Kroi、温故知新の1曲「風来」に注いだ音楽愛 全国ツアーの手応えからバンド結成5周年まで近況も振り返る

Kroi「風来」に注いだ音楽愛

「風来」のサウンド/歌詞ともに反映した70年代ニューソウルのマナー

Kroiアーティスト写真

ーー新曲「風来」のサウンドメイクも印象的でした。アコギと歌で素朴にはじまりますが、「Hard Pool」とはまったく手触りが違っていて。

内田:そうですよね。イントロのアコギは2000年あたりの女性シンガーソングライターのイメージもあって。全体的なニュアンスとしては、70年代のニューソウルですね。昔はけっこうやってたんですけど、最近はアップテンポの曲だったり、「今っぽい感じでやってみよう」ということが多くて。このタイミングで久しぶりにやってみたかったんですよね。気軽に聴けるソウルというか、実験性はそこまでないんだけど、こういうKroiもありますよっていう。

関:サウンドメイクもできる限り当時の音を忠実に再現したくて。古めのベースとアンプを使いました。あと、レコーディングしたデータをアナログテープで録音して、それをもう一度デジタル化してるんですよ。

千葉:よく使っているスタジオに24チャンネルのマルチリールがあって。いったんアナログテープに取り込むことで、レコードっぽい音というか、角が取れて音が丸くなるんです。

益田:ドラムはいつも通り、“いい音で録ろう”という感じでしたね。ライドシンバルを新たに買ったり、ハイハットを怜央に借りたりしましたけど。

ーーなるほど。ギターに関しては?

長谷部:俺も“忠実再現”を目指してました。当時の音を出すためには当時のギターしかないと思って、初めてビンテージギターを買ったんですよ。

ーーお! 何を買ったんですか?

長谷部:赤いGibson ES-335です。アンプで鳴らすのではなくて、ラインで録ったんですよ(マイクを通さず、ケーブルで直接、録音機やミキサーにつないで録音する方法)。

千葉:今まではアンプで鳴らすことにこだわってたんですけど、今回はラインで録って。昔のソウルのアーティストも、ギターやベースはたぶんライン録りなんですよね。

内田:うん。70年代のソウルのレコードって、ギターの音が近く聴こえるんですよ。The Baker Brothers(2000年代前半にデビューしたUKのジャズファンクバンド)も当時の音をかなり再現していて。ギターのカッティングが気持ちいいんですけど、「ああいう感じでやりたい」という話もしてましたね。

長谷部:モータウンのレコーディングの動画とかもみんなで見てました。

関:「風来」は管楽器も入ってるんですけど、在日ファンクのホーン隊のみなさん(橋本剛秀【Sax】、ジェントル久保田【Tb】、村上基【Tp】)にお願いしたんです。去年の年明けに自分たちの企画ライブ(『Dig the Deep』)で対バンさせてもらって、「一緒に何かやれたらいいですね」という話をしていたので。

ーー理想のサウンドをとことん求める姿勢が素晴らしいし、音楽愛が注がれているのもKroiらしいですね! 歌詞については?

内田:歌詞もやっぱり70年代ニューソウルを意識していて。当時は世界的な規模のことを歌っている曲が多かったんですけど、その価値観を自分なりに取り入れて書いてみようかなと。いつもより視野が広がったリリックだと思います。

ーー70年代ニューソウルは人種問題、公民権運動、ベトナム戦争に対する運動などを背景にした社会的メッセージを込めた楽曲も多かったですからね。つまり「風来」は、2023年の「What's Going on」(マーヴィン・ゲイ)と言えるのかも。

内田:そうなったらいいですね。(社会的なメッセージを)日本語で書き連ねると重たく感じる人もいると思うんですよ。それこそ「音楽はただ楽しめればいい」という人もいるわけで。ただ、アーティストとしては「風来」みたいな歌詞と向き合わなくてはいけないという気持ちもあって。そこもバランスを取りながらやっていきたいですね。

バンド結成5周年を迎えて

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ーー2月3日にTwitterで「Kroi5周年のうた」をポストしてましたね。

関:見ていただけましたか?(笑)。2月3日にたまたまリハーサルが入ったから、「せっかくだから動画撮る?」ってことになって。その場で適当にパンクっぽい曲を作りました(笑)。

ーー結成から5周年を迎えて、どんなことを感じてます?

