wacci「恋だろ」が『関ジャム』ベストソングランキングで話題に いしわたり淳治らのコメントから紐解く“支持され続ける理由”
1月22日、29日の2週にわたり放送された『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)にて、年始恒例企画として、3人の選者による「2022年マイベストソングランキング」が発表された。本稿では、作詞家・歌詞プロデューサーのいしわたり淳治氏が自身のベストランキングの2位に選出したwacci「恋だろ」について深掘りしていく。
「恋だろ」は、昨年メジャーデビュー10周年を迎えた5人組ポップロックバンド wacci が、2022年4月から放送された土屋太鳳が主演を務めるドラマ『やんごとなき一族』(フジテレビ系)の挿入歌として書き下ろした楽曲である。放送終了から数カ月が経った9月には、wacciの橋口洋平(Vo/Gt)、因幡始(Key)と同ドラマに出演した松下洸平が揃って「THE FIRST TAKE」に登場し、「恋だろ」を披露するという嬉しいサプライズもあった。同曲は、現時点でBillboard JAPANチャートにおいてストリーミング累計1億回再生を突破しており、TikTokにおける再生回数は3億回を超えている。また、そうした大ヒットを受けて、wacciは『第64回日本レコード大賞』で優秀作品賞を、『LINE NEWS AWARDS 2022』でアーティスト部門を受賞しており、こうした数々の功績を並べていくと、「恋だろ」が、現行の日本の音楽シーンを象徴する時代の歌として、数多くの人たちに愛されている事実が浮き彫りになってくる。
「恋だろ」は、その曲名が表しているように、wacci流の王道ラブソングである。すでに世の中に数え切れないほどのラブソングが溢れ返っている現代において、この王道ラブソングが大きなヒットを記録したのはなぜなのだろうか。その一つの答えに迫る手掛かりとして、『関ジャム』内で紹介されたいしわたり氏のコメントを一部抜粋して紹介する。
「〈身の程はわきまえているつもりだ〉と前置きをした上で、〈バカみたい〉と俯瞰で笑い、それでも〈誰に断るでもなく 勝手に 今日もただ君が好き〉と言い切る格好良さ。〈性別も年齢も 家柄も国籍も 外見も年収も 過去も何もかも全部/関係ないのが恋だろ 乗り越えられんのが恋だろ〉と歌うこの歌は、昨今の『恋をしない理由』に真っ向から挑む、とても勇敢な歌に聞こえます」
古今東西、J-POPシーンにはたくさんのラブソングが溢れているが、その中でも、〈今日もただ君が好き〉とまっすぐに歌う「恋だろ」は、衒いのない直球のラブソングである。それ故にこの曲は、若者の“恋愛離れ”が叫ばれる世の中に対する一つのカウンターとして機能している、というのが、いしわたり氏の解説である。恋に落ちるのに理由なんていらないし、“恋をしない理由”なんていくらでも乗り越えられる。そのように力強く歌い上げる同曲は、甘いラブソングというよりも、むしろ熱烈な応援歌としての意味合いのほうが強いかもしれない。いしわたり氏が同曲について、「この曲はTHE J-POPというラブソングを一番アップデートしてる歌だなと思う。最先端のラブソングのフォルム」と補足していたように、「恋だろ」は数々の差異や逆境を乗り越えようとする人の背中を押す役割を果たしていて、この力強い“恋愛応援歌”が、いかに多くの人たちから求められているかについては、上述した数々の輝かしい功績が証明している。