FIFTY FIFTY、バージョン違いの「Cupid」がバイラル好調 表情豊かなボーカルで歌い上げる“レトロな魅力”溢れる1曲
Spotifyの「Daily Viral Songs(Japan)」は、最もストリーミング再生された曲をランク付けした「Spotify Top Songs」とは異なり、純粋にファンが聴いて共感共有した音楽のデータを示す指標を元に作られたランキング。同チャートの4月12日付のTOP10は以下の通り(※1)。
1位:JO1「Tiger」
2位:Aiobahn feat. KOTOKO「INTERNET YAMERO」
3位:Yoko「Unwelcome School ブルーアーカイブ Blue Archive OST 7」
4位:FIFTY FIFTY「Cupid - Twin Ver.」
5位:Shadrow「Never Be Alone」
6位:BOYS PLANET「Here I Am」
7位:メイ・スティーブンス「If We Ever Broke Up」
8位:FAKEy「FAKEy」
9位:PSYQUI「就寝御礼」
10位:FIFTY FIFTY「Cupid」
今週はFIFTY FIFTY「Cupid」をピックアップする。
4月12日付のデイリーバイラルチャートで4位に「Cupid - Twin ver.」、10位に「Cupid」と、2曲が同時にランクインして以降、じわじわ順位を上げ、4月15日付の同チャートでは「Cupid - Twin Ver.」が3位に、「Cupid」が6位になっている。これまで、同アーティストの楽曲がトップ10圏内に複数曲ランクインすることはあったが、同じ曲のバージョン違いで同時にトップ10入りを果たしたパターンを取り上げるのは、筆者がこのコラム連載を担当するようになってからは記憶にない。快挙といっていいだろう。
FIFTY FIFTYは、2022年にミニアルバム『THE FIFTY』でデビューした韓国の女性4人組グループ。2月24日にデジタルリリースされ、3月26日にCD盤(『The Beginning: Cupid』)でもリリースされた「Cupid」は、キック音は抑え目ながらミニマルなリズムが効いたメロディアスなミディアムチューンだ。メロディやコード進行に90年代前半のポップス、例えばThe Cardigansあたりのネオアコ/スウェディッシュポップに似た趣きを彷彿させる本曲は、ボーカルワークにシャンソンのアプローチもあり、レトロ感が新鮮な1曲だ。爽やかなメロディ、キュートな歌声、リズム感を重視しながら滑らかなフロウで聴かせるラップ、小鳥のさえずりのような可憐なコーラスと、メンバー個々のボーカルの表情が豊かで、そこが楽曲の最大の聴きどころにもなっている。さらにボーカルとコーラスのフォーメーションも非常に練られており、耳触りのよさを備えた軽快なポップスに仕上がっている。しなやかなメロディを安定したピッチで聴かせるスキルもさすがだが、通常のK-POPに比べると母音のトーンの印象が多い譜割りを、楽曲の雰囲気を壊さず、一貫してキュートに歌い切るあたりに、このグループの底力を感じる。