EXILE THE SECOND、“出会いと別れ”を経た5人の新しい夜明け SHOKICHIが明かす、ファンと心を重ねながら歩む決意
EXILE THE SECONDが、約3年ぶりとなるニューシングル『Twilight Cinema』を2月22日にリリースする。昨年メンバーの黒木啓司が引退し、橘ケンチ、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHI、AKIRAの5人体制で再始動した彼らは、現在、全国ツアー『EXILE THE SECOND LIVE TOUR 2023 〜Twilight Cinema〜』(2月10日~6月2日まで16都市20公演で開催予定)を開催中。表題曲「Twilight Cinema」は、本ツアーと完全連動したコンセプチュアルなミディアムナンバーとなっており、出会いと別れを繰り返しながら歩んできたEXILE THE SECONDの人生を物語っている。またカップリングには、SHOKICHIの最新ソロ曲「カゲロウ」を収録。2曲を作詞し、作曲にも携わったボーカル SHOKICHIに、制作エピソードや溢れ出るファンへの想いを語ってもらった。(斉藤碧)
「別れもハッピーエンドに向かうための1つの経過」
――昨年は『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”』を通して、6人、そして5人のEXILE THE SECONDのパフォーマンスを届けられました。このステージを行うにあたって、SHOKICHIさんの中にはどんな想いがありましたか?
SHOKICHI:『POWER OF WISH』ツアーで“THE SECOND”のステージをお届けした一番大きな理由は、やっぱり(黒木)啓司さんのラストになる、ということですね。コロナ禍で単独ライブをすることもできない中、引退を発表されたので、とにかくあの瞬間に啓司さんとファンの皆さんの思い出を刻めたらなと。僕自身も感傷に浸りながらパフォーマンスさせていただきました。そして、昨年末に開催した『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH” 〜Christmas Special〜』(シングル『Twilight Cinema』のDVDに収録)では、新生EXILE THE SECONDとしてステージに立たせていただきまして。新曲「Twilight Cinema」にメンバーそれぞれの想いを詰め込みながら、「新たにこの5人で進んでいくことを決めました!」という決意表明と挨拶をさせていただきました。
――そこで初披露された「Twilight Cinema」が今作のリード曲ですが、この曲はどういう経緯で生まれたんですか?
SHOKICHI:今回は新曲の制作に入る前に、ツアーが決まったんですよね。昨年10月に啓司さんが引退されて、この先のSECONDの活動をどうするかを考えた時に、まずはちゃんとSECONDファンの皆さんに挨拶をしよう、という話になったんです。コロナ禍になってから、EXILEとしてはツアーを回ったけど、SECONDとしてはまだお会いできてなかったので、今までに発表してきた楽曲を携えて5人でツアーをしようと。その上で、ツアーのコンセプトとして浮かんだのが“Twilight Cinema”であり、“出会いと別れ”というテーマでした。といっても、別れ=ネガティブな意味ではなくて。確かに啓司さんが抜けたことは、僕らにとってもファンの方にとっても悲しい出来事ですけど、僕らはエンターテイナーですから。EXILE THE SECONDとして“別れ”を題材にしたエンタテインメントをお届けしようと、このコンセプトを提示しました。
――それで、“Twilight”(黄昏時や夜明け前に差し込む淡い光)なんですね。
SHOKICHI:夜明け前の光って、また新しい1日が始まることの知らせじゃないですか。それと同じように“別れ”も、次なる出会いに進むための出来事だし、みんながハッピーエンドに向かうための1つの経過なんだよって伝えたくて。そう思えたら、少しでもみんなの毎日が素敵になるかな? なんて考えながらツアーを組み立てて「Twilight Cinema」の歌詞を書きましたね。
――SHOKICHIさんの深い愛情は、ファンの方にもしっかり届いていると思います。ただ、先ほど「今回のツアーは、初めは既発曲だけで構成する予定だった」とおっしゃいましたよね。ということは、新曲制作に着手したのは……。
SHOKICHI:『EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”』の本編が終わった後ですね。具体的にツアーの構成を考えていく中で、「やっぱり新曲があったほうがいいかもね」という話になって。ツアーまであまり日にちがなかったので、締め切りはかなりハードだったんですけど、なんとか作ることができました(笑)。トラックは以前作っておいたものから、このテーマに似合う曲をセレクトしたんですけど、歌詞は1日で書き上げました。
――1日でこんな名曲が!?
