リアル×バーチャルが渾然一体となるカオス感 稀有なコラボが目白押しだった『KAMITSUBAKI FES ’23』DAY2公演
ネット発のクリエイティブレーベル「KAMISTUBAKI STUDIO」(以下、「KAMITSUBAKI」)の所属アーティストが総出演するイベント『KAMITSUBAKI FES ’23』の2日目『【DAY 2】 カオスのひ』が、3月31日に東京・豊洲PITで開催された。同フェスは、KAMITSUBAKI STUDIOに所属する花譜らバーチャルシンガーとカンザキイオリらリアルアーティストたちの総勢9組に、バーチャルシンガーから派生した音楽的同位体も大集合。姉妹レーベル「SINSEKAI STUDIO」(「SINSEKAI 」)からも多数のゲストが参加。リアルとバーチャル、「KAMITSUBAKI」と「SINSEKAI」、さらに表と裏。様々なスタンスのアーティストが、人気ナンバーの生披露やコラボを繰り広げ、リアルとバーチャルが渾然一体となったまさしくカオスなイベントとなった。
オープニングアクトとして、「SINSEKAI」からシンガーの梓川が登場。アップテンポの「今さらサレンダー」、トリッキーなリズムが心地よい「告赤」。声出しOKのライブとあり、観客のかけ声とともにフェスの幕が開けた。
「とても素敵なイベント。(ファンの歓声に対し)恵まれた環境で、どんどん自分がダメになっていく。もっとダメにしてください!」とコメントした、本編トップバッターの大沼パセリ。メランコリックな「MAGIC」や疾走感あふれる「DELETE」などを披露したほか、「Twig」をEMA(DUSTCELL)とのコラボで披露。大沼の鼻にかかったファルセットも心地よく、客席に手を振ったりしながら歌うEMA。歌い終えるとグータッチを交わした。最後に「新曲やるね!」と言って、感謝の気持ちを込めた「Gifted」を初披露し、「(もう終わるのが)寂しいよ〜!」と叫びながらステージを締めくくった。
Guianoは、桜の映像をバックに歌い上げた「花」をはじめ、「鳥」「風」「月」といった、昨年連続リリースした四季折々の美しさを楽曲に込めた4曲を披露。観客のかけ声とともに会場がひとつになったステージ。MCでは「最高過ぎて言葉が何も浮かばない」と話し、最後に「みんな、生きて、生きて、また会おう。俺はいつもここにいるから」とのメッセージで、熱く世界観あふれるライブを終えた。
DUSTCELLは、彼らの人気ナンバー「CULT」を1曲目から繰り出し、専門学校HALのTVCMソングとしてもお馴染みの「命の行方」などを歌い、飛び跳ねながらペンライトを振った観客。声出しライブはこの『KAMITSUBAKI FES』が初めてという2人。「感動があるね!」とMisumi。ボーカルのEMAは、「みんなの熱量がすごくて、もっとキテ!って思う」とコメント。客席から「結婚して!」との声がかかり、「う〜ん…まだいいかな」と返して会場がドッとわく場面もあった。
第一部を締めくくったのは、KAMITSUBAKI STUDIOとTHINKRからの卒業を発表したばかりのカンザキイオリ。ステージにはエレピと譜面台とマイク。「命に嫌われている」のイントロが奏でられると、会場は「ウワーっ」という大歓声で包まれた。今にも泣き出しそうな、エモーションにあふれたボーカル。落ちサビは歌だけで、その後力強いピアノとともに心のおりを吐き出すかのように歌い上げると、大きな拍手に包まれた。「結局死ぬってなんなんだ」では、静まりかえった会場に美しいピアノと儚い歌声が響きわたる。
客席からは「ありがとう」との声が飛び、泣き出す観客も。MCでは、今日のライブをやるにあたって見せ方や聴かせ方を、いろいろ考えたと話した。「最終的には自分は自分であることに気付きました。改めてそこから始めようと思います。改めまして、カンザキイオリです。自己紹介も兼ねて、この曲を聴いてください」。「命に嫌われている」よりも前の約7年前に発表した原点的ナンバーの一つ「アダルトチルドレン」を、アコースティックギターの弾き語りで歌ったカンザキ。最後に新曲の「なぜ」もお披露目し、胸に染みる歌声で観客を魅了した。