男闘呼組メンバー中心の新バンド・Rockon Social Club、記念すべき初ライブでベールを脱ぐ “あの頃”と“今”がひとつになった瞬間

 3月4日、Zepp Fukuokaにて『Tokyo Records Presents Rockon Social Club Secret Party』が開催された。成田商事、Little Black Dress、Rockon Social Clubが出演した本公演は、昨年29年ぶりに伝説的復活を果たした男闘呼組のメンバーを中心とした新バンド・Rockon Social Clubが初ライブを飾る記念すべき一夜となった。本記事では、ライター・谷岡正浩氏によるオフィシャルレポートを掲載する。

『Tokyo Records Presents Rockon Social Club Secret Party』レポート

 おそらく世界で一番ロックな“社歌”、「成田商事ー社歌ー」のぶっといサウンドをバックに制作担当・寺岡呼人(Ba)、技術担当・青山英樹(Dr)、業務担当・成田昭次(Gt)、そしてDevin Kinoshita(Key)の4人がステージに登場。全員がメガネ姿というシャレも効いている。挨拶がわりに披露した一発目は「Hello! Hello!」。4人の佇まいにタイトなグルーヴ、そして何よりあふれる歓声に“ロックが戻ってきた”という実感を抱かせる。

 「今日は九州に上陸して福岡支社を立ち上げることができました。でも日本はまだまだ広いのでこれからも社員をどんどん募集していきたいと思います」という成田のMCに続いてノリのいいロックンロールナンバー「社員募集中」をプレイした。歌詞の中にある「はーい!」というところをオーディエンスがコール&レスポンスしていく。ラストは「ボストンバッグ」。昨年9月にリリースした1stシングルで、この歌から始まったと言っても過言ではない大切な曲だ。披露した全4曲、全てで違う表情の演奏を見せたのはさすがの一言。これからの全国展開に向けた期待が一層高まるライブだった。

成田商事

 今回の出演者の中で唯一の女性アーティスト、Little Black Dress。「心に棲む鬼」をSEに登場すると、ドラムのカウントに続いてギターのカッティングが生み出す小気味いいグルーヴに体が揺れる。Moe(Gt)が加入した新体制での初お披露目ライブということで、1曲目「リスキードライブ」から全曲新曲でセットリストを構成するという度胸が素晴らしい。

「私たちがなぜ音楽をやっているかというと、皆さんの日常の隙間にある言葉にならない寂しさとかを音楽で発散できるように代弁していきたい、ただそれを一心に思いながらステージに立たせていただいています」

 最後に披露した「猫じゃらし」は、誰もの生活に寄り添いながら祈るように歌われるバラード。Little Black Dressのアーティストとして、そして新体制としての確かな手応えと未来への鼓動を感じられた。

Little Black Dress

 一際ヘビーなギターリフが鳴り響く「Rockon Social Club」に派手な照明がクロスオーバーしてステージを彩る。オーディエンスはクラップを目一杯鳴らしてバンドの登場を煽る。伝説的復活を果たした男闘呼組メンバーを中心とした、寺岡呼人プロデュースによるバンド・Rockon Social Clubがいよいよそのベールを脱ぐ時がやってきた。3月1日にリリースしたばかりの1stアルバム『1988』を携え、1曲目からアグレッシブにそのスタイルを見せつけていく。ロックに教科書なんてものはもちろんないが、アタマの2曲「Foxy Lady」「Rolling Thunder Baby」では、そのタイトルでもわかるとおり、ロックの纏うオーラみたいなものをこれでもかと表現している。つまり、派手で、猥雑で、うるさくて、理由もなくカッコいいもの――ロックってそういうものだろ? 彼らの演奏から感じるのは、そんな単純明快な真理だ。

 Devin Kinoshita(Key)、青山英樹(Dr)、そして、前田耕陽(Key)、岡本健一(Gt)、成田昭次(Gt)、高橋和也(Ba)、寺岡呼人(Gt)という豪華すぎるラインナップ。しかし「デビューライブだから! 50代の新人バンドです、ヨロシク!」と高橋が挨拶すると、オーディエンスから大きな歓声が上がる。

Rockon Social Club(岡本健一、成田昭次)

 ミドルチューンからバラードまで、バラエティに富んだ曲がセットリストに並ぶのはそのままアルバムの充実度を物語る。プロデューサーの寺岡曰く、「去年までファンとして観ていて、もしアルバムを作るならこういう曲を歌って欲しいなっていうアイデアがたくさん湧いてきて、それを形にしました。だからこのアルバムは、僕も含めたファンの皆さんとRockon Social Clubのメンバーとのメッセージの交信のような作品だと思っています」。

 ロックバンドのバラードに名曲が多いというのは、ロックバンドあるあるだが、4曲目に披露した「Love Again」もその好例となる楽曲だ。

 MCではアルバムのレコーディングの様子にも話が及び、まるで放課後にバンドに熱中するティーンのような無邪気さを見せる。ゴリゴリにカッコつけなくとも、自然体にロックができるというあたりもRockon Social Clubの大きな魅力のひとつになっている。

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