SHOKICHI:去年はプロデューサーとして関わっているオーディション『iCON Z 2022 ~Dreams For Children~』の楽曲をたくさん作ったので、かなりの数の締め切りと闘い、数々の名勝負を繰り広げたんですよ。そこでかなり鍛えられた感じがあったので、試しに1日で作ってみたら……できちゃって(笑)。先にツアーのイメージがガッチリ固まっていたことも、スムーズに仕上がった要因かなと思います。
「笑顔だけど、思わずポロッと涙が流れる曲になれば」
――その他に作曲に対する姿勢やテクニックなど、クリエイターとしての変化を感じる部分はありましたか?
SHOKICHI:歌詞の書き方が変わりましたね。以前は難しい単語を使うことがあったんですけど、最近はあえてわかりやすい単語を使うようにしてます。使う単語は簡単だから、一見ストレートに感じるんですけど、こんな言い回しする? こういうフレージングで使う? みたいな、ひと癖ある表現にしたくて。例えばBメロの〈照れ笑ったHelloと涙色のGood bye/背中合わせに並ぶ言葉〉のように、1回「ん?」と思わせてから、深く読み込んだ時に「ああ、こういうことを歌いたいのかな」って感じさせる。そういう歌詞を目指して書くことが増えました。
――しかも、1番と2番の歌詞では、見える景色が違いますよね。
SHOKICHI:そうですね。この曲を聴いてくれた方にとっての“別れ”がそれぞれ思い浮かぶような、その先の未来に向かって進んでいく姿を投影できるような曲にしたくて。1番はちょっと大きな枠での別れを表現するために、あえてふわっとした言葉で書いたんですが、2番ではキュッと世界を縮めて、恋愛にも置き換えられる内容にしました。SECONDには、「RAY」というライブの一番最後に歌う曲があるんですけど、TETSUYAさんが「『RAY』に次ぐような曲になればいいね」っていうヒントもくれたので、そういうイメージで書いてみようかなと。笑顔なんだけど思わずポロッと涙が流れる、そんな曲になればいいなと思っていました。
――「新生EXILE THE SECONDとして再始動」というニュースを聞いた時、初めはEXILE「RED PHOENIX」のようなエネルギッシュな楽曲を想像したのですが、クリスマスライブで「Twilight Cinema」のパフォーマンスを拝見した時に、ゆったりとした曲調でファンの方と心を通わせていく姿が、すごくEXILE THE SECONDらしいなと感じました。ファンの方と歩幅を合わせて歩いている感じがあって。
SHOKICHI:そう思ってもらえると嬉しいですね。もちろん、ここからまた始まるぞ! っていう意気込みもありますけど、等身大の自分たちで表現できたらいいなと思っていましたし、今のEXILE THE SECONDは正直、自分たちを応援してくださっている方のことだけを考えているので。たくさんの人に知ってもらうために派手に打ち上げるのではなく、今、僕らの目の前にいる皆さんに向けた楽曲になっています。
――レコーディングやボーカルディレクションの面では、どんなことにこだわりましたか?
SHOKICHI:歌詞には切ない表現もあるけど、サウンドとしてはめちゃめちゃハッピーな曲に聴こえたらいいなと思って、キーも高め、声色も明るめでトライさせてもらいましたね。歌割に関しては、僕とネスさん(NESMITH)はキーが全然違うので、キーの高いサビは自分に任せてもらったんですけど、あとは「ネスさんが好きなところを歌ってください」って感じで決めました。昔は歌詞割りにこだわっていたりもしたんですけど、今はネスさんと一緒に楽しんで音楽ができたらいいなと思っているので、ネスさんの歌いたいところを、好きなように歌っていただきました。
――「一緒に楽しんで音楽ができたら」という言葉がありましたが、実際に皆さんが一列になって歌い踊る姿は、胸に来るものがありました。
SHOKICHI:大人になった感じが出てますよね。この人たち、いろんなことがあったんだろうなぁ……みたいな(笑)。ただ、それがエンターテイナーとしての深みに変わると思うので、これからも音楽を楽しむ心を大事にしながら、年輪で感動させられるようなアーティストになれたらいいなと思います。