朝ドラ『ブギウギ』でも話題の足立紳監督作『雑魚どもよ、大志を抱け!』 インナージャーニーが主題歌「少年」で歌う“人生”

 インナージャーニーの楽曲は“生きること”に向き合った楽曲が多い。初期の楽曲「エンドロール」は人生を優しく肯定する曲であるし、「会いにいけ!」は心のままに動くことを讃える歌詞が耳に残る。伝えたいことを一直線に届けるカモシタの朴訥とした歌声と、歌に寄り添う自然体なバンドサウンドが織り成すピュアなエネルギーこそがバンドの持ち味だ。

インナージャーニー「エンドロール」Music Video

 1stアルバム『インナージャーニー』ではさらに広く“人生”を歌うようになった。「わかりあえたなら」は人と人との断絶にまつわる歌であり、「夕暮れのシンガー」には表現者として生きる難しさを込めているように聴こえる。「深海列車」はファンタジックな詞世界の中で〈忘れないでいてね/この街のことも/君がいたことも/遠い記憶に流されぬように〉と忘却に抗うよう祈り、「グッバイ来世でまた会おう」では“死”に向き合ってピュアな想いを奏でる。ネガティブな気持ち、命の終わりも受け入れながらそれでも続く“人生”を歌うバンドと言える。

インナージャーニー「グッバイ来世でまた会おう」Music Video

 また、インナージャーニーの楽曲は語りかける楽曲も多い。「映写幕の向こうへ」では〈時が経って 大人に変わるけれど/いつの日にも 此処は君の秘密基地よ〉と歌の中で語りかけ、「少女」では遠い国の知らぬ少女に向けて〈染まらず生きろよ〉と語りかける。そのメッセージはリスナーである我々へも自然に届き、心を軽くしていく。もしかすると彼らが自身に言い聞かせている部分もあるのかもしれない。

インナージャーニー 「少女」 Music Video

 映画主題歌になった「少年」はそんなインナージャーニーの魅力が詰まった1曲と言える。〈進め!風に乗りどこまでも/まだ見ぬ世界 手探りで行く〉という瑞々しい鼓舞とともに、やりきれないね 傷が増えても〉と生きる痛みにも目を向ける。カモシタは撮影現場まで足を運び、その帰りの新幹線の車中で制作をはじめたという。だからこそ映画の少年たちが抱えるこの世界への恐れや大人になることへの不安を温かく見守りながら、リスナー、そしてバンド自身の背中を押している楽曲としても響き渡る。THE BLUE HEARTS「少年の詩」やスキマスイッチ「全力少年」など、「少年」をタイトルにした名曲は数多いが、“生きること”、そして“人生”を歌うインナージャーニーにとっての新たな代表曲になるだろう。

 インナージャーニーの楽曲を聴いていると、心の内側をともに旅するような気分になる。10代のリスナーにとっては、世界に対する不安に同じ目線で向き合う存在として映るだろうし、上の世代であれば忘れかけていた温もりや純真な気持ちとまた出会い直すような気持ちになれるはず。歌いたい、伝えたいという思いのまま歌を生み出し続ける限り、どんな人生にも寄り添う特別なバンドになるはずだ。

インナージャーニー「少年」Music Video

■公開情報
映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』
出演: 池川侑希弥(Boys be/関西ジャニーズJr.) 田代輝 白石葵一 松藤史恩 岩田奏 蒼井旬 坂元愛登
臼田あさ美 浜野謙太 新津ちせ 河井青葉 /永瀬正敏
監督:足立紳
配給:東映ビデオ
(C)2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会
3月24日(金)公開

■リリース情報
2023年3月15日(水)リリース
デジタルシングル『少年』

■HP&SNSリンク
OFFICIAL YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCvv-8goA4BjhumkRlM4JLqw
Twitter:https://twitter.com/innerjourney_
Instagram:https://www.instagram.com/innerjourney.band/

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