登場になります。改めて、自己紹介からお願いします。P→★:P→★です。もともとはダンスボーカルユニットのTEMPURA KIDZで、9年活動していました。グループを卒業してからはミュージカル出演や、DJとして個人活動をしていて、今はYOSHIKIさんプロデュースのバンド&ダンスボーカルグループ・XYでの活動が始まったところです。
――多彩な活動をされていますが、P→★さんと言えば特にダンスのイメージが強いです。ダンスを始めたきっかけは何ですか?
P→★:ダンスを始める前はサッカーをやっていて、サッカー選手を目指していました。でも、小学生ながら、自分の中でこれじゃないなというのがあって。小学4年生くらいの時に、DVDでナインティナインの岡村隆史さんとEXILEによるユニット・オカザイルを見た時に、直感で踊ってみたいと思ったんです。家で真似して踊っていたら、両親が地元のダンススクールを勧めてくれたのがきっかけでした。
――その後、きゃりーキッズとしてきゃりーぱみゅぱみゅさんのバックダンサーとして活躍することになります。
P→★:ダンスを始めて1年半、小学5、6年生の時にきゃりーさんのバックダンサーをやらせてもらいました。中学1年生の時にはTEMPURA KIDZの活動が始まったので、もう何が起きているのか自分では分かってなかったです(笑)。
――どういったきっかけできゃりーさんのバックダンサーに選ばれたのでしょうか。
P→★:僕がもともと、東京ゲゲゲイのMIKEYさんのレッスンに通っていて。MIKEYさんがきゃりーさんの振付師のMAIKOさんと一緒に仕事をすることが多くて、2人の中で、きゃりーさんのダンサーに男の子を入れたいという話があったみたいで、僕に声がかかりました。最初は1回だけのお試しだったのですが、そこからどんどんツアーも決まっていって。タイミングが良かったなと思います。とにかく活動は楽しくて、早く学校を抜け出してみんなと踊りたいと思ってました。
――先ほども話にあったように、その後TEMPURA KIDZの活動も始まりました。国内外で幅広く活動していたと思うのですが、中学生の頃に海外のステージに立ってみて、日本との違いは感じましたか?
P→★:海外は、13カ国17都市を行かせていただきました。どの国も、それぞれの国民性が出ていて面白かったです。一緒にライブを作っているという感じもあって、いい意味で自由。曲中でも常にいろんなところから歓声が聞こえてきますし。
――きゃりーさんのバックダンサーとして活躍し始めたのは10年近く前の話ですが、当時からYouTubeの映像やSNSをきっかけに海外の方がきゃりーさん、TEMPURA KIDZを見つけてファンになることが多かったですよね。
P→★:YouTubeのコメント欄などを見て、やっぱり海外の方のコメントが多いなとは思っていました。でも現地に行かないと、ちゃんと知ってもらっているという感覚を掴むことができなくて。だから海外のステージに行く時はすごく不安だったんですけど、ステージに立ってみてはじめて、僕たちの存在を必要としてくれていると実感できました。
表現しきれない内面もYOSHIKIは見抜いている
――そしてTEMPURA KIDZを卒業した後、『YOSHIKI SUPERSTAR PROJECT X』に参加します。どういう想いがあって参加することになったのでしょうか。P→★:グループを卒業して、個人で色々な活動をしていく中で、自分は裏方よりもステージでスポットライトを浴びて活動がしたいなと思い始めていた時に番組を知りました。YOSHIKIさんが作るグループってどんなものになるのか、想像つかないじゃないですか。僕は、いい意味で人の期待を裏切るようなステージが好きなので、YOSHIKIさんがグループを作ると知った時に、そういった活動ができると思って参加しました。
――このプロジェクトに参加する前から他のボーイズグループの活動を見ていましたか。
P→★:見てました。K-POPグループのパフォーマンスを見てすごくクオリティの高いことをしているなと思っていましたが、TEMPURA KIDZは僕以外が女の子だったので、まさか自分がボーイズグループに参加するとは思ってもいませんでした。グループを卒業してからはそういう活動も視野に色々探していたタイミングで、この番組を知った時は運命のようなものを感じましたね。YOSHIKIさんは誰もできないことを、いい意味で平気で破壊していく。僕もそういうのが大好きなので、カッコいいなと思って見ていました。
