Evan Call×琴音、映画『金の国 水の国』劇中歌を語り合う プロフェッショナルなアイデアを出し合いながら高めた表現性

Evan Call×琴音『金の国 水の国』対談

琴音、まったく違ったポジションで向き合った「Brand New World」

ーーもう1曲の「Brand New World」は一転、力強く情熱的なナンバーになっていますね。

Evan Call:今回は劇伴も含め、ここまでビートが入っている曲はこれだけですね。映画の雰囲気的にも、これだけリズミックでポップス的な要素が入ってくることでかなりインパクトが出たと思います。曲を聴くことで、映画を観ている人たちはきっとこのシーンが特別な瞬間であることを感じてもらえるのではないでしょうか。とはいえ、他の劇伴からあまりにも浮いてしまうことがないようにオーケストラ系のアプローチでバランスは取っています。この曲に関しても、レコーディングでは本当に表現の仕方の微調整をしただけで、琴音さんは文句なしの歌を入れてくれました。

琴音:曲自体、走り出すような、燃え上がるようなテイストなので、私としてはなんなら乗っかるだけぐらいの安定感はありましたね(笑)。戦いのシーンで流れる曲なので、なるべくリズムを感じるように言葉を切って歌ったり、燃え上がるようにアタックをつけた歌い方を意識しました。「優しい予感」や「Love Birds」は主人公たちを見守っているお日様のようなナレーターをイメージして歌ったところもありましたけど、この曲はまったく違ったポジションで曲に向き合いました。

琴音 「Brand New World」 (Extra Edit) 【映画「金の国 水の国」劇中歌】

Evan Call:シーンに合わせて結構短めな曲ではありますが、琴音さんの歌が入ったことで物語にしっかりシンクロした仕上がりになったと思います。

琴音:確かに普通の曲からすると短めですけど、その中にはこの曲ならではの色もあるし、見えてくる風景もあるので、「あっという間に終わっちゃった」みたいな感覚にはならないと思います。歌でバシッと終わるラストもすごくかっこいいです。

ーー劇中歌はもちろん、Evanさん渾身のオリジナル・サウンドトラックもぜひ堪能して欲しいですよね。

琴音:本当にそう思います。今、資料を見たらサントラには47曲も収録されていて、こっそり驚いているんですけど(笑)。Evanさんは本当に魂を削ってこの映画に向き合われたんだなって感じました。

Evan Call:あははは。

琴音:映画を観ていると、様々なシーンで流れる楽曲からいろんなニュアンスを感じ取ることができるんですよ。ちょっと東洋っぽい雰囲気もあれば、ちょっとインド風な雰囲気もあったりして、それぞれで多彩な楽器の音色が聴こえてくるのもすごく楽しくて。素敵な映像と相まって、2度も3度も美味しい作品になっていると思いますね。

Evan Call:確かに47曲のサントラは映画にしてはわりと多いかなと思いますが、本当に楽しんで作ることができたので、ツラいという感覚はまったくなかったです。私は民族音楽が子供の頃から好きだったので、それを盛り込んだ曲をたくさん作れたことも嬉しかったです。

ーー“金の国・アルハミト”と“水の国・バイカリ”、それぞれの国で流れる劇伴では使う楽器も変えているそうですね。

Evan Call:そうなんです。それぞれの国をイメージして、使う楽器を変えてみました。レコーディングでは生で初めて見る民族楽器もありましたし、その楽器専門の演奏者の方々にお会いできたのも楽しかったです。演奏者の方が出してくれたアイデアを使わせてもらったところも結構あるんですよ。譜面通りではなく、プロの方だからこそ生み出せるニュアンスが加わったからこそ、よりいい曲になったんじゃないかなと思います。

ーーそこは歌のプロである琴音さんのアイデアを劇中歌に反映させたことと同じですよね。

Evan Call:まさにそうですね。作曲家として曲の全体像は見えていますが、細かい部分についてはプロの方に教えてもらうことも本当に多いんです。僕が書いた譜面通りに歌ってもらったり、演奏してもらったりしても問題はないと思いますが、でもそこにプラスアルファが加わることでよりいいものに仕上がる場合も多いです。なので私はできるだけプロフェッショナルの知識やテクニックを借りるようにはしていますね。

ーーでは最後にこれから映画『金の国 水の国』をご覧になる方々に一言いただけますでしょうか。

Evan Call:心温まる純粋な物語も、美しい映像も、そして僕の作った音楽も、すべての方に思う存分楽しんでもらえる内容になっていると思います。違う国の2人が育むロマンスに加え、コメディ的な要素もすごく魅力的。主人公である2人の関係性がどんな流れで深くなっていくのかをじっくり楽しんでください。

琴音:今の時代にはなかなかないような真っ直ぐな作品だと思います。作品として伝えたいことは誰が見ても明確に感じられるものだと思いますし、観終わった後はちゃんと優しい気持ちになれることは間違いないです。私が参加させていただいた劇中歌も含め、Evanさんが手がけた音楽も本当に素敵な仕上がりです。いろんな楽しみ方ができる作品だと思うので、ぜひ何度も観ていただければと思います。

ーー今回の縁がまた次なるコラボに繋がるといいですよね。

Evan Call:そうですよね。琴音さんの活動にはこれからもとても期待していますし、またいつか何かの作品でご一緒できたらいいなと強く思っています。

琴音:嬉しいですね。私はわりと人見知りだし、今回は初めての劇中歌ということで現場でも自分の世界に入って、かなり集中して向き合っていたところがあって。Evanさんが休憩時間に和気あいあいとダジャレを言ってくださったりしていたのに、あまりついていけなかったんですよね。なので、もし次があるのであれば、それまでに私もダジャレのレパートリーを増やしておこうと思います(笑)。

Evan Call:あははは。楽しみにしてますね。

■リリース情報
琴音「Brand New World」
2023年1月11日(水)先行配信
https://jvcmusic.lnk.to/BrandNewWorld

琴音 OFFICIAL SITE

■オリジナル・サウンドトラック情報
Evan Call
『映画「金の国 水の国」オリジナル・サウンドトラック』
2023年1月25日(水)発売/¥3,300税込

<収録曲>
1. Tale of Two Kingdoms
2. A Bride for a Groom
3. Cats and Dogs?
4. Leopoldine's Request
5. Beyond the Wall
6. 優しい予感
7. Troubled Times
8. Sarah's Dream
9. Time for Breakfast!
10. Quite the Curious Man
11. The Busy Streets of Al Hamit
12. The Man from Baikali
13. The Gold Kingdom
14. Saladin's Saz
15. Sarah's Inner Thoughts
16. Words of My Father
17. Sarah's Courage
18. Leopoldine and the Flood Gate
19. Fine Dining
20. A Path to Salvation
21. Not That Guy!
22. Luqman Runs Away
23. No Turning Back Now
24. To the Land of Water
25. A Nap for Odonchimeg
26. Princess!?!?
27. The Chief's Parade
28. Temporary Wife
29. The Chief Awaits
30. Sarah and the Chief
31. Sarah’s Honor and the Drinking Contest
32. Under the Glow of the Full Moon
33. The Price of War
34. Birth of the Waterway
35. Baura Takes a Stand
36. And So the Game Begins
37. Searching for Naranbayar
38. Brand New World
39. Fate of the Lands
40. Steps in the Sky
41. Naranbayar's True Feelings
42. Two Hearts Become One
43. The Golden Sky Shines Upon Us All
44. Love Birds
45. Welcome to Our Land
46. Peace Forged in Gold and Water
47. An Era of Hope Begins

■映画情報
『金の国 水の国』
2023年1月27日(金)公開

<音楽>
Evan Call
※劇中歌「優しい予感」「Brand New World」「Love Birds」  
Vocal:琴音 Composer & Arranger:Evan Call Lyrics:岩城由美

<出演>
賀来賢人 浜辺美波
戸田恵子 神谷浩史 茶風林 てらそままさき 銀河万丈
木村昴 丸山壮史 沢城みゆき

原作:岩本ナオ『金の国 水の国』(小学館フラワーコミックスαスペシャル刊)
監督:渡邉こと乃
脚本:坪田 文 
音楽:Evan Call
劇中歌:「優しい予感」「Brand New World」「Love Birds」/Vocal:琴音(ビクターエンタテインメント)
アニメーションプロデューサー:服部優太 
キャラクターデザイン:高橋瑞香 
美術設定:矢内京子 
美術監督:清水友幸 
色彩設計:田中花奈実 
撮影監督:尾形拓哉 
3DCG監督:田中康隆 板井義隆
特殊効果ディレクター:谷口久美子
編集:木村佳史子
音楽プロデューサー:千陽崇之 鈴木優花
音響監督:清水洋史
アニメーションスーパーバイザー:増原光幸
アニメーション制作:マッドハウス

配給:ワーナー・ブラザース映画
©岩本ナオ/小学館 ©2023『金の国 水の国』製作委員会
映画公式サイト:kinnokuni-mizunokuni-movie.jp 
映画公式Twitter(@kinmizu_movie)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる