「蓋を開けたら嘘だらけ、みたいなことはある」（中村）

ーー今回のキャラクターは役作りがすごく難しそうだと感じましたが、リサーチなどはしましたか？

中村：私は社会科見学みたいな気持ちでニュースや記事を読みました。配信者役として調べたりもしましたね。

ーー実際に晒している人が、どんな感じかなと？

中村：どんな感じかなと、ちょっと見たりもしました。でもリナの場合はもう少し中身がありますね。相手を落とし入れたいわけではなくて、晒すことによってその子が気づいて救われるんじゃないかと思っている。それをドラマの中では“救済”と呼んでいるのですが。リナは現実で配信する人とはちょっと違った捉え方で取り組んでいるんじゃないかと思いました。

ーーこの作品は「覗き見精神」みたいなところも軸になっていると思いました。

中村：蓋を開けたら嘘だらけ、みたいなことはあると思います。でもドラマとして成り立つからこそ、悪気なく表に出すことができるんだなと感じました。それを、皆さんがカジュアルに見られるYouTubeで配信するというのが今どきですよね。皆さんの反応が楽しみです。

ーー仲野さんは美容整形外科医の役でしたね。

仲野：僕はどちらかというと整形外科医というよりは、あのような性癖がある人間のことを観察していました。人とはちょっと違うフェチを持った人が僕の友達にいて。僕から見ると本当に変わっている人で、そこが僕の思い描く「陸先生像」に近いイメージだったので、その友人と積極的に話して、観察してみようと思いました。

中村：演技の時に、仲野さんの声のトーンが謎めいてミステリアスで、それが陸先生を物語っている感じがして。トーンだけでお芝居できるってすごい力だなと思います。

ーー今回、『晒し愛、こんな夜は誰のせい？』に出会ったことで、役者として何か気付いたことはありますか？

仲野：僕の場合は役をいただけるとなるとほぼダメな男役です。もうびっくりするくらいダメな男が多いんですよ。あとは濡れ場のシーンも結構多くて、現状の自分に求められている役のイメージがわかってきました。正統派ではないからこそ、恋人役とかは難しいですね。どちらかというと「元彼」とか「年上の好きな人」などの役が多いです。でも、僕自身もどちらかというと脇にいる「ズルい男」の役をやりたくて。だから自分の人生設計としてはすごくいい流れだなと思っています。

ーー美術についても聞かせてください。今回の映像ではリナの配信部屋や、症例写真がたくさん並んだ陸先生の部屋が出てきます。どちらも大変凝っていますよね。お2人にとって印象的だったロケ地や美術などはありますか。

中村：ロケ地はある程度決まっていた中にも、すごく作り込んでいた印象があります。リナの部屋もアザーカットで出ていましたが、真っ赤な照明の中で深夜の3時まで撮影が続き、もう気が狂いそうでした（笑）。小道具がかなり、しっかりしていて、デスクには配信用のパソコンがあって、その裏にいろんな人の顔写真が貼ってありました。私の中での印象的な美術セットは「リナの部屋」ですね。

仲野：手術台の置いてある秘密の部屋はすごいなと思います。実は撮影前から「こういうものが作りたいんじゃないかな」というイメージを膨らませていたのですが、もうそのままぴったりのセットが作ってあったので感動しました。音もちゃんとしているから完パケを見たときにサウンドがすばらしくて。そこも含めて全部楽しみです。

ーー今の時代だからこそ『晒し愛、こんな夜は誰のせい？』のような作品が生まれ、注目も集まるのかなと思います。それに関して何か思うことはありますか。

中村：作品の中のような出来事にも、もう少し向き合ってみようかなと思いはじめました。今はドラマの公式もSNSを使う時代になってきましたし、それを武器にしているくらいですよね。ちゃんとSNSと向き合わないといけない時代になってきていると思いました。

仲野：僕もSNSはあまり得意ではありませんが、上手く付き合っていかなければならないとは思っています。やはり数字が見えるって良くも悪くもそこに捕らわれてしまうので、メッセージの反応を気にしちゃうこともあります。でもネガティブなことを言われるのは社会の常で、携帯がない時代にもあったことがSNSに置き代わっただけなので、その行為自体がなくなることはないと思うんです。だから僕はもう振り切っているというか、僕の人生なので何を言われても気にしないようにしています。

中村：他人は他人、自分は自分ですね。

ーー最後に作品の見どころを教えてください。

中村：世間の方々が気になっている部分を詰め込んだ作品なのかなと思います。それこそ見せない裏の顔を暴いてドラマにするというのは、おそらく皆さんが興味のあるジャンルかなと。そしてまた、それぞれの捉え方で楽しめるような作品にもなっていると思います。ほとんどのドラマは着地点に幸せが転がっていたりするものですが、これはもう救いようがなく、どこまでも落ちていく。まさに現実を突き付けられるような内容になっています。その点も、皆さんの目にどう映るのか反応が楽しみなので、『晒し愛、こんな夜は誰のせい？』をYouTubeでラフに見てもらえたらと思いますね。

仲野：基本すごく攻めています。音も映像も雰囲気も、社会のリアルを追い求めている世界観になっていますし、僕は見ていて面白いなと思いました。語るよりも見てもらった方が早いと思うので、作品を楽しんでもらいたいですね。

■1話あらすじ
　インフルエンサーとして活躍している由乃（田辺桃子）には、ただ1つ、手に入らないものがある。それは、好きになった男裕介（清水尚）…。付き合うメリットを裕介に提示できず、ズルズルと関係を続ける由乃と、由乃を上手く転がし利用する裕介。そんな、由乃に“屈折した女”リナ（中村ゆりか）の魔の手が伸びる。

■番組情報
『晒し愛、こんな夜は誰のせい？』
初回放送
2023年3月1日　 毎週水曜日20時〜（全4話）

主題歌
「美しく、憐れ。」「紅い純情」/弓ライカ

キャスト
キャスト
中村ゆりか
田辺桃子
村上穂乃佳
向里祐香
仲野温
賀屋壮也(かが屋)
他

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