シド、1年ぶりライブ活動再開に喜び 新旧名曲を織り交ぜたセットリストで結成20周年を幕開け

 シドが『ID-S限定 SID LIVE 2023 ~Re:Dreamer~』を1月21日、22日の2日間にわたり、東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催した。本公演は、結成20周年の幕開けであり、また、昨年からライブ活動を休止していた彼らにとって約1年ぶりのファンとの再会でもあった。本記事では、1日目の模様をレポートする。

 ライブタイトルの「Re:Dreamer」は、2005年リリースのコンビネーションアイテム『paint pops』に収録されている、夢追い人の応援歌。20周年とライブ活動再開という2つの大きな節目を迎えた彼らがこの曲をタイトルに掲げたのは、“これからも夢を追いかける”という前のめりな活動宣言なのだろう。そしてその最初の一歩は、常にシドを支えてきたID-S(シド オフィシャルメンバーズクラブ)会員と共に踏み出すことを決めたようだ。

 再会の幕開けは、昨年リリースしたアルバムのタイトル曲「海辺」。さざ波の音が流れる中、ステージを覆う紗幕にメンバーのシルエットが映し出される。明希(Ba)が鳴らす柔らかな低音と、Shinji(Gt)の奏でる穏やかで優しい音、ゆうや(Dr)の安定感のあるリズムが重なると、最後にマオ(Vo)の歌声が静かに響きわたる。紗幕が上がり、4人の姿がステージに現れると、観客たちは待ち焦がれたその姿と音を心に焼きつけようと、身動き一つせずじっと見つめていた。マオも同じように客席を真っすぐに見つめ返しながら、再会の瞬間をじっくりと味わうように丁寧に歌い上げた。

明希(Ba)

 静かに曲が終わると、長い長い拍手がおくられた。「お帰りなさい」「待ってたよ」「戻ってきてくれてありがとう」。そんな思いが詰まったあたたかい拍手の雨が優しく4人へ降り注ぐ。美しい紫色にステージが染まると、歌謡曲テイストのバラード「紫陽花」へ。シドの名を世に知らしめた1stアルバム『憐哀-レンアイ-』の1曲目という思い出深い曲を受け取った客席には、口元を押さえたり胸の前で手を組んだりしながら、大きな感動を味わっている様子が見えた。

 2006年リリースのアルバム『play』の人気曲「ミルク」をマオがタイトルコールすると、抑えきれない小さな声があちこちで零れる。美しいハイトーンを響かせながら、マオ節全開の詩的な歌詞を歌い上げ、観客たちの心を鷲掴みにした。その後も、「hug」(2014年リリース)、「刺と猫」(2005年リリースのアルバム『星の都』より)と、様々な時代に作られた名曲たちを次々と披露。序盤は少し緊張気味だった会場の空気も曲を重ねるごとに解れていき、明希、Shinji、マオがステージ中央に集まると、たくさんの観客が手でハートを飛ばして愛を届ける場面もあった。

 ここからは、楽器隊によるソロパフォーマンスタイムへ。変則的なリズムで惹き付けながらアグレッシブなドラムプレイを披露するゆうや。迫力満点のプレイでヘヴィなサウンドを叩きつける明希。歌うような美しいメロディで魅了するShinji。各々の個性が開花したプレイには、ここまで歩んできたミュージシャンとしての確かなスキルと経験が詰まっていた。

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