――オーディションには様々なバックグラウンドを持つ人が参加していました。番組内で一緒にパフォーマンスをすることもありましたが、これまでとは全く感覚が違ったのではと思います。
P→★:ダンスをやりたくて入ってきた人と、歌、バンドメインで入ってきた人がいたので経験の差はどうしてもありますよね。でも、YOSHIKIさんが選んでいる時点で、みんな何かすごい部分があるメンバーでした。ダンスが苦手なメンバーでも、想像できないぐらい歌が上手かったりとか、全員に尊重できる部分があって。これまで出会ったことのないジャンルのダンサーもたくさんいて、様々なジャンルで輝ける人が一気に集まっているようで、すごく面白かったです。自分の場合は、芸能活動を長くやらせてもらっているので、みんなを見ていると初心に戻ることができて。恥を捨ててプライドを1回なくして、本気で努力するという姿に影響を受けました。今の年齢で、がむしゃらに頑張る仲間を見つけることって難しいと思うんです。でも、僕の場合、すごくありがたいことにそのタイミングがあったので、改めて自分のパフォーマンスや、ダンスへの姿勢を見つめ直すことができたと思います。
――YOSHIKIさんから直接アドバイスをもらう場面も多かったと思います。番組を通じて、YOSHIKIさんの印象は変わりましたか。
P→★:YOSHIKIさんはみんなのことをよく見てくれているんだなっていうのは感じています。本当は気づいてほしい、表現しきれない心の内をちゃんと見抜いてくれる方なんだなと思いました。話す時はまだ緊張しますけどね(笑)。でも、すごく遠いということでもなく、ちゃんと寄り添ってくれるので。話しやすい方ですし。
――番組を見ているとYOSHIKIさんが求めるパフォーマンスのレベルは、すごく高いものだと感じました。
P→★:求められるレベルは高いんですけど、YOSHIKIさんの中ではゴールを決めていないように感じます。僕もそういうタイプで。ここまでやったら完成というものを具体的に決めないようにしています。YOSHIKIさんが作るステージは本番ギリギリまで変更があるのですが、それは妥協しないで最後までできる限りのことをしているからだと思います。グループとしての最初の舞台は『第36回 マイナビ 東京ガールズコレクション 2023 SPRING/SUMMER』(以下、TGC)だったんですけど、本番当日の朝に曲が出来上がったんですよね。でも曲の完成が前日でも、本番1時間前でも対応できるようにする。対応するだけじゃなくて、それ以上のものを作って間に合わせるのは、プロとして必要なことだと思います。曲が朝に完成したのも、YOSHIKIさんがギリギリまで諦めずに良くしようとしているから。だからこそ、自分達もそれに合わせてしっかりパフォーマンスしないといけないという気持ちでした。
――その肝の据わり方は、これまでの活動があったからですかね。
P→★:かもしれないですね。XYメンバーは、ステージでの活動が初めての人も多いので、経験のある自分が焦らないで落ち着かせて、メンバーをサポートしたいなと思っています。
――そうして完成したデビュー曲「Crazy Love」はボーイズグループのデビュー曲としては異質なものであるように感じます。
P→★:聴いてみてまず思ったのは「YOSHIKIさんだな」って。時代に合わせた曲というよりも、YOSHIKIさんが作り上げる世界観がぎゅっと詰まっていて、他のグループにはないような楽曲になったと思います。
――初披露の場ではYOSHIKIさんがピアノでパフォーマンスに参加していました。
P→★:YOSHIKIさんが後ろにいる安心感がすごくて。最強の鎧を着ているなって感じました。
――YOSHIKIさんと一緒にステージに立つのは、そうでない時と違いますか。
P→★:違う気がします。何が違うかと言うとちょっと説明しにくいんですけど。自分は、普段とステージにいる時では、全然別の人格でいる感じがして。YOSHIKIさんもそういう感じがするなと思います。