長谷部:俺と怜央、関さんと益田さんがちょうど5歳離れてるんですよ。5年経って、結成した頃の関さん、益田さんの年齢になりました(笑)。

関:結成したときは社会人1年生の年齢だったからね、俺ら。悠生と怜央は高校3年で。

益田:あと5年経つと、太り始めるよ。

ーー(笑)。内田さんはどうですか? 5年間バンドをやってきて、「ここまで登ってきた」みたいな感覚もある?

益田:いいこと言えよ。

内田:言わないよ(笑)。5年は、まあ早かったですよね。メンバーもさらに仲良くなったし、今後もガンガン“歴”を伸ばしていきたいです。

長谷部:益田さん、5年前は一切笑わなかったんですよ。「ちゃんと笑った顔、見たことないね」って話してたんですけど(笑)、最近はよく笑ってますね。

内田:人の心が戻ってきたのかも(笑)。

益田:(2019年12月に)千葉さんが加入してから、オーバーに笑う癖がうつっちゃって。

千葉:俺の功績ですね(笑)。悠生がおもしろいヤツになったのも、たぶん俺のおかげです。最初に会った頃は、テレビドラマの主人公みたいだったから(笑)。

長谷部:(笑)。確かに当時のカメラロールを見ると、「なんだこいつ?」って思う。

内田:カッコつけなくなったし、よりフラットになったのかも。逆にカッコつけなくちゃいけない場面で、恥ずかしくなるんですよ。

ーー“狙ったカッコよさはカッコ悪い”という価値観もあるのでは?

内田:それは昔からありました。全員ひねくれてるので(笑)。

ーー音楽的にはどうですか? やりたいことをやれている実感もある?

内田:はい。Kroiで革命を起こすためにはいろんな人に聴いてもらわないとダメなので、聴きやすさとやりたいことのバランスはいつもついて回る。でも、それ以外はやりたいことを本気でやれる体制ができてますね、メンバーもスタッフも。

2023年は楽器と車とフリースタイルがアツい?

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ーー今後の活動についても聞かせてください。3月29日には新作EP『MAGNET』をリリース。4月からは全国ツアー『Kroi Live Tour 2023 "Magnetic" BLUE / RED』がスタートします。

関:全15公演は前回のツアーとほぼ同じ規模感ですけど、今回はライブハウス公演を“BLUE”、大阪のオリックス劇場と東京のNHKホールを“RED”と称して別軸のライブをやろうと思っています。前回ツアーファイナルのLINE CUBE SHIBUYAが初めてのホール公演だったんですけど、今後も大きい規模のライブを増やしたいと思っているし、遠くのお客さんに届ける感覚も養いたくて。

内田:ライブハウスとホールはまったく違う世界なんですよ。ホールはまだ踏み入れたばかりだし、もっと研究して精度を高められたらなと。ライブハウスのライブがパーティだとしたら、ホール公演はショーっぽくなっていく気がしますね。我々が率先してお客さんのテンションを持っていくような感覚も必要だと思います。今まではけっこうお客さん任せなところがあったので(笑)。

長谷部:「自由に楽しんで」と言いつつ、お客さんの盛り上がりがいまいちだとテンションが下がっちゃったり(笑)。ステージと客席で影響を与え合うところもありますからね。

ーー最後にそれぞれの2023年の目標を教えてもらえますか?

千葉:Moogのシンセを買います! コリー・ヘンリーが弾いているのを見て、「かっこいい」と思って。単音しか出せないんですけど、すごくいい音なんです。あとは車の免許を取りたいです(笑)。できれば車も買いたい。

関:コントラバスを買いたいですね。最近、エレキのアップライトベースを弾きはじめたんですけど、“本チャン”がほしくて。新しいEPでもコントラバスを弾いている曲があります。悠生は?

長谷部:レスポールを2本持ってるんですけど、3本目がほしくなってて。ゴールドトップにするか、カスタムにするか考えてます。レスポールは仕様によってかなり音が違うし、ロックだけじゃなくて、ジャズやファンクでもいける。いい子がいたら迎え入れたいです。

内田:買いたいものばっかりじゃん(笑)。

長谷部:あとは大型バイクの免許を取りたいのと、フリースタイル(ラップ)もやりたい。

千葉:フリースタイル、練習してるんでしょ?

長谷部:うん(笑)。高校のときに『フリースタイルダンジョン』が流行って、友達もみんなハマってたんだけど、俺はハマれなくて。ツアー中、新幹線で動画を見てるうちにやりたくなったんですよ。この前、試しに怜央とバトルしてみたんですけど、すごく楽しかった(笑)。

内田:おもしろかったよね。

ーー益田さんはどうですか?

益田:スタジオに入ってるときに、怜央と千葉がいろんなジャンルのセッションをはじめることがあるんですよ。今まで触れてなかったジャンルも聴いて、自分のリズムの引き出しを増やしたり、ドラマーとしての幅を広げたいですね。あと、新しい車がほしいです(笑)。

※1:https://realsound.jp/2022/11/post-1190013.html

Kroi - 風来 [Official Video] ※2月22日21時プレミア公開

■リリース情報
Digital Single「風来」
2023年2月22日(水)
https://lnk.to/fuurai

Kroi Major 2nd EP『MAGNET』
発売日:2023年3月29日(水)
https://pony-canyon.lnk.to/magnet

CD Only/ PCCA-06194 /1,650円(税込)
CD+DVD/ PCCA-06193 /4,400円(税込)
CD +Blu-ray/ PCCA. PCCA-06192 /4,400円(税込)

収録曲
01:PULSE
02:Astral Sonar
03:Cosmic Pillow
04:Hard Pool
05:cranberry
06:風来

DVD/Blu-ray収録内容:
Kroi Live Tour 「BROADCAST」from LINE CUBE SHIBUYA(2023.01.08)

01.Drippin' Desert
02.Pixie
03.Monster Play
04.a force
05.Juden
06.Funky GUNSLINGER
07.Balmy Life
08.Mr. Foundation
09.Flight
10.侵攻
11.夜明け
12.Not Forever
13.Never Ending Story
14.WATAGUMO
15.Network
16.HORN
17.Shincha
18.Hard Pool
19.Fire Brain

【ショップ別先着予約購入特典】
・タワーレコードおよびTOWER mini全店、タワーレコードオンライン:Kroi☓TOWER RECORD オリジナルステッカー
・全国HMV/HMV&BOOKS online:HMVオリジナル「magnet」ステッカー (50mm×70mm)
・Amazon.co.jp:メガジャケ
・楽天ブックス:オリジナルアクリルキーホルダー(50×50)
・セブンネットショッピング:オリジナル缶バッチ
・上記以外のCDショップ:オリジナルステッカー

■ツアー情報
『Kroi 2023 "Magnetic" Tour BLUE / RED』

【BLUE】
4月13日(木)神奈川 KT Zepp Yokohama
4月15日(土)静岡 浜松窓枠
4月16日(日)愛知 DIAMOND HALL
4月22日(土)福岡 DRUM LOGOS w/ BREIMEN
4月23日(日)福岡 DRUM LOGOS
5月6日(土)北海道 PENNY LANE24 w/ BREIMEN
5月7日(日)北海道 PENNY LANE24
5月12日(金)大阪 Zepp Namba
5月13日(土)岡山 YEBISU YA PRO
5月18日(木)東京 Zepp Shinjuku
5月20日(土)宮城 仙台Rensa
5月26日(金)石川 金沢AZ
5月27日(土)新潟 新潟LOTS

【RED】
6月2日(金)大阪 オリックス劇場
6月23日(金) 東京 NHKホール

■TICKETS
ライブハウス公演【BLUE】 : 前売り  4,800円(+1DRINK)
ホール公演【RED】 : 前売り  5,800円
https://lnk.to/Magnetic_tix

Kroi HP/ECサイト
HP:https://kroi.net
ECサイト:https://store.kroi.net

Kroi SNS
Twitter:https://twitter.com/KroiOfficial
Instagram:https://www.instagram.com/kroi_official/

Kroi official YouTube
https://www.youtube.com/@KroiOfficial

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