EXILE、それぞれの道が重なり合って成し遂げた“エンタテインメントの復活” 2022年のメモリアルなライブを総括

EXILE、2022年のメモリアルなライブを総括

 2022年12月、EXILEが有観客初のクリスマスライブ『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” ~Christmas Special~』(2会場4公演)を開催。その最終公演をもって、彼らが1年間で開催した全ツアーの総動員数が100万人を突破した。コロナ禍で思うようにライブができない現実に直面しながらも、不死鳥のようにステージに舞い戻ったメンバーたちの姿は、全国各地のEXILEファミリーを勇気づけたことだろう。そして2023年、LDHのライブエンタテインメントはネクストフェーズへ。そんな未来に期待を馳せながら、まさに革命前夜というべき2022年のライブヒストリーを今一度振り返っていきたい。

 2021年9月27日にメジャーデビュー20周年を迎えたEXILE。2020年11月にボーカル ATSUSHIが勇退し、AKIRAとTAKAHIROを筆頭とする14人体制に生まれ変わった新生EXILEは、2022年1月1日リリースのアルバム『PHOENIX』を携えて、ファンと共にメモリアルイヤーを祝う期間へと突入した。そこでスタートしたのが、2022年2月26日の福井・サンドーム福井公演を皮切りに開催された、単独アリーナツアー『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”』(パフォーマー 小林直己は頭部打撲の治療に専念するため不参加)。彼らが有観客での単独ライブを行なったのは、2020年2月に開催した『EXILE PERFECT LIVE 2001▶2020』が新型コロナウイルスによる政府の自粛要請に従いツアー途中で中止となって以来、2年ぶりであり、アリーナツアー自体は13年ぶり。コロナ禍で軒並みライブが中止になる中でEXILEの背中を押したのは、2021年に待望の有観客ライブ『EXILE TRIBE LIVE TOUR 2021 “RISING SUN TO THE WORLD”』を開催した際に目の当たりにした、「お客様が会場のマナーを徹底して守り、ファンの方同士で気遣い合って一致団結してくださっている姿」(AKIRA/※1)だという。「Save Your Neighbor ~みんなで守りあおう~」の合い言葉がメンバーとファンを繋ぎ、全員で予防対策を徹底した結果、世界的にライブ開催が規制されていた当時、ドームクラスでの有観客ライブは無事に終了。その成功体験が、単独ツアーの開催を手繰り寄せたのである。

 久しぶりの有観客単独ツアー、20周年記念のライブ、14人体制としての初ツアー……と、さまざまな“特別”が重なった『EXILE 20th ANNIVERSARY EXILE LIVE TOUR 2021 “RED PHOENIX”』は、新生EXILEの始動に伴いTAKAHIROとSHOKICHIが作詞に、SHOKICHIと白濱亜嵐が作曲に参加した「RED PHOENIX」で幕を開けた。SHOKICHIが豪快に打ち鳴らすドラムとNESMITHが奏でるエモーショナルなギター、DJ ALAN(白濱)の巧みなDJプレイが印象的な同曲は、TETSUYA曰く「この曲があったからこそ、僕らは苦境でも折れずに立っていられた気がする」(※2)という不屈のロックチューン。変幻自在に移り変わるフォーメーションダンスも含め、“攻めのEXILE”を象徴するパフォーマンスが、オープニングから新生EXILEの爆誕を実感させる。その後もメンバーたちは、アルバム『PHOENIX』収録の新曲を次々に披露。配信ライブ『LIVE×ONLINE』で培った演出や、このメンバーならではのアプローチで観客との距離をグッと近づけると、コール&レスポンスの代わりに、フラッグやハンドクラップで熱い一体感を生み出していった。ちなみに、5月26日に行われた最終公演の国立代々木競技場 第一体育館の客席には、観客としてライブを楽しむ小林直己の姿があり、メンバーがステージ上から彼に話しかける一幕も。それ以外にも最年少・佐藤大樹と黒木啓司がじゃれ合う姿など、あらゆる場面で普段のメンバーの仲の良さが伝わってきて、本ツアーは彼ら自身も“青春”と語るほどに笑顔溢れる旅路となった。

 アリーナツアーで復活の狼煙を上げたEXILEは、続いて、2022年7月6日の福岡PayPayドームを皮切りに単独ドームツアー『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”』を開催した。本ツアーではボーカル ATSUSHIが限定復活(当時)し、15人体制でのライブ開催が実現。2022年6月10日に、10月末でEXILE勇退・芸能界引退することを発表した黒木啓司にとっては、17年間のアーティスト人生を締め括るラストツアーでもあった。

 そのため、セットリストもアリーナツアーとは異なり、ライブエンタテインメントの完全復活を祈る人々の“願いの力”を集結して臨んだオープニングには、代表曲「Rising Sun」と、ATSUSHI・TAKAHIROのツインボーカルによるツアーテーマソング「POWER OF WISH」をパフォーマンス。往年の名曲やアルバム『PHOENIX』の楽曲だけでなく、黒木啓司・橘ケンチ・TETSUYA・NESMITH・SHOKICHI・AKIRAによるEXILE THE SECONDのブロックや、ATSUSHIのソロブロックも登場し、EXILEという名字を背負い、肩を並べながらも、あくまでも一人ひとりの人生を歩んできた15人の“道”を感じられる構成になっていた。その生き方こそがEXILE魂であり、勇退は決して永遠の別れではなく、“道”が再び重なり合う時、見えてくる景色があるーーそう、改めて示すように。

 そして2022年9月25日、超満員の東京ドーム公演を最後に、黒木啓司が新たな“道”へと踏み出した。長年、EXILEの一員として強気な姿勢を貫いてきた黒木。そんな彼が涙ながらに、アーティストとして過ごした17年間の感謝の気持ちをステージ上でファンに伝えた。黒木との別れを惜しみつつも、12月にツアーの続編ともいえる初のクリスマスライブ『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” 〜Christmas Special〜』を開催すること、オリジナルメンバーのMATSU(松本利夫)・ÜSA・MAKIDAIが参戦することをサプライズ発表すると、TAKAHIROは「ようやく皆さんと、クリスマスシーズンを直接同じ空間で共有できることが本当に楽しみです。冬のワクワク感をEXILEのエンタテインメントを通して全身で感じていただける内容にしたいと思います」と前向きなメッセージを寄せた